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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.16:N’夙川BOYS

N'夙川BOYSの成功の要因とは?

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2007年、とある企画イベントに出演するために、シンノスケBOYs、リンダdadaと三人で、一夜限りの即席バンドとして結成したのがN'夙川BOYSでした。当初はオリジナル曲をやるつもりもなく、バンド名も1回限りのものとしてつけただけだったと言うから、世の中何が起こるかわかりません。

マーヤ:シンノスケくんが「50人くらい集めたら太陽の塔の中に入れるらしいから、みんなで行きましょう」って、「太陽の塔ツアー」を企てたんです。面白そうだと思って参加したら、そこに集まったのはほとんどがミュージシャンだったんですね。こんなふうにミュージシャンが集まる機会って滅多にないから、「太陽の塔ツアー」のあとに梅田のムジカジャポニカというライブハウスで打ち上げをやることになったんです。そこで三人で演奏したことが、N'夙川BOYSの結成の経緯なんですよね。そんなきっかけからここまで続けてこられたのは、やっぱりリンダの存在感が大きいんじゃないですかね。例えば“Candy People”は、偶発的に完成した曲なんです。最終的な曲のイメージは僕の頭の中でできあがっていて、それをスタジオでメンバーに説明して録っているときに、途中でリンダが間違えたんですよ。最初は「なんで間違えんねん!」って思ったんですけど(笑)、そのテイクを聴き直してみたら、「間違ってる方がええやん!」って思ったんです。変なところで「謎のサビ」が登場したり、常識的ではないセンスでマジックをかけてくれるところに惹き付けられるんですよね。

骨太でストイックなロックンロールを鳴らすKING BROTHERSでは演奏できないような音楽性を、N'夙川BOYSでは目指したいというマーヤさん。彼らのポップでキャッチーな要素は、マーヤさんが子どもの頃から好きだった1980年代J-POPから受けている影響も大きいのではないでしょうか。

マーヤ:たしかに、そういう部分はあるかもしれないですね。でも、“物語はちと?不安定”の歌い出しは、実はホイットニー・ヒューストンの“I Will Always Love You”からインスパイアされているんですよ。「エンダ~」っていうところです(笑)。言われなきゃわからないでしょ? もちろんそれだけじゃなく、自分の中に蓄積されているいろんな要素がガチっと噛み合ったときに、新しい形が出てきます。N'夙川BOYSは、僕がKING BROTHERSで築き上げたメソッドをいい意味で壊してくれるんですよね。「こういうショートケーキを作りたい」と頭の中でイメージしながら、僕が丁寧に焼き上げたスポンジケーキの上に、リンダとシンノスケくんが好き勝手にデコレートして、見た目はめちゃくちゃなんですけど、「美味いからええやん!」みたいな(笑)。それがN'夙川BOYSの魅力だと思っています。

二足のわらじをやり遂げる苦悩は?

N’夙川BOYSのメイク道具

11年にはKING BROTHERSがメジャーレーベルからの再デビューを果たし、N'夙川BOYSもメジャーへ移籍をすることに。2つのバンドを維持していくのは、かなりハードだと思うのですが?

マーヤ:今日も、KING BROTHERSのアメリカツアーから帰ってきたばかりなのに、N'夙川BOYSのアルバムを仕上げないといけなくて、ハードって言えばハードなんですけど、バイトをやっていた頃に比べたら精神的には楽ですね。やりたいことをやっているわけですから。10年くらい前にメジャー契約が切れて、そこから再契約するまでの数年間はバイトで食いつないでいたんですけど、そのときは常にイライラしていましたね。「なんでこんなやりたくもないことをやらなアカンのやろう」って。でもしょうがないじゃないですか、お金はないわけですから。バンドをやりながらバイトをしてても、月に5万円くらいしか稼げないときもありました。ただ、「音楽をやめよう」と思ったことはないですね。KING BROTHERSに加入した頃は、右も左もわからず言われるがまま突っ走っていただけだったんですけど、最近になってようやく周りが見えるようになってきて、自分にはまだまだやり残したことがたくさんあるなって気づいたんです。それをやり切るまでは、N'夙川BOYSもKING BROTHERSも続けていきたいですね。

2つのバンドを続ける中で、最近ひとつ夢を叶えたそう。N'夙川BOYSのツインボーカルで、ベースレスで、楽器をとっかえひっかえしながら演奏するスタイルは、アメリカのガレージパンクバンド、Obliviansから影響を受けていて、“オブリヴィアンズに憧れて”という曲を作るくらいリスペクトを表明していることは、N'夙川BOYSのファンなら有名な話。

マーヤ:先日、KING BROTHERSのライブで渡米したとき、彼らと会って、「あなたたちに憧れて、日本でバンドやってるんです」って話しながら“オブリヴィアンズに憧れて”のCDを渡すことができたんですよ。「本人たちに聴いてもらう」ということは、僕の中ではデカいミッションだったので、それを果たすことができて感無量でした。

ハードな日々の中新しいアルバムを制作中
原点回帰ではなく、常に攻めの姿勢を

N’夙川BOYSの機材

11月26日には、サードアルバム『Do you like Rock'n Roll !?』をリリースするN'夙川BOYS。マーヤLOVEさんに話を訊いたこの日は、鋭意レコーディング中でした。

マーヤ:ヤバイですね、焦ってます。締切の日までに、KING BROTHERSのライブも次々とあるし、間に合うのかどうか……(笑)。アルバムの内容は、6月に出したシングル曲“ジーザスフレンド”が、ドラマの主題歌だったこともあり、わりと型破りせず作った曲だったのですが(笑)、アルバムはもっと隙があってローファイなサウンドになってると思います。“ジーザスフレンド”の置き場所が困るくらい、思い切ったことをやってますね。先日、スタッフが「N'夙川BOYSの原点回帰」という表現をしていたんですけど、「原点回帰」のつもりはないんですよね。すごくシンプルなサウンドですけど、攻めの姿勢は常に持っています。「もし僕らに影響を受けた若いバンドが出てきて、こんなサウンドを鳴らされたら悔しいな」って思えるようなアルバムにしたい。楽しみにしていてほしいですね。

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