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あの人の音楽が生まれる部屋

N’夙川BOYS

男女混成ボーカルが歌うポップでキャッチーなメロディーと、ベースレスのローファイサウンド、そして型破りなライブパフォーマンスでシーンを魅了し続けるN'夙川BOYS。そのリーダーであり、KING BROTHERSのギタリストとしても活躍しているのがマーヤLOVEさんです。アニソンからJ-POP、ニューウェイブやグランジなど、様々な音楽性を取り込んだ彼のセンスは、一体どのようにして築き上げられてきたのでしょうか。N'夙川BOYSの3rdアルバム完成に向けて最後の作業に取り組んでいる中、レコーディングスタジオにて取材を敢行。大の釣り好きだった子ども時代から、ギターウルフとの運命的な出会い、苦しかったバイト生活、そして最近叶った大きな夢まで、これまでの半生を赤裸々に語ってもらいました。

テキスト:黒田隆憲 撮影:中尾友香

N’夙川BOYS

N'夙川BOYS
(しゅくがわ ぼーいず)

2007年太陽の塔の下で、マーヤLOVE、リンダdada、シンノスケBoysにより結成。ドリーマーストレンジパワーポップでキャッチーな楽曲、楽器をとっかえひっかえの演奏スタイル、デュエットソングの常識をハミ出しまくる男女掛け合いボーカル、といった独自のLOVEスタイルでロックンロールを現代に甦らせるベースレス3ピースロックバンド。2011年にメジャーファーストミニアルバム『PLANET MAGIC』をリリース、映画『モテキ』にも出演し注目を浴びる。2014年11月26日に、3枚目のアルバム『Do you like Rock'n Roll !?』をリリース予定。

http://nshukugawaboys.com

小学生の頃の夢はフィッシングのプロ
釣りが大好きだったマーヤLOVE

N’夙川BOYSの機材

兵庫県出身のマーヤLOVEさん。音楽に興味を持ち始めたきっかけは、小学生の頃、友だちに影響されてアニソンを聴くようになったことだそうです。休みの日の朝に放映されていた『オバケのQ太郎』『忍者ハットリくん』『キャプテン翼』などの主題歌を、家にあったカセットレコーダーに録音することが楽しみだったとか。

マーヤ:でも、その頃はまだ音楽よりも外で遊ぶことの方が好きでしたね。野球やサッカー、それから釣りがめっちゃ好きで、川とか池とか海とかに行ってとにかく遊んでました。当時、ルアーフィッシングが流行りだしていて、海で知り合ったお兄さんがルアーを使ってサバを釣っているのを見て衝撃を受けたのを覚えています。そこからルアーフィッシングに夢中になっていきました。バスフィッシングのプロに憧れて、「いつかアメリカへ行って、トーナメントに参加して賞金を稼ぎたい!」って思ってたくらいです(笑)。

中学時代に友だちの家にあるギターを見て
「え、これ何なん?」

マーヤLOVE(N’夙川BOYS)

そんなマーヤさんが、自分で音楽をやろうと思ったのは中学生の頃。それも友だちの影響でした。釣り仲間の家に遊びに行ったとき、部屋に置いてあったギターやエフェクターに驚いたそうです。

マーヤ:「え、これ何なん?」って訊いたら、「これはギターや。俺、今バンドやってんねん」って言われて。最近、あまり釣りに来ないなと思ってたら、俺の知らないところで知らんことをやってたっていうのがすごくショックでした。それで彼が、「今からスタジオで練習なんやけど、来る?」って言うから、ついて行ったんですよ。とにかくビックリしました。スタジオのちょっと薄汚くて暗い雰囲気とか、アンプから出る音の迫力とか、生で見るドラムの演奏とか、何もかもが衝撃でしたね。それで「俺も音楽をやろう」って思ったんです。

彼らがバンドでコピーしていたBOOWY、THE BLUE HEARTS、LINDBERGなどの曲を片っ端から聴き、夕方になるとテレビ神奈川系列で放送されていた音楽番組『ミュージックトマト』を見て、ひたすら未知の音楽を開拓し続けた中学時代のマーヤさん。最初に演奏したのはドラムで、その次にベースを始めました。

マーヤ:ギターは難しそうだから敬遠していて、ベースなら弦も少ないし大丈夫かなと思って、フェルナンデスの安いベースを買って練習しました。高校に入学する頃には、ユニコーンのEBIさんとか、JUDY AND MARYの恩田(快人)さんとか、LINDBERGの川添(智久)さんのプレイを一生懸命研究していましたね。そんなときに、小学校時代の友だちからNirvanaを教えてもらったんです。ちょうどカート・コバーンが自殺した頃だったと思います。衝撃でしたね。「これはギターを弾いて歌わなあかん!」と思いました。Nirvanaを聴いてなければ、僕の人生こんなことになってなかったんちゃうかな(笑)。

恩人であるギターウルフとの出会い

N’夙川BOYSの機材

数年後の1997年、KING BROTHERSに加入したマーヤさん。その頃、彼は自分のバンドで活動していましたが、西宮界隈のライブハウスで何度か対バンしていたKING BROTHERSから、「メンバーが受験勉強でライブに出られなくなったので、手伝ってくれないか?」と声がかかります。最初はドラマーとして参加し、そのまま正式メンバーとして加わることになりました。そしてギターウルフと運命の出会いを果たします。

マーヤ:KING BROTHERSのリーダーであるケイゾウ(Vo,Gt)は、「The Jon Spencer Blues Explosionとギターウルフを足して2で割ったようなバンドをやりたい」っていつも言ってたんですよ。そんな中、四国のチドリダンスホールというライブハウスで出演バンドが10組くらいいるイベントが開催されて、初めてギターウルフと共演することになりました。どうしてもメンバーのみなさんに見てほしかったので、自分たちのフライヤーを持って車で休憩していたセイジさん(ギターウルフのVo,Gt)を訪ねたんです。「僕らKING BROTHERSっていうんですけど、絶対かっこいいので見て下さい!」って(笑)。そうしたら、ちゃんと僕らのステージを見てくれはって、ライブが終わったら「最高だったよ!」って声をかけてくれたんです。

その出会いがきっかけとなり、『狼惑星』(ギターウルフのメジャーデビューアルバム、1997年発売)のツアー真っ最中だったギターウルフから、急遽ツアーファイナルのオープニングアクトのオファーがKING BROTHERSに入りました。当時は新宿にあったリキッドルームで、1000人のオーディエンスを前に演奏するという貴重な体験をします。

マーヤ:もうチケットも発売しているし、当日のタイムスケジュールもきっちり決まっていて、普通だったら追加のアクトなんて入れることは難しいところに、無理矢理組み込んでくれたんですよ。今ならそれがどれだけ大変なことか、僕もわかるので本当に感謝しています。今も繋がっている仲間や先輩は、大抵そのときに出会った人たちなんですよね。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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