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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.17:BOMI

歌詞の世界観の変化、そして改名を決意
それでも気づいてしまった自分の本心

KORG

活動名を英語表記へと改名したBOMIさんは、2011年に『Gyao!Gyappy!!Gyapping!!!』をTOWER RECORDS限定でリリース。翌年には『OH MY POOKY!!!』を経て、ミニアルバム『キーゼルバッファ』でメジャーデビューを果たします。さらに同年、ファーストフルアルバム『メニー・ア・マール』のリリースと、快進撃が続きました。

BOMI:昔の反動もあって、その頃は自分のリアルな葛藤や悲しみを音楽には反映させずに歌っていました。きっとユーモアの分かる小粋な人になりたかったんですね(笑)。でも、しばらくすると、やっぱり私の表現の根本にあるのは「悲しみ」なんだなっていうことに気づいてしまうんです。あっけらかんとしたところから生まれるのではなく、もっと湿っているところから生まれるんだなって。そこからまた「どういうものを作ればいいんだろう?」と悩み始めてしまいました。そのときのレコード会社と自分の関係にしてもいろいろと思うことがあって……いろんな理由があるのは理解しているんですが、やっぱりリリースのタイミングもなかなか自分が思うようには決められないことにもどかしさを感じて。もっとじっくり、自分のペースでちゃんと作品に向き合ってみたいという気持ちがどんどん強くなっていて、このまま続けていてもしょうがないんじゃないかって思うようになってしまったんです。

実の母親との再会をきっかけに
新たに踏み出した一歩

BOMIの本棚

そしてBOMIさんは一大決心をし、メジャーとの契約を一旦白紙にします。レコーディング、リリースについては他のレーベルを模索しながら、一方で新しい表現方法を求めて、2014年の夏にはお芝居のワークショップにも挑戦しました。

BOMI:2014年の初め、実の母親に20数年ぶりに会ったんです。彼女は海外で女優をやっていたんですけど、「あなたも絶対できるから、やってみたらいいのに」って言われたんですね。実は、以前に他の人からもそういうことを言われたことがあったんですけど、母に会うまで、演じる側にはまったく興味がなかった。なのに、母に言われた途端、なんだかすごく興味が湧いてきて(笑)。それで、個人的に作品が大好きな映画監督だった熊切監督のワークショップへ行ってみたんですが、そのときの体験が感覚的にすごくしっくりきたんですよね。

「ぱんっ!」と手を叩く音が鳴ってお芝居が始まる瞬間に、自分の中にある感情を爆発させる心地よさは、ある意味では自由に感情を表現していた子どもの頃に立ち返るような体験だったそう。表現のアウトプットを複数持つことで、今までとは違った角度から音楽を捉える経験ができたBOMIさん。それが音楽制作の上でも大きな契機となりました。

BOMI:私って、とにかくなんでも白黒つけたがる性格なんですよね。悲しい気分とあっけらかんとした気分、人間なんだから両方あって当たり前なのに(笑)。それと多分、「BOMI」としての自分に求められているイメージに応えなきゃいけないんだっていう気持ちにもなってたと思うんですよ。ようやく今は、その中間でバランスを取れるようになってきていると思います。みんなと一緒に話し合いながらやりたいことをやれる環境が整ってきたのは、とてもありがたいことですよね。

これまでの自分に別れを告げて
BOMI自身の「輪廻」を表現した作品の完成

母親からの手紙

レーベルも移籍し、2015年1月には、前作から1年7か月ぶりとなる2ndアルバム『BORN IN THE U.S.A.』をリリースするBOMIさん。収録されているのは、この2年間に作ってきた粒ぞろいの楽曲をはじめ、BOMIさん自身が経験した大切な人や環境との別れを綴った先行シングル曲“さよならミゼラブル”など、彼女が「これまでの自分に区切りをつける」ということをテーマに編まれた13トラック。その合間には、まるでスネークマンショー(桑原茂一と小林克也と伊武雅刀によるグループ。ラジオ番組にて、曲と曲の間にラジカルなコントを繰り広げていた)のようにシュールでコミカル、かつ実は深いダイアローグを挟み込み、これまでになかったようなドキュメンタリー色の強いアルバムに仕上がっています。

BOMI:自分のモードが、バンドっぽいサウンドから打ち込みへ変化していく過程に作った曲も、CD EXTRA(CD購入者がダウンロードして聴くことのできるMP3ファイル)に収録されています。いわゆる「メジャー時代」に試行錯誤して作った楽曲たちを、ちゃんといい形ですべてリリースしてあげたかったんです。ある意味では、当時の自分の「遺作」みたいなものですよね。天国へ行った私が、「天使くん」と「輪廻」についてやりとりするっていうダイアローグのモチーフは、最近仲良しになった歳の近いラジオディレクターさんが提案してくれたものだけど、偶然なのか狙ってなのか、アルバムのテーマにぴったり添っていて。本当はすごくシュールなスネークマンショーみたいにしたかったんですけど、私がシュールでコミカルなキャラではないから、実際やってみたら深夜のラジオ番組みたいになっちゃった(笑)。すごく面白い収録だったなあ。

自分自身の「迷い」や「苦しみ」をさらけ出し、それをポップミュージックやエンターテイメントとして普遍的なものに昇華する。口で言うのは簡単ですが、並大抵な覚悟でできることではないはず。

BOMI:やっぱり、自分の生き様を見て欲しいっていうのがあるんだと思います。私は、中学生の頃にいじめられてたんですけど、歌を歌っているときだけは誰も自分のことを馬鹿にしなかった。だから、そういう意味では、歌は自分の居場所になっていたんですよね。「私はここにいるよ」って発信することが、自分の「表現」の根本にすごく強くあります。「ああ、稚拙だなあ」って思うときもあるけれど、本音だから。仕方ないです。

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