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あの人の音楽が生まれる部屋 vol.19:fox capture plan

年間3枚のアルバムをリリースする「攻め」の戦略
彼らの自信はどこから湧いてくる?

KORG

クラブジャズシーンで気を吐いていた京都発のバンド、JABBERLOOPのキーボーディストとして活躍していた岸本さんが、カワイヒデヒロさん(Ba)と井上司さん(Dr)を誘い、2011年に結成したのがfox capture planです。結成当初は、「こんな尖った音楽は多くの人たちに受け入れられないだろう」と思っていたfcpの音楽は、岸本さんの予想を遥かに超える勢いで知名度を上げていきます。ライブの動員数やセールス、YouTubeの再生回数などが、目に見えて増えていく状況に戸惑いつつも、「恐れずにステップアップしていこう」と覚悟を決めた彼は、この先の展望をどのように見据えているのでしょうか。

岸本:僕はJABBERLOOP、カワイはImmigrant’s Bossa Band、井上はnhhmbaseと、fcp以外の活動も並行しておこなっているのですが、そこに還元していけたらいいなと思っています。fcpが引っ張っていくことで、僕らの周りのシーン全体が盛り上がって欲しいですね。

2015年はfcpにとって「攻め」の戦略を企てている1年。4月8日にリリースされる、ライブDVD付きのミニアルバム『UNDERGROUND』の後は、カバー曲を集めたアルバム、そして年末にオリジナルフルアルバムと、3枚リリースする構想を立てているとのこと。この「無謀」とも言えるアイデアは、どのような経緯で実現へ向け動き出したのでしょうか。

岸本:2013年5月にファーストアルバム『trinity』を出してから、気づけば1年2か月の間に『BRIDGE』『WALL』とアルバム3枚出してたんです。それが結果的に、僕らが持っている今の勢いを見せることができました。なので、『WALL』から1年経つ前に新譜を出したかったんです。カバーアルバムの構想は以前からあったんですけど、その前にアシックスのCMで話題になった“beyond the beyond”を早く届けたいと思って、ミニアルバムとDVDを合わせた作品を出すことにしました。もちろん、チャレンジングなことだとは思います。でも、三人ともいろんなバンドを経験してきて、その上で結成したのがfcpなので、これまで学んだことを踏まえて「自分たちなら出来る」っていう自信があります。

一切迷わずにやると決めた
“レット・イット・ゴー ~ありのままで~”のカバー

fox capture planの機材

『UNDERGROUND』に先がけ、3月にはピアノシーンのアーティストたちによるディズニー楽曲のカバー集『PIANO MAN PLAYS DISNEY』に参加。なんと『アナと雪の女王』の“レット・イット・ゴー ~ありのままで~”に挑戦しています。昨年爆発的なヒットを記録したこの曲を料理することに、戸惑いや躊躇はなかったのでしょうか。

岸本:僕らはかなりマニアックな音楽をやっているつもりなので、「俺たちが“レット・イット・ゴー”をやっていいの?」とは思いました(笑)。でも、話をもらってすごく嬉しかったです。超有名なこの曲を僕らが取り上げることで、fcpのことを知ってもらえるチャンスになるだろうと。下手したら大ブーイングされる可能性ですか? 別に考えませんでした。カワイも井上も心強くて、「俺たちだったら、いいのができるんじゃない?」と話しました。もしかしたら「こんなポップなことやりやがって」と思うファンもいるかもしれないけど、それは全く気にならない。ファンが10人減って、新しいファンが100人増えるんだったら、そっちの方が全然いいです。

賛否両論を巻き起こすくらいがちょうどいい

fox capture planの機材

Radiohead“Paranoid Android”から“レット・イット・ゴー”までカバーし、その音楽性を際限なく広げていくfcp。元々はジャズトリオという形態で始まった彼らですが、もはや「ジャズ」というワードではカテゴライズ不能な存在となりました。岸本さん自身は、自分たちのやっていることは今でもジャズだと認識しているのでしょうか。

岸本:ジャズの側面も含んでいるとは思うし、そういうつもりで自分たちもやってはいます。ただ、そこに対しての強いこだわりはないですね。「こんなのジャズじゃない」っていう声もたまに聞いたりしますけど、別に構わない。なんならジャズシーン全体に対して、対等に渡り合えるくらいのバンドになりたいとすら思います。偉そうなこと言ってますかね(笑)。でも、マイルス・デイヴィスがジミヘンを聴いて『Bitches Brew』(1970年に発売された、ジャズ史上最も革命的な作品と言われるアルバム)を作ったように、ジャズシーンそのものもそうやって進化してきたわけですよね。例えば日本だと上原ひろみさんとか、海外だったらロバート・グラスパーとか、先進性のある音楽を発信して活躍している人は同じような批判を言われてるのかもしれない。賛否両論を巻き起こすくらいの方が、ジャンルの垣根を越えて注目されるんじゃないでしょうか。

卓越した演奏能力と揺るぎないオリジナリティー。その2つを獲得したが故に、「新し物好き」である自分たちを素直に解放する。そんなfcpの快進撃は、この先もまだまだ続きそうです。

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