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竹藤佳世監督インタビュー

竹藤佳世監督インタビュー

インタビュー・テキスト
小林宏彰
2008/06/27

サイレント映画の女優さんにはとても詳しいですね

―これまで、どんな映画に影響を受けたのですか?

「半身反義」より

竹藤:原体験は1920~30年代のサイレント映画なんですよ。チャップリンの映画など、セリフがないのにアクションだけでこんなに伝わるなんて面白いな、と。サイレント期の女優さんには詳しいですね。サイレントの最後の時期は、映画表現技術がすごく高かったんですよね。エルンスト・ルビッチとか。モダンが生まれた頃なんかが好きなんですね。

―なるほど、それはとても面白いですね。

竹藤:山岸さんは1929年浅草生まれで、ちょうどトーキーが海外から入ってきた頃に浅草で育った方のせいか、私となんとなく感覚が合うんです。私の作品で、会話が同時録音ではなく、ちょっとずれてたりするのは、サイレント映画の影響があるかもしれないですね。やっぱり、画で見せたいです。

―音響の使い方も、とてもユニークですね。『殻家』では、ディジリドゥが聞こえてきたり、カランカランという音がしたりします。

竹藤:音響は、リアルな音ではなく、まず映像があって、それを見ているうちに浮かんでくる音をつける、という作り方をしています。アナログシンセとか、いわゆる楽器ではなく、音具というのを使ったりします。普通はSEなんですが、MEというか、音楽と効果音が一体になっているものをつけてるんですよ。

―チラシのデザインもきれいで印象的なんですが、ご注文されたんですか?

竹藤:私はこの映画のディレクターであり、プロデューサーでもあるので、短い時間で映画の内容を伝えるためにどうしたらいいか、デザイナーの方からの助言を聞きました。タイトルで内容がパッとわかるものではないですから、客観的に人に伝えるためにはどうしたらいいかと考えましたね。プロデューサーも兼ねたのは、例え失敗しても、自分の手でやったことは、必ず次につながるという気持ちからです。

常に突撃あるのみ、なんです

―映像作家集団「パウダールーム」を立ち上げられたのはなぜですか?

「半身反義」より

竹藤:私自身、イメージフォーラムフェスティバルという場があったから、どんどんいいものを作って発表しようという気になったんですよね。だから、自分もそういった場を設けて、才能ある人がでてくればもっと面白くなるんじゃないかと。現在は私の作品の配給が中心になっているんですが、上映会やワークショップをやったり、やはり皆で頑張っていたから作り続けることができた、と思います。

―お話を伺っていると、自分でも何かやろう、という元気が出てきますね。

竹藤:とにかく、私は常に突撃あるのみ、なんです。宣伝でも、私の作品を見て「女版・原一男」だと言う人がいたので、原さんをトークショーにお呼びしてみたり(笑)。新藤風さんも面識ないのにゲストをお願いして。私に「聞きたいことがある」って言って引き受けて下さったんですが、それが何かはトークショーまでわからないんです。どうなるんでしょう?

―それでは最後に、最も映画を作っていて楽しい点と、次回作の構想について教えてください。

竹藤:映画をめぐる場があることで、若松監督や河瀬監督の作品に参加できたり、自分のやってきたことが次につながっていくのが楽しいですね。作品を作るのは、今回を含めいつも苦しいですけど、苦労した作品ほど、あとで恩返ししてくれていると思います。
次回作としてやりたいことは、劇映画とドキュメント、両方あるんです。劇映画では、それこそ女性をテーマにしたい。ポップで、かつ、みんなで手探りしていかないとできないものをやりたいですね。私の姉くらいの年代って、男女雇用機会均等法施行後、社会に出た世代なんですが、仕事はバリバリするけど、それだけにもやはり走れない、という揺れ動く気持ちがあって、それをエンターテインメントにしたいなと(笑)。その世代の痛々しい感じを、私は少し下の世代から見ているんですが、そこに親や旦那、子どもとの関係を通して、現在の女性の問題がわかりやすく現れてきていると思います。

―ありがとうございました。ガラッと作風が変わりそうですね。

竹藤:全然変わらずに、結局またドキュメントになるかもしれません(笑)。

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作品情報

『半身反義』

2008年7月5日(土)より、池袋シネマ・ロサにてレイトショー
プロデューサー・監督・脚本・編集:竹藤佳世
キャスト:
山岸達児
西島英男
西宮ゆき
加島凱ほか

料金:特別鑑賞券1,200円(シネマロサ・UPLINK X 窓口にて発売中)
当日 一般1,500円 学生1,300円 小・中・シニア1,000円
『竹藤佳世 映像個展』の半券にて割引
現代美術家・大浦信行氏によるポスター他特典あり
監督とゲストによるトーク連日開催
2007年/日本/カラー/90分/
配給:パウダールーム

イベント情報

竹藤佳世 映像個展『Flower of Life』

会場:渋谷UPLINK Xにてイブニングショー公開
2008年6月28日(土)~7月11日(金)
上映作品:『骨肉思考』『彼方此方』
2008年7月12日(土)~7月25日(金)
上映作品:『殻家 KARAYA』『カラコワシ』連日16:30~
料金:特別鑑賞券1,000円発売中
当日 一般1,300円 学生1,100円 シニア1,000円
6月28日(土)に映像作家の奥山順市を迎えたトークショーを開催
ゲスト:奥山順市、竹藤佳世
※トーク&奥山順市作品の上映あり

プロフィール

竹藤佳世(たけふじ かよ)

東京都出身、東京都立大学人文学部卒。映像作家集団「パウダールーム」代表として、上映会、ワークショップ等を企画・開催。『骨肉思考』でイメージフォーラムフェスティバル98大賞受賞。広告代理店勤務・専門学校教員を経て、若松孝二監督作品(『17歳の風景』『実録・連合赤軍』)、河瀬直美監督作品(『垂乳女Tarachime』『殯の森』)などに参加。フィクション・ドキュメンタリーの境界を越えた独特のスタイルで常に意欲的な作品づくりに挑んでいる。

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