特集 PR

丹下紘希(Mr.ChildrenなどPV監督)インタビュー

丹下紘希(Mr.ChildrenなどPV監督)インタビュー

インタビュー・テキスト
杉浦太一
撮影:柏井万作
2009/03/06

今回リリースされた『TANGE KOUKI VIDEO COLLECTION』は、文字通り丹下紘希が手がけたミュージックビデオをコンパイルしたDVD。Mr.Childrenにはじまり、コブクロ、山下達郎、浜崎あゆみと、大物ミュージシャンの名前が連ねられている。そのラインナップを見て、驚いた。自分がなんとなく覚えていたMV(丹下氏は「PV」ではなく「MV(ミュージックビデオ)」と呼ぶ)が、見事にこの1人のクリエイターから生まれていたからだ。そこで、今回のDVDリリースのいきさつと、Mr.Children“くるみ”の制作秘話など、丹下氏の制作にかける情熱を伺った。

ぶっちゃけて言えば、
この作品は売れなくちゃいけないんです(笑)。

―今回リリースされたDVDですが、名だたるミュージシャンのミュージックビデオが30本以上収録されています。ラインナップはもちろん、このボリュームにも驚きました。

LIVE DVD『Mr.Children HOME TOUR 2007』のアートディレクションを担当

丹下:実はこういったミュージックビデオを集めたDVDを出せるというのは、本当に稀なケースなんです。レコード会社の垣根を越えて、アーティストをはじめ、関係者すべての方々の理解や協力がなかったら実現されませんでした。本当にみなさんに感謝しています。

―たしかに、権利の問題も考えると、一筋縄ではいかなそうです…。

丹下:実は構想自体は10年くらい前からあったんです。でも、状況的に無理でした。つい少し前までは、ミュージックビデオをつくる制作者は、レコード会社から仕事を受ける「下請け」的なイメージがとても強かったんですね。「クリエイティブなんていらないんだ」っていうところもありました。それから少しずつ時代が変わって、ここへ来てようやく実現することができました。

―それは感動も一塩ですね。ちなみに丹下さんはご自身の作品を「プロモーションビデオ(PV)」ではなく、「ミュージックビデオ(MV)」とおっしゃいますが、何か理由があるんですか?

丹下紘希インタビュー

丹下:そうですね。「プロモーション」って広告や宣伝のことですけど、やっぱり「作品」として見てもらいたいっていう想いがあります。その楽曲を聴いただけでは得られなかった新たな楽しみ方を提示して、音楽にとっても映像にとっても幸せな関係をつくっていきたい。そういう考えがあって、意識的に「ミュージックビデオ」って呼ぶようになったんです。

―たしかに丹下さんの作品を見ると、ただの宣伝映像には全く見えないですね。

丹下:そう言ってもらえると嬉しいです。他にも、最近は『VIS』っていうWebサイトで、ミュージックビデオの監督が集まって、作品を配信しています。これも制作者同士でがんばって、ようやく立ち上げたサイトで、画期的な試みなんです。

―『VIS』は見ているだけで楽しいですよね。「あ、あのミュージックビデオはこの人がつくってたんだ」っていうのがわかるようになっていて、映像の見方が少し変わるような気がします。

書籍『東京環境会議』

丹下:見てくださる方々にとってはもちろんなのですが、映像をつくる側にとってもこうした動きが刺激になって、もっと自分の仕事に情熱を注いだり、誇りを持てるような環境がつくれたら、という願いもあります。逆に言えば、もっと責任を持ってそのミュージシャンや楽曲を本気で考えて映像をつくることができれば、結局はミュージシャンにとっても自分たちにとっても、もちろんリスナーの方々にとってもより幸せな関係づくりができるんじゃないかと思うんです。

―ミュージックビデオをDVD化していくっていうのが、これに続いて増えてきたらいいですね。

丹下:今までは前例がなかったので、実現しようと思ってもできませんでした。でも、今回で例をつくれたので、いいきっかけになってくれたら、と思いますね。だから、ぶっちゃけて言えば、この作品は売れなくっちゃいけないんです(笑)。儲けたいからではなく、これからの映像表現の意義や、新たなマーケットづくりとしても、これが成功したらもっと可能性が見えてくる。だからなんとか売れてほしいと思ってます。あんまり言うといやらしく思われちゃうかもしれないけど(笑)。

―いえ、丹下さんの情熱がすごく伝わってきます。これがきっかけになって、音楽も映像も、色んな可能性が開けたら最高ですね。

Page 1
次へ

リリース情報

{作品名など}
『TANGE KOUKI VIDEO COLLECTION』

2009年2月25日発売
価格:6,000円(税込)
TFBQ-18097

DISC1
1. ダイジェスト
2. スペースシャワーTV「We Love Music, We Love Peace.」
3. Mr.Children「and I love you」
4. MTV THINK LOUD「破滅編」
5. オリジナルムービー「Action Universe」
6. Mr.Children「Worlds end」
7. Monkey Majik「Around The World」
8. REVOLVER FLAVOUR「REVOLVER FLAVOUR」
9. Monkey Majik+m-flow「 Picture Perfect」
10. マキシマム ザ ホルモン「ビキニ・スポーツ・ポンチン」
11. 浜崎あゆみ「alterna」
12. Salyu「VALON-1」
13. 一青窈「つないで手」
14. コブクロ「蕾」
15. Fleming Pie「THE IN THE MOON」
16. WINO「New Dawn F」
17. Mr.Children「ファスナー」 (Live Screen Movie)
18. 一青窈「受け入れて」

Bonus Track
1. メイキング& ドキュメント 「a Moment of Blink」
2. オリジナルムービー 「Africa」
3. First Works 「EPO Video Works」

DISC2
1. Mr.Children Album TV SPOT 「IT’S A WONDERFUL WORLD」
2. Zoff「コンセプトムービー"Love Your Characters"」
3. 山下達郎「FOREVER MINE」
4. オリジナルムービー「LIFE」
5. Mr.Children「くるみ」
6. Salyu「Dialogue」
7. Monkey Majik「fly」
8. Fleming Pie「Sunday Morning」
9. GUN DOG「chair」
10. Joi「Cravin’」
11. SUPER BUTTER DOG「FUNKY ウーロン茶」
12. ILMARI ×Salyu「VALON」
13. Mr.Children「箒星」
14. Sakura「Oh I...」
15. 一青窈「てんとう虫」
16. RIZE「heiwa」
17. Bank Band「生まれ来る子供たちのために」(ドラマ「火垂るの墓」エンディング)

Bonus Track
1. メイキング「Making of 箒星」
2. 大野一雄「イエス 花 死 生」

プロフィール

丹下紘希

68年岐阜に生まれる。高校卒業後、大野一雄氏に師事。97年には文化庁在外派遣芸術家としてNYに滞在。現在まで数多くのMusic Videoを作り続け、MTV、スペースシャワーTVにてBEST DIRECTORS 賞はじめ受賞歴多数。近年ではグラフィックのアートディレクションも手掛けている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

PUNPEE“タイムマシーンにのって”

あのPUNPEEがまたやった!!! 昨年発売のアルバム『MODERN TIMES』から初のMVとなる“タイムマシーンにのって”が公開。1度見ただけでも存分に楽しめる作品だけれど、この情報量の多さ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思わせる時計台のロゴがSEIKOならぬSAYHOになっていたり、車体に『AKIRA』の成田山ステッカーが貼られていたり……ピザなど頼んで細部まで何時間も見ていたい。(井戸沼)

  1. FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る 1

    FINAL SPANK HAPPYが示す「新男女関係」 結成半年を振り返る

  2. 桂正和原作『I”s』磯崎泉役は萩原みのり、主人公にアプローチする後輩役 2

    桂正和原作『I”s』磯崎泉役は萩原みのり、主人公にアプローチする後輩役

  3. ジャニー喜多川製作総指揮、東西ジャニーズJr.が集結 『映画 少年たち』 3

    ジャニー喜多川製作総指揮、東西ジャニーズJr.が集結 『映画 少年たち』

  4. 小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」 4

    小出祐介が問題提起、日本語ポップスにおける「歌詞の曖昧さ」

  5. 遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中 5

    遠藤ミチロウが膵臓がんを公表、現在は自宅療養中

  6. 映画『空母いぶき』追加キャストに佐藤浩市、村上淳、玉木宏、戸次重幸ら 6

    映画『空母いぶき』追加キャストに佐藤浩市、村上淳、玉木宏、戸次重幸ら

  7. 『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら 7

    『紅白歌合戦』会見にあいみょん、DAOKO、YOSHIKI、キンプリ、刀剣男子ら

  8. 太賀に森崎ウィンらが寄り添う『母さんがどんなに僕を嫌いでも』本編映像 8

    太賀に森崎ウィンらが寄り添う『母さんがどんなに僕を嫌いでも』本編映像

  9. 新宿爆音映画祭に『ボヘミアン・ラプソディ』『バッド・ジーニアス』など 9

    新宿爆音映画祭に『ボヘミアン・ラプソディ』『バッド・ジーニアス』など

  10. Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー 10

    Hi-STANDARD元スタッフによる『SOUNDS LIKE SHIT』レビュー