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対談 ボクデス(小浜正寛)×桜井圭介(音楽家/ダンス批評)

対談 ボクデス(小浜正寛)×桜井圭介(音楽家/ダンス批評)

テキスト:
桜井圭介
構成・撮影:柏井万作

『たけしの誰でもピカソ』に出て、たけしさんとクマさんに褒められたのが嬉しかったですね。

桜井:そういえば、一時は美術界に足を突っ込んだりもしたよね。

ボクデスインタビュー

ボクデス:ダンス関係者に「こんなのダンスじゃない」って言われて、じゃあ、誰がこれを評価してくれるんだろう、と思って、キリンアートアワードにダンス作品として応募したら、評価してもらえたっていう。でも、混乱したりもしましたけどね、ダンスの内側の人からはダンスじゃないって言われて、外側の人からはダンスとして評価されて、みたいな。

桜井:あー、やっぱり外側の人の方がおもしろがり方が素直だよね。

ボクデス:で、その後、村上隆さんの『芸術道場』(GEISAIの前身)に出て、「誰ピカ賞」もらって、『たけしの誰でもピカソ』に出て、たけしさんとクマさんに褒められたのが嬉しかったですね。たけしさんに、「久々に良い人材が来ましたね」って言われて。

桜井:アート界じゃないね(笑)。お笑い界じゃん。

ボクデス:そうですけど(笑)。

「河童次郎」:カッパがキューリを使ってアート作品を作る(笑)

桜井:それはともかく、アート界でのボクデスっていう可能性もあったのに、なんでアレしちゃったのかな?

ボクデス:その後、フランスに、ドゥクフレのほうに行っちゃったからかな。日本じゃない場所で評価してくれる人がいたっていうのが大きかったかもしれないですね。

桜井:ドゥクフレのボクデス評価っていうのはどういう感じだったの?

ボクデス:きっかけは、僕の「映像+身体」のアイデアだと思うけど、やっぱり「ぎくしゃくした身体」だったのかなぁ。

桜井:やっぱドゥクフレはそうなんだ! やっぱりわかっている外人のおもしろがり方っていうのは、モンティ・パイソン的なものがインプットされてるんじゃないかと思うんだよね。モンティ・パイソンにもさ、ある部分、身体芸ってあるじゃない?

ボクデス:バカ歩きとか?

桜井:そう。僕が一番好きなので言うと、魚で叩き合って相手を川に落とす「架空のフォークダンス」みたいなのとか、ある種のナンセンスな瞬間芸みたいなタイプのやつ。モンティ・パイソン的と言う時、二つあって、「何が面白いんだか」的な不条理コント的なものと、身体的な瞬間芸的なものとあるよね。で、ボクデスには両方あるわけ。だけど、どちらか一方に特化した方がわかりやすかったりするってことはあるよね。だからほんとに立ち位置が微妙って言えば微妙でさ。

ボクデス:そうか、なるほどね。

Chim↑Pomがブレイクしたりしたのは、やっぱり社会性ということよりも、こいつらバカだなぁっていうことでみんな喜んだっていう風に思いたいんだよね。

桜井:最近のいろんな表現、例えば演劇シーンとかを見回してみると結構みんな社会性とかリアルとかって言って、とんがってたり、エグかったり、とかってあると思うんだけど、どうですかボクデスとしては?「ボクデス」の立ち位置と「今」、っていうかさ。

ボクデス:例えば“蟹ダンサー多喜二”では、やはりプロレタリアートですか? とか聞かれたりね(笑)。

ボクデスインタビュー

桜井:Chim↑Pomが、広島の問題が起こって、社会派みたいな風に見られやすいことになってるじゃない? そうそう、例の“ピカッ”の展覧会とボクデス公演の本番がちょうど重なっちゃてるんだよね。僕はどっちも支持してるから困るんだけどさ。で、まあ彼らは、ピカチュウからずっと社会派って言って言えなくもないんだけれども、僕的には、くだらないことをものすごい労力をかけてやっちゃう奴ら、やってくれてるアーティストっていう評価なんだよ。くだらないことをやってくれてありがとう、みたいな。

Chim↑Pomがブレイクしたりしたのは、やっぱり社会性ということよりも、こいつらバカだなぁっていうことでみんな喜んだっていう風に思いたいんだよね、僕としては。最高にくだらない上に立派に反戦だし、言う事ないっていう。

ボクデス:ってことは、やっぱ社会派じゃないですか?

桜井:でも、そこの部分が一番かというと、そうでもないんだよね俺的には。

ボクデス:でも、やっぱり、単にくだらないっていうものだと、評価は、

桜井:低くなる?

ボクデス:じゃないですか?

桜井:そういうことを言ったら、やっぱり、そういう「餌」なしに、社会派とか言われないように徹底してくだらないことをやるほうが、おもしろいし、やりがいがあるし、大事だと思うのよ。ボクデスがんばってよ。やっぱり「○○○」とかさ、まぁ、「○○○○○」もそうだけどさ、分かりやすい笑い、心が和む笑いって言うのがダンスには多いですよね。やっぱり、ユーモアとかペーソスとか、全部そういうものじゃん。あまりのくだらなさにアゴがはずれるとか、腰が抜けるとか、そういうものじゃないじゃない?

ボクデス:まあ、そうですね。

桜井:例えば不条理演劇から来ているナンセンスコメディの系譜みたいなものが演劇の中では一応はある地位を占めてるよね、ケラとかブルースカイとか、五反田団とかも近いかもしれないし、とかそういうことで言うと、ダンスにはないじゃん、この系譜がさ。

ボクデス:うーん、良い意味で言えばマジメなんじゃないですかね。

桜井:もうすぐ49歳のオヤジ的にはそれがおもしろくないのよ。以上。終わり(笑)。

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イベント情報

『吾妻橋ダンスクロッシングpresents』
ボクデス・ソロパフォーマンス・ベスト・ライブ『スプリングマン、ピョイ!』

2009年3月19日(木)・20日(金・祝)
会場:スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 BF)
構成・演出・出演:小浜正寛

プロフィール

ボクデス

遊園地再生事業団、ニブロール、フィリップ・ドゥクフレ『IRIS』等に出演する小浜正寛のソロ・パフォーマンス・ユニット。キリンアートアワード2001奨励賞受賞。振付家として、『旧バニョレ国際振付賞ヨコハマプラットフォーム』(04)、『トヨタコレオグラフィーアワード最終審査会』(06)出場。また、俳優として、TBSドラマ『SCANDAL』やCM『ライオン/ストッパ下痢止め』等に出演。演劇、ダンス、美術、映像の枠を斜にクロッシングするかのような活動が注目を集めている。

桜井圭介(音楽家/ダンス批評)

執筆活動をはじめ、『吾妻橋ダンスクロッシング』『HARAJUKU PERFORMANCE+(PLUS)』などのキュレーション、「ダンスを発明」するワークショップ、「ダンスを再発見する」レクチャー、『トヨタコレオグラフィーアワード』などの選考委員、音楽家として振付家とのコラボレーション(ミクニヤナイハラ『青の鳥』、砂連尾理+寺田みさ子『O[JAZ]Z』等)など、あの手この手で、ダンスとのオルタナティヴな関係を模索中。著書に『西麻布ダンス教室』など。

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