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HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

テキスト
但馬智子
写真:小林宏彰

80年代ブームでも、ゼロ年代カルチャー総括でも、テンネン代でも、いまや滅びつつあるマスメディアや批評家の言葉なんかに二人は絡めとられないで欲しい(小沢)

小沢:柴君や和田君たちが生まれた80年代というのは、日本のなかで「パフォーマンス」という言葉が「ニューアカ」ブームと一緒に、知的でおしゃれなものとして受容されていたときです。例えば、ローリー・アンダーソンやナム・ジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイスなどのパフォーマンス・アーティストが次々と来日し、一気に日本に紹介されました。そういうなかで82年にラフォーレミュージアムが開館し、ローリー・アンダーソンのライブ・パフォーマンスをいち早くやったり、カッティングエッジな音楽イベントをやったりして、最先端のパフォーマンスをはじめとするアートやファッションの流行の発信拠点を担っていた。いまでこそ公共の美術館や劇場がたくさんありますが、80年代はそういう施設がまだ少なく、ラフォーレミュージアムというのは新しいトレンドを紹介する場のひとつとなっていたわけです。つまり何を言いたいかというと、そういった歴史ある場所で2009年というこの時代に『HARAJUKU PERFORMANCE+(PLUS)』をやらせていただけるのは、その偉大なる歴史に繋がり継承しているという意味でとても光栄なことなんです。そして、過去の歴史をひもとけば、自分がやっていることは間違っていないんだなあと思ったりするんですよ。

さらに、劇場でもない、ライブハウスでもないこの場所をどういう空間に演出するのかは私個人のテーマでもあります。やはり劇場だと演劇やダンスです、ライブハウスだと音楽です、というフォーマットがありますが、ラフォーレミュージアムをそういうふうに最初からジャンル化された場所にせずに、でも、それがわかりづらかったり伝わりにくかったりしないように、新しいパフォーマンス/アートが出てくる場にしたい、ということはいつも考えているんです。

:僕の作品も劇場ではない場所でもやりたいと思っているんですけど、かといってそんなにフレキシブルというわけでもなくて。何度も言うように僕自身はわりとちゃんと演劇しているというところで、『HARAJUKU PERFORMANCE+(PLUS)』のラインナップのなかで僕の作品はどう見られるのか、とても愉しみではあります。

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

和田:僕はICCで展示やライブをしたりしたのですが、アートなのか音楽なのか? と言われたことがあります。でも自分では特定のカテゴライズをあまり意識していません。ジャンルやフォーマットなどはむしろ周りが勝手に決めることで、僕自身はあくまでも音で遊んでいるという感じです。

僕は柴さんの作品を見たときに、すごく映像的だなと思ったんです。ノーマン・マクラーレンやミシェル・ゴンドリーのようなある種の構造的な映像作品に見られる仕掛けのセンスに似た感覚というか。でもそれだけではない演劇的なストーリーもある。そこがパフォーマンス+(プラス)だな、と(笑)。ジャンル分けなんて気にしない僕たちがここに出るんだなと。

 

小沢:今回『HARAJUKU PERFORMANCE+(PLUS)』のキーワードやテーマを考えるときに、柴君の『反復かつ連続』や和田君のオープンリールに出会ったのは大きかったんです。この二つを柱にすれば何かできるんじゃないかとひらめいたんです。現代音楽でもコンテンポラリーダンスでも、振り付けやメロディが「反復すること」と、そこから「ずれていくということ」は、作品レベルだけではなく表現全般に関わる重要なテーマだと考えているんですよ。黒田育世さんの踊りや、はむつんサーブのアニメーションダンス、トーチカのような空中に浮かび上がるカラフルな光のアニメーションも、根底ではみな同じテーマのもとにあります。ロマンチカの今回の物語がフーガのように何度も繰り返しながら漸進し、その度に同じモチーフが少しずつ変化する、とい構造もまさに「差異」と「反復」なんですよ。テーマを「反復」といっても一般には伝わりにくいので、「アーキテクチャ(構造)」のような言葉にしたのですが、その根底に流れるテーマをつないだこのラインナップは、最終的にお客さんにどう見えるのかな。

たとえば『スタジオボイス』のようなカルチャー雑誌がなくなり、新しいものとか、見たことのないものを、「これはいいんだぞ」と教えてくれる媒体がどんどん消えている。新聞や雑誌とか大きなメディアがインターネットに取って代わられるという境目に僕らはいると思うんですね。そういう意味では、二人はゼロ年代に生きていたんだけれども、どうですか? テンネン代というやつが来年ぐらいから来るそうですが?(笑)どうなんでしょうか。私的には80年代ブームでも、ゼロ年代カルチャー総括でも、テンネン代でも、いまや滅びつつあるマスメディア(TV、新聞、雑誌など)が「差異」を生み出して付加価値にし、「反復」して売りさばくという資本主義に忠実なゲームに加担しているだけだなと思うんですよ。大きなメディアが衰退する世の中になると、カルチャーのパッケージすら成り立たないような感じになってくるし、そういった旧態依然としたメディアや批評家の言葉にお二人は絡めとられないで欲しいと思っています。

お二人には原動力もあるし、これとこれを選んで、さらにそれをドッキングさせたらお互いにスパークできるということもあり得ると思います。ここまで盛り上がっちゃったら、いずれ二人で何かやったらどう?

和田:いやあ、ははは〜。もうちょっと待ってくださいよ〜(笑)。

小沢:なに、いきなりこのノリは?(笑)

:僕たちがもっと仲良くなったら、お互いがどこを大事にしているか分かってきて、やっぱりそれぞれに譲れないものが出てくることもあるかもしれませんよね。僕は僕で、演劇的に譲れないことがあるかも。だから、簡単に一緒にやりたいとはまだ言えないかもです。でも、今日聞いた話も本当に面白くて、今後いっしょにできたら、とは思います。

和田:自分自身、まずは直感で動きますし、あとは偶然の出会いだったりするんですよ。共鳴する何かと何かが化学反応を起こしていれば、自然にどんどん自分のなかに風景が生まれていく。おいおい、ぜひお互いが溶け合うような何かをやりましょう!

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イベント情報

HARAJUKU PERFORMANCE + (PLUS) 2009
『HARAJUKU PERFORMANCE+2009』

2009年12月19日(土)、20日(日)、22日(火)、23日(水)
会場:ラフォーレミュージアム原宿

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

『パフォーマンスライブ』

2009年12月22日(火)19:30
2009年12月23日(水)13:00 / 18:00
出演:
黒田育世
はむつんサーブ
生西康典
contact Gonzo
トーチカ
柴幸男
Open Reel Ensemble
山崎広太
料金:前売3,500円 当日4,000円

主催:ラフォーレ原宿
企画制作:ラップネット、日本パフォーマンス/アート研究所
キュレーター:小沢康夫(日本パフォーマンス/アート研究所)

プロフィール

柴幸男<

1982年生まれ。愛知県出身。劇作家・演出家・ままごと主宰。青年団演出部所属。日本大学芸術学部在学中に「ドドミノ」で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞。日常の機微を丁寧にすくいとる戯曲と、ループやサンプリングなど演劇外の発想を持ち込んだ演出が特徴。全編歩き続ける芝居(「あゆみ」)、ラップによるミュージカル(現代口語ミュージカル「御前会議」)、一人芝居をループさせて大家族を演じる(『反復かつ連続』)など、新たな視点から普遍的な世界を描き出す。東京を拠点に、地方公演やワークショップ活動など精力的に行っている。

和田永

1987年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科在籍中。旧式のオープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するパフォーマンス・グループ 「Open Reel Ensemble」を主宰する一方、ミュージシャンとしても活動し、ギター、ピアノ、打楽器、電子楽器を演奏する。各種楽器を駆使して音楽/音響作品を多数制作。新作のパフォーマンス作品「Braun Tube Jazz Band」で第13回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。

小沢康夫

プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。ラフォーレ原宿30周年企画「HARAJUKU PERFORMANCE + Special」、金沢21世紀美術館「二十一世紀塾」、美学校「超・日本・パフォーマンス論」、ヨコハマ国際映像祭2009オープニングパフォーマンス「停電EXPO」、「Postmainstream Performing Arts Festival 2010」など。

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