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HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

テキスト
但馬智子
写真:小林宏彰

作品づくりの原動力とは、ある風景が自分のなかでスパークすること(和田)

小沢:和田君が、オープンリールという、いまやほとんど使われなくなった機材をあえて使うというのは、意識的なものなんですか?

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談
和田永

和田:色々な偶然が重なり合う中で古い機材の可能性を見つけてしまった、というのが本当のところです。僕は子供の頃からカセットデッキが大好きで、自分の声を録音してはラジオドラマみたいなものをつくって遊んでいたりしていました。そのうちオープンリールという存在を知って、欲しい欲しいと言っていたら、たまたま知り合いのおじさんがくれたんです。ちょっと壊れていたんですけど、いじっているうちに、もうオープンリールの独特の音色と自分の感性とが共鳴してしまって。これをつかってなにかやりたいという思いをずっと抱いていました。その思いの蓄積のなかで大学に入って、工学的な技術を勉強してようやく実現してきたというか。

もうひとつ重要なきっかけがあって、以前ベトナムに旅行に行ったときに、ある異次元的な光景を見てひらめいちゃったんです。ベトナムの寺院で儀式を行っているお坊さんの前にある仏壇をよく見ると、仏像の後ろにLEDの装飾ようなものがあってピカピカ光っているんです。さらに、お坊さんの横ではエレキギターで伝統音楽のようなものを弾いている人がいて、そしてみんながそのピカピカ光るエレクトリックの仏壇に向かって手を合わせている。神聖な場所のはずなのに、ディスコかサイケバンドのライブみたいな感じなんです(笑)。東南アジアには伝統的な様式が数多く残っていると思うんですが、そういう中に何の変哲もなくエレクトロニクスが入っている。小説の世界に出てきそうな世界が、いきなりナマのものとして現れてきたわけです。これは「ヤバい」なと。僕が考えるテクノロジーがまるで違う文脈や感覚である世界では使われているんだということにショックを受けました。

Open Reel EnsembleOpen Reel Ensemble

異なった文化圏では、例えば電気が魔術のように扱われたり、蛍光灯が神の光のようにとらえられたりもする。そうすると、僕らの世代から見ると奇妙なデザインをした古い巨大なラジオやオープンリールがものすごく異国的でファンタジックな機械に見えてきたんです。で、僕はある町で、人々がオープンリール楽器を持ち寄ってセッションしているという光景がパッと脳裏に浮かんだんです。そういう世界に旅行に行きたいな、でもきっとそういう世界はないから、自分でそこの住人になろうかな、とか。そういう空想が続く限り、そこで見たものをつくる、それが僕のテーマみたいになっている。

:僕もまったく和田さんと同じで、まずは、頭の中でスパークするんです。それは自分が見たい、体験したいっていうことなんですけど。

僕は演劇にある「物語」が好きなんです。手法ももちろんあるんですけど、結局最後に人を引きつけるのは物語だと思っています。僕はわりと作品そのものよりも、手法がどうだとかよく言われますが、僕自身はオールドスクールの演劇も大好きですし、新しくなければ価値はない、という思想はまったくないんです。でも、見たことも聞いたこともないような物語をつくりたいっていう単純な欲求はあって。これからは自分がやってきた手法や発想と物語を、もっと溶け合わせたものを作ってみたい。そういうものに僕自身もいちばん感動するし、もしかしたら、手法さえも気づかれないかもしれないし、よくある物語もすごく新しい感動になるかもしれない、ということを思っています。でも、そういうものを無理に探し始めると、自分自身の劣化コピーのようなものしかつくれなくなってしまうかも…。

『わが星』
『わが星』(撮影/青木司)

和田:そうそう。作品づくりの原動力とは、ある風景が自分のなかでスパークすること! 新しいことをやってやろうということではなくて、僕は何かが降りてきたときにものをつくるし、降りてこなかったら別に何もやらないと思う。根っこに自分のやりたいことがあり続けていて、それが愉しければ、何かをやっていると思うんですよ。

:僕も今後こういうことを続けていくかどうかはわかんないんですけれども、自分で見たいもの、スパークするものがあるかぎりはつくり続けていきたいと思う。なおかつ同じことばかりやっていてはつまんないので、パッと見は何も新しくないかもしれなくても、もっと違った目に見えないものが僕のなかで挑戦になっていたりする作品も作りたい。いまつくっている僕の作品はとにかく数あるやりたいことのひとつですね。

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イベント情報

HARAJUKU PERFORMANCE + (PLUS) 2009
『HARAJUKU PERFORMANCE+2009』

2009年12月19日(土)、20日(日)、22日(火)、23日(水)
会場:ラフォーレミュージアム原宿

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

『パフォーマンスライブ』

2009年12月22日(火)19:30
2009年12月23日(水)13:00 / 18:00
出演:
黒田育世
はむつんサーブ
生西康典
contact Gonzo
トーチカ
柴幸男
Open Reel Ensemble
山崎広太
料金:前売3,500円 当日4,000円

主催:ラフォーレ原宿
企画制作:ラップネット、日本パフォーマンス/アート研究所
キュレーター:小沢康夫(日本パフォーマンス/アート研究所)

プロフィール

柴幸男<

1982年生まれ。愛知県出身。劇作家・演出家・ままごと主宰。青年団演出部所属。日本大学芸術学部在学中に「ドドミノ」で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞。日常の機微を丁寧にすくいとる戯曲と、ループやサンプリングなど演劇外の発想を持ち込んだ演出が特徴。全編歩き続ける芝居(「あゆみ」)、ラップによるミュージカル(現代口語ミュージカル「御前会議」)、一人芝居をループさせて大家族を演じる(『反復かつ連続』)など、新たな視点から普遍的な世界を描き出す。東京を拠点に、地方公演やワークショップ活動など精力的に行っている。

和田永

1987年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科在籍中。旧式のオープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するパフォーマンス・グループ 「Open Reel Ensemble」を主宰する一方、ミュージシャンとしても活動し、ギター、ピアノ、打楽器、電子楽器を演奏する。各種楽器を駆使して音楽/音響作品を多数制作。新作のパフォーマンス作品「Braun Tube Jazz Band」で第13回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。

小沢康夫

プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。ラフォーレ原宿30周年企画「HARAJUKU PERFORMANCE + Special」、金沢21世紀美術館「二十一世紀塾」、美学校「超・日本・パフォーマンス論」、ヨコハマ国際映像祭2009オープニングパフォーマンス「停電EXPO」、「Postmainstream Performing Arts Festival 2010」など。

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