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菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作

ロックンロールの格好して、ロックンロールをやって、初期のビートルズにリスペクトがあるってそれはそうなんだけど、あんまりぴったりはまると逆に違うものに見えてくる。(菊地成孔)

−□□□のお二人は菊地さんに対してどのような印象をお持ちでしたか?

三浦:たぶん最初に菊地さんを知ったのは、2000年ぐらいに早稲田の文化祭にスパンク・ハッピーで出てたときです。それで見ていいなと思って。他に出てたのが、サンガツとかポストロック〜エレクトロニカっていう…

菊地:HEADZ好きのするね。

菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談
三浦康嗣

三浦:そうそう(笑)、その中で明らかに浮くじゃないですか? でもすごいよくて、その後にデート・コース(・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン)知ってみたいな感じだったんですね。僕らはHEADZから1stと2ndを出してて、大谷能生とか友達にいたんですけど、そういう人の中で「デート・コースやばい」って言ってる人がいっぱいいて、同時に、当時朝霧JAMとかフジロックに大勢で遊びに行ってたんですけど、「フェス好き系」ってあるじゃないですか? 渋さ(知らズ)とか好きな友達も行きの車でデート・コースかけてたりして、そういう両方からみんな好きだっていうのがいいなって。

−昨年CINRAで菊地さんにインタビューをさせていただいたときに、「ジャンル・ミュージックのうちに安住しないことが自分の仕事」っておっしゃっていたのがすごく印象的で、それってまさに両者の共通点だと思うんですね。なので、それぞれの「ジャンル・ミュージック」に対する考え方をお話していただきたいと思うのですが。

三浦:「ジャンルは関係ない」ってマイ・ルールだけでやっちゃうのはとっくにダメっていうのは前提だって感じますね。例えばサッカーをアメフトのルールでやっちゃうとか、創作居酒屋みたいなやり方とか、意外とそういうので人は美味しいとか新しいとか言うんですけど、そういうのはどうでもいいよねっていう前提で何をやるかっていう。

菊地:ロックンロールが好きで、ロックンロールの格好して、ロックンロールをやって、初期のビートルズにリスペクトがあるってそれはそうなんだけど、あんまりぴったりはまると逆に違うものに見えてくるじゃないですか。ジャズをやってる人で、チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスが好きで、毎晩ジャズ・クラブでそういう人たちの曲をやってても、逆に違うものに見えてくる。それよりも違った入射角で「この人マイルス好きだよね」って見えた方がわかりやすい。根無し草でまったくオリジナルなことをやる、さっきの創作居酒屋みたいな、なんだかわかんないものが出てきて面白いっていうのをやりたいわけじゃなくて、ジャンル・ミュージックに対するリスペクトがある上で、反復にならないことをやってるんだと思うんですね。

自己像の問題だと思うんですよね。こういう風に見えたい、こういう自分として見られたいっていう。(三浦康嗣)

菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

三浦:基本的に自分は1st以降めちゃくちゃオーソドックスなものをやろうとしてるんです。□□□は最初変なインストみたいなのをずっとやってて、エレクトロニカ系のレーベル・コンピとかに入ってたんですけど、1stをHEADZから出そうって時に、トラック作ってた人がトラックものの上になんとなく歌を乗っけるのも、その逆でオーソドックスな作曲の人がブレイク・ビーツを取り入れるとかも全然面白くないから、打ち込みしかしてなかった人が、普通に作曲ってことをやってみたら、ちょっとした誤解とかが滲んできて面白いものになるかなって思ったんです。自己像の問題だと思うんですよね。こういう風に見えたい、こういう自分として見られたいっていう。

−菊地さん、自己像に関してはいかがですか?

菊地:若い頃は…いとうせいこうさんより年下なんでまだまだ若造ですけど(笑)、80年代は今様に言うところの「見え方」なんて言葉はなかったから。「見え方」とか「立ち位置」っていう発想がユースの中になかった分、みんな一生懸命やってたと思うの。今は「見え方」「立ち位置」が標準装備になって、全員がそれを考えて動いてる状態になってるじゃないですか。

三浦:っていう前提で客もそう認識して見るっていう。

菊地:そう、要するに「自己言及型・自己客観型」の社会ですよね。まだ僕が若い頃は魔術がかってて、めちゃめちゃ勘違いして失敗してるやつがいっぱいいたんですけど(笑)、今はすごいきっちりしてると思う。ある意味僕らの頃は牧歌的だったと思うんです。今はホントにタクティクスとか色々大変じゃない? □□□のお二人はまだシンプルな方だけど、相対性理論と話をするとね、将棋みたいに、「こう言ったらこう言われるから、そこを回避した結果何もやらない」みたいな(笑)。

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イベント情報

『1000年後の南米のエリザベス・テーラー』

2010年6月4日(金)
会場:名古屋 BLUE NOTE NAGOYA
1st Stage OPEN 17:30 START 18:30
2nd Stage OPEN 20:30 START 21:15
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
料金:6,800円

2010年6月5日(土)OPEN 18:00
会場:京都 KBSホール
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
□□□(クチロロ)
DJ:
菊地成孔
DJ Podd (Mellow Tree / aftermath)
料金:前売4,500円 当日5,000円

2010年6月9日(水)OPEN / START 19:00
会場:東京 恵比寿LIQUIDROOM
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
DE DE MOUSE
ゲスト:林正子(ソプラノ)
DJ:
菊地成孔
三浦康嗣(□□□)
料金:4,000円 当日4,500円

プロフィール

菊地成孔

1963年6月14日、千葉県出身。音楽家、文筆家、音楽講師。 アバンギャルド・ジャズからクラブシーンを熱狂させるダンス・ミュージックまでをカバーする鬼才。1984 年プロデビュー後、山下洋輔グループなどを経て、「デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン」「スパンクハッピー」といったプロジェクトを立ち上げるも、2004 年にジャズ回帰宣言をし、ソロ・アルバム『デギュスタシオン・ア・ジャズ』、『南米のエリザベス・テイラー』を発表。2006 年7月にUA×菊地成孔名義で発表したスタンダード・ジャズ・アルバム『cure jazz』が大ヒット。2007年12月には初のBunkamuraオーチャードホール公演を成功させ、2008 年からは菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで活動中。最新作は菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『New York Hell Sonic Ballet』(ewe)。

□□□(クチロロ)

1998年に三浦康嗣(みうらこうし)を中心にブレイクビーツ・ユニットとして結成。以降、徐々にポップス中心のスタイルへと移行。2007年12月、Cubismo Grafico Fiveとしても活躍中の村田シゲが加入。そして2009年7月、作家、タレントとして大活躍の、そしてHIP HOPのオリジネイターでもあるいとうせいこう氏が加入。新たなパーティーとしてスタートを切る。09年12月に、最新アルバム『everyday is a symphony』発売。

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