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菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作

音楽やってると「いい人」でないといけないプレッシャーがすごいわけですよ。フェスとか出るとすごいわかりやすいんですけど。(三浦康嗣)

 

菊地:あと□□□って結局はいい人なのか悪い人なのかわかんないわけね。そこものすごく重要で、さっき言ってた自己像って、要するに同一性の問題で、最近は「音楽をやってるなら善人だ」っていう力がすごい強いわけ。あるいは「こいつらホント悪そうだな」っていう極例があるわけですよね。僕が一番しびれるのは、どっちかわかんないってってことなの。二番目にしびれるのははっきりしてる人なんだけど(笑)、□□□は結局いいやつなんだなとも、屈折した嫌なやつとも、どっちも思わないわけ(笑)。いとうせいこうさんもわかんない、いい人か悪い人か、アンダーグラウンドなのかオーヴァーグラウンドなのか、そこがいいわけですよ。そういう感じの人は若い人であんまりいないと思うんです。

−□□□のお二人から見て、そういういい人か悪い人かどっちかわかんない人っています?

三浦:まあ…菊地さんとかそうですけどね(笑)。

村田:でも大体いい人ですからね。

三浦:そう、音楽やってるといい人でないといけないプレッシャーがすごいわけですよ。フェスとか出るとすごいわかりやすいんですけど。

菊地:うん、誰でもピースになる、あれは一種恐ろしい力で、思考の余地を与えないっていうね。

三浦:あとフェスとか出てると、腕の上がった数とか、コール&レスポンスの声量とかでライヴの出来を判断する、ある種の経済みたいな感じでライヴをやっちゃってるっていうのが、みんな意外と自覚してないんだけど、怖いなって思いますね。

菊地成孔×□□□(クチロロ)の奇天烈?対談

−例えばUstreamなんかはそういうライヴの現状に変化を及ぼすかもしれませんよね。

菊地:Ustreamがフェスの代行に成りうるか? フェスによって20世紀の最後に客と音楽のユニティを急激に取り返したのが、Ustreamでまた分裂するわけでしょ? 「今やフェスも部屋で見れる」みたいなさ。部屋で見たらフェスじゃねえっていう(笑)。料金の問題もめちゃめちゃ関係してると思いますけどね、フリーっていう。音楽家はこれからフリーの問題と戦っていくんですよ。本当に申し訳ないというか、申し訳ないって言う必要もないと思うんだけど、僕だって□□□を一番多く見た時間はYouTubeだからさ。タダだから嬉しくて見てるわけじゃない、そういう問題を超えてるの。「いやあ、YouTubeで得した」なんて思ってないわけ。そこに□□□は打って出てるでしょ? 自分でスウィッチングできるとかさ。僕はもう打って出ないんで(笑)。メディア論はあがったんで、がんばってくださいって感じなんですけど(笑)。

−(笑)。では菊地さんご自身はフリーの問題をどうお考えなんですか?

菊地:めちゃめちゃ牧歌的で、言ったら恥ずかしいぐらいのことを考えてます。ジャズ・ミュージシャンは、生演奏で、その場で聴くってことに信仰があるのね、絶対的な。「ライヴはやっぱり生だよね」っていう副次的なものじゃなくて、真核にあるわけよ。それが人類文化の中で滅亡することはないと信じてるので、最悪野原で演奏してその演奏がよければいいと思ってるから。それは若い頃にヤンさんを見たのにツールに行かずに、楽器を演奏したってことを引き受けてるわけね。だから、そういう意味ではメディアが何かを破壊してしまう恐怖はそんなにないですね。

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イベント情報

『1000年後の南米のエリザベス・テーラー』

2010年6月4日(金)
会場:名古屋 BLUE NOTE NAGOYA
1st Stage OPEN 17:30 START 18:30
2nd Stage OPEN 20:30 START 21:15
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
料金:6,800円

2010年6月5日(土)OPEN 18:00
会場:京都 KBSホール
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
□□□(クチロロ)
DJ:
菊地成孔
DJ Podd (Mellow Tree / aftermath)
料金:前売4,500円 当日5,000円

2010年6月9日(水)OPEN / START 19:00
会場:東京 恵比寿LIQUIDROOM
ライブ:
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
DE DE MOUSE
ゲスト:林正子(ソプラノ)
DJ:
菊地成孔
三浦康嗣(□□□)
料金:4,000円 当日4,500円

プロフィール

菊地成孔

1963年6月14日、千葉県出身。音楽家、文筆家、音楽講師。 アバンギャルド・ジャズからクラブシーンを熱狂させるダンス・ミュージックまでをカバーする鬼才。1984 年プロデビュー後、山下洋輔グループなどを経て、「デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン」「スパンクハッピー」といったプロジェクトを立ち上げるも、2004 年にジャズ回帰宣言をし、ソロ・アルバム『デギュスタシオン・ア・ジャズ』、『南米のエリザベス・テイラー』を発表。2006 年7月にUA×菊地成孔名義で発表したスタンダード・ジャズ・アルバム『cure jazz』が大ヒット。2007年12月には初のBunkamuraオーチャードホール公演を成功させ、2008 年からは菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで活動中。最新作は菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『New York Hell Sonic Ballet』(ewe)。

□□□(クチロロ)

1998年に三浦康嗣(みうらこうし)を中心にブレイクビーツ・ユニットとして結成。以降、徐々にポップス中心のスタイルへと移行。2007年12月、Cubismo Grafico Fiveとしても活躍中の村田シゲが加入。そして2009年7月、作家、タレントとして大活躍の、そしてHIP HOPのオリジネイターでもあるいとうせいこう氏が加入。新たなパーティーとしてスタートを切る。09年12月に、最新アルバム『everyday is a symphony』発売。

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