特集 PR

最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

最小編成で完璧なフォーマット J.A.Mインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
2012/09/24

パソコンを開いて検索をすればあらゆる音楽が聴ける時代に、ジャンルで音楽を語ることはもはやナンセンスだろう。しかし、ジャズ畑出身のミュージシャンに取材をしたときに感じる独特の空気感、視点や切り口の面白さというのは、やはり特別なものがあるように思う。野外フェスの常連ジャズバンドSOIL& "PIMP" SESSIONSの丈青(Piano)、秋田ゴールドマン(Ba)、みどりん(Dr)によるピアノトリオJ.A.Mもまたしかりで、特にバンドの中心人物であり、菊地成孔のDCPRGにも参加する丈青は、いかにもジャズマンらしい、強い個性の持ち主だった。トランペットの巨匠・日野皓正をゲストに迎えた“HE KNOWS”を含み、ジャズに留まらない様々な音楽性が内包された3作目『Jazz Acoustic Machine』で、これまで以上に自らのコアを見せ始めた三人に、バンドの歴史と現在地について、じっくりと語ってもらった。

ピアノトリオは完璧なフォーマット

―J.A.Mのスタートはどのような経緯だったのですか?

丈青:これは自発的ではない形で始まっていてですね。Alfieという老舗のジャズクラブがあって、ソイルでそこに出演したときに、オーナーが「トリオでの演奏も聴いてみたい」という言葉をくれたのがきっかけです。それでやってみたら意外と面白かったということですね。そういうわけで、特に目的とか意図があったわけではないんです。

―ソイルとは異なる、トリオならではの面白味っていうのは、特にどういう部分で感じられていますか?

丈青:ピアノトリオっていうのは元々やりたいと思ってて、ただこの三人でやるっていうのは、オーナーの言葉によって決まったわけなんです。ピアノトリオという編成は、世間一般にはそんなにメジャーではないと思うんですけど、形としてはすごく完璧な形だと思うんですよね。あとはメンバーの組み合わせがマッチするかどうかっていうのが大事で、ソイルが上手く行ってるからJ.A.Mも上手く行くとは限らない。そこはあくまで三人のバランスなんです。

J.A.M

―三人のバランスが良かったから、ここまでやり続けてきているわけですね。では秋田さんは、トリオの魅力をどう感じていますか?

秋田:人数が少ないからより自由ですよね。それが楽しいし、醍醐味なんじゃないかと思います。ただ、それぞれの役割が増えるから、それはすごい大変でもあるんですけど。

―先日大橋トリオさんに取材をしたときも、やっぱり「小編成だと負担は増えるけど、演奏家としては楽しい」ということをおっしゃっていました。

丈青:メンバー以外のジャズマンの方と仕事をするときもありますけど、基本的にトリオ・フォーマットが好きな人は多いですね。

―「役割が増える分楽しい」っていうことなんですか?

丈青:そういう感じは正直ないですね。当然ピアノトリオの場合、ジャッジしたり進行する上でピアノの支配度が高いかもしれないですけど、実際のところたとえばリズムでは、ピアノとドラムがリズミカルに進んでて、ベースがその間にいたり、逆にベースとピアノがリズミカルで、ドラムがステイしたり、みんなで一緒にどっか行っちゃったり、みんなでステイブルにやったり、いろいろ組みやすいんですよね。

秋田:全員どっか行っちゃったときに、戻って来やすいとかもあるかもしれない。

丈青:まあ、ホントにどっか行っちゃうってことはないんだけどね(笑)。ただ、すごく離れたり、すごく近づいたりはあります。あとは2人になったり、1人になったり、とにかく自由度が高いのは確かで、その辺のことも含めて、フォーマットとしては完璧なフォーマットだと思います。

―みどりんさん、ドラマーからの視点ではいかがですか?

みどりん:聞かれると思ってさっきからずっと考えてました(笑)。ドラムって普通、ベースとかピアノみたいな音の伸びっていうか、曲をカラフルにするような音階まではなかなか作れないんです。ただ、ピアノトリオは「ここでこういう伸びをしたい」とか「いろんな音色をもっとやりたい」っていうドラマーの欲求に、すごく合ってるんじゃないかって思います。

丈青:彼の場合歌も歌えるし、絶対音感もあるので、特にメロディーが好きなんでしょうね。

みどりん:あとベース、ピアノ、ドラムっていうのは、室内楽にでもできるし、ロックバンドにもなるっていう、ダイナミクスがたくさん出せるところも魅力なんじゃないかって思います。

Page 1
次へ

リリース情報

J.A.M<br>
『Jazz Acoustic Machine』(CD)
J.A.M
『Jazz Acoustic Machine』(CD)

2012年9月19日発売
価格:2,500円(税込)
VICL-63916

1. JAZZ ACOUSTIC MACHINE(Opening)
2. MINMIN
3. MINMIN(Reprise)
4. REAL
5. BLUE IN GREEN
6. QUIET WAVE
7. HE KNOWS feat. Terumasa Hino
8. GAD(Interlude)
9. ALIOSO
10. BACK FROM DARK SIDE
11. LIQUID STREET
12. BACKRUSH(Interlude)
13. JUSTICE

プロフィール

J.A.M

SOIL&"PIMP"SESSIONS(以下SOIL)のピアノの丈青、ベースの秋田ゴールドマン、ドラムのみどりんの3人によるピアノ・トリオ。都内のジャズ・クラブなどで神出鬼没的に出演、’07年&'08年とFUJI ROCK FESTIVALのField of Heavenに連続出演するなど、SOILと並行して活動中。ノン・ストップで繰り出されるビートの洪水の中を、鍵盤の旋律がめくるめく変化、フィジカルなパワーとトルクの上に、斬新な閃きの連続とダンス・ミュージックとしての高揚感が満ち溢れたパフォーマンスは、ジャズの捉え方に一石を投じる。'08年発売の1stアルバム『Just A Maestro』がロングセラーを記録。続く'10年には2ndアルバム『Just Another Mind』をリリースし、Billboard Japan Music Award 2010で"優秀ジャズアーティスト賞"を受賞。そして'12年3rdアルバムとなる『Jazz Acoustic Machine』を発表した。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

Dos Monos“Clean Ya Nerves (Cleopatra)”

トラックが持つドロドロとした不穏さを映像で表現したのは、『南瓜とマヨネーズ』などで知られる映画監督の冨永昌敬。ストリートを舞台にしたノワール劇のよう。ゲストで出演している姫乃たまのラストに示す怪しい動作が、見る人間の脳内にこびりつく。(久野)

  1. 入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ 1

    入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ

  2. ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面 2

    ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面

  3. Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍 3

    Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍

  4. ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居 4

    ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居

  5. 光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も 5

    光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も

  6. 鈴木康広の作品『ファスナーの船』が隅田川を運航 期間限定で 6

    鈴木康広の作品『ファスナーの船』が隅田川を運航 期間限定で

  7. 『神酒クリニックで乾杯を』に松本まりか、栁俊太郎ら&主題歌はアジカン 7

    『神酒クリニックで乾杯を』に松本まりか、栁俊太郎ら&主題歌はアジカン

  8. 「RADWIMPSからのお手紙」が100通限定配布 渋谷駅地下コンコースに登場 8

    「RADWIMPSからのお手紙」が100通限定配布 渋谷駅地下コンコースに登場

  9. 立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く 9

    立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く

  10. アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと 10

    アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと