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ポップとポップスの違いとは? 堂島孝平インタビュー

ポップとポップスの違いとは? 堂島孝平インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中慎一郎
2013/01/17

過去があるから今にたどり着くというよりも、今が飛び切りいいから過去を見たくなる。

―「真似したくなるようなことを発明するっていうのが、ポップであることのマナー」という話もありましたが、それに関して意識していることはどんなことですか?

堂島:「真似したくなる」っていうのは、話題にしたくなるようなものだと思うんですけど、もちろん一過性のものではなく、人の記憶に残るものでありたいですね。そういう意味で、『こち亀』の“葛飾ラプソディー”は、みんな覚えていてくれてる。僕のことを知らなくても、曲の出だしを歌える人が多いと思うんですけど、それってホントに嬉しいんですよね。今もフェスに呼ばれれば演奏しますし、やっぱり盛り上がるんです。

―今でこそそう思えるものの、当時は葛藤もあったんじゃないですか?

堂島:最初はすごく嫌でしたね。オファー自体、一回断ってますから。というのも、デビューして2年目ぐらいに来た話で、まだ「堂島孝平ってこういう人」っていうイメージが浸透していなかったので、「『こち亀』の人」って思われてしまったら、自分の表現がちゃんと伝わらなくなるんじゃないかって不安で。でもアニメは好きだし、『こち亀』も小さい頃から読んでいたんですね。その制作陣が「堂島さんにやってほしい」と言ってくれているんだったら、自分のためというよりも、テレビを見る子供に面白がってもらうためにやろうって、ある意味割り切ってやったんです。

―それからミュージシャンとしていろんな経験を積んで、今は“葛飾ラプソディー”のことをどう思っていますか?

堂島:今考えると、当時もリスクは感じていたけど、それと同じくらい名前が広まることをチャンスだとも思っていて。しかも最初は半年間だけ流れる予定だったのが、好評ということで、結局4年ぐらい流れたんです。それって初めにも話したように、シンガーソングライターとしてどうこうじゃなくて、音楽家としてものすごく名誉で嬉しいことだったんですね。その後も「“葛飾ラプソディー”を超えるものを作ろう」っていうモチベーションが生まれましたし、今は「いい仕事したな」って思いますね。

―実際に、今回だと“き、ぜ、つ、し、ちゃ、う”みたいなキラーチューンも生まれたし、ちゃんと更新していってるのが素晴らしいと思います。

堂島:「今キレキレ」っていう状態を常に作っていなきゃいけないと思っていて、“葛飾ラプソディー”とかKinki Kidsの曲とか、そういう入り口で僕のことを知ってくれても、今の自分にちゃんと居場所がないとダメですからね。それは積み重ねと言えばそうなんだけど、僕は逆に考えるようにしていて、過去があるから今にたどり着くというよりも、今が飛び切りいいから過去を見たくなるっていう風に周りから捉えてもらえるように、自分の中で答えを出していきたいと思ってますね。

いい音楽をやるのは当たり前で、さらに「いい音楽やってそうだな」って思わせるところまでどうもっていけるか。

―『A.C.E.』から『A.C.E.2』の堂島さんはまさに「今キレキレ」ですよね。音楽性も、もしかしたらこれまでのキャリアで最も若々しいんじゃないかって思いますし。

堂島:今が最高潮ですね(笑)。元々ルーツミュージックを持って音楽を表現していくタイプじゃないから、僕の作品を1枚聴いて次を聴いた人は、「こんなのもあるんだ」っていう発見がめちゃめちゃ多いと思うんです。1曲聴いて全部わかるタイプじゃないというか、それこそ“葛飾ラプソディー”を作った人が、“カナシミブルー”を作ってるとは思わないでしょう(笑)。

―なおかつ、『A.C.E.』から『A.C.E.2』っていうのは、ソリッドさを保ちつつも、アレンジの厚みを増していて、ちゃんと連続性もありますよね。

堂島:『A.C.E.』でスピード感とダイナミクスが強まったので、ライブで披露したときにお客さんに届く初速は上がったんですけど、逆についてこれなくなっちゃうときもあって、「ここが楽しい!」っていうポイントをもっと用意した方がいいかなって思ったんです。それで“き、ぜ、つ、し、ちゃ、う”の、同じ言葉しか歌わないという発想にたどり着きました。フェスって「なんか楽しそうだな」と思わせるのが吉ですよね。いい音楽をやるのは当たり前で、さらに「いい音楽やってそうだな」って思わせるところまでどうもっていけるか、それを今回発見しましたね。

―「なんか楽しそう」ってぼんやりしたニュアンスにも聞こえるけど、でもそれってすごく重要で、途中の話に出たきゃりーちゃんとかも「よくわからないけど、でもなんか楽しそう」っていうのが重要だったと思うんですよね。

堂島:ずっと音楽を作っていると、どうしても自分の方法論、常識、常套句っていうのができちゃって、それを断捨離したのが『A.C.E.』だったんですね。いい音楽を作ることはもちろん大前提なんですけど、そこを飛び越える何かを自分の中に取り込むことが必要で、それはむしろ音楽家が手を付けていない一般的な話題だったり、そういうところに実は新しい音楽が眠ってる気がするんです。きゃりーちゃんの曲を初めて聴いたとき「“つけまつける”って言われても……」って最初は思ったけど(笑)、ビジュアルも含めて、音楽が音楽の範疇に留まっていないから楽しいし、アイコンとして優秀なんだと思うんですよね。

―堂島さんの今のビジュアルは先生にもサラリーマンにも見えなくはないですけど、今日話をして「この人はポップの発明家なんだな」ってすごく思いました。

堂島:それ、見出しでお願いします(笑)。「すごくこだわってます」とか「音楽のことわかってます」ってことを伝えたいんじゃなくて、それらが全部ポップな方に転んでいくっていうのが面白いと思ってるんで。

―実際にはこだわりはめちゃめちゃあるんだけど、でもアウトプットはやっぱりポップなんですよね。

堂島:そうなんですよね。もちろん自分なりに勝負してる気持ちはあるので、「攻めてるなあ」って伝わる部分もあるとは思うんですけど、それでもやっぱり「楽しい」とか「踊れる」とか、ポップさの方が勝ってるものになってたいなってすごく思うんですよね。

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リリース情報

堂島孝平『A.C.E.2』初回限定盤(CD+DVD)
堂島孝平
『A.C.E.2』初回限定盤(CD+DVD)

2013年1月23日発売
価格:2,800円(税込)
TECI-1356

2013年1月23日発売
価格:3,000円(税込)
TECI-1355

1. ア・ストロボーイ
2. シンクロナイズド・モーニング
3. き、ぜ、つ、し、ちゃ、う
4. メイクはほどほどに
5. クリーニング・グルーヴィー
6. ないてんのわらってんの[A.C.E.2 MIX]
7. 都会のイカロス
8. ブルーベリー・サンセット
9. 君の髪がなびくのを見ている
10. 世界のはじまり
11. キッチン・ダンスホール
[DVD収録内容]
・“き、ぜ、つ、し、ちゃ、う”PV
・“シンクロナイズド・モーニング”PV
・“き、ぜ、つ、し、ちゃ、う - A.C.E. SHOW at 渋谷 CLUB QUATTRO 2012/09/09 -”

堂島孝平『A.C.E.2』通常盤(CD)
堂島孝平
『A.C.E.2』通常盤(CD)

2013年1月23日発売
価格:2,800円(税込)
TECI-1356

1. ア・ストロボーイ
2. シンクロナイズド・モーニング
3. き、ぜ、つ、し、ちゃ、う
4. メイクはほどほどに
5. クリーニング・グルーヴィー
6. ないてんのわらってんの[A.C.E.2 MIX]
7. 都会のイカロス
8. ブルーベリー・サンセット
9. 君の髪がなびくのを見ている
10. 世界のはじまり
11. キッチン・ダンスホール

イベント情報

堂島孝平×A.C.E. 2013ツアー「シンクロナイズド・きぜつ・SHOW」-A Crazy Entertainment SHOW 2013-』

2013年2月10日(日)
会場:宮城県 仙台 HooK

2013年2月16日(土)
会場:福岡県 福岡 BEAT STATION

2013年2月17日(日)
会場:岡山県 岡山 MO:GLA

2013年2月24日(日)
会場:愛知県 名古屋 ell. FITS ALL

2013年3月2日(土)
会場:東京都 日本橋三井ホール

2013年3月3日(日)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO

※2013年春札幌公演を予定

プロフィール

堂島孝平

976年2月22日、大阪府大阪市生まれ、城県取手市育ち。1995年に18才でデビュー以来、常に「挑戦」と「発明」を続ける、21世紀ポップミュージックの旗手。トーク、イラスト、人間力など、得意技多数のファニーフェイス。そのキラキラした「ヴォーカル」と「ソングライティング」、「サウンドプロダクション」は、デビュー当時から現在に至るまで、多くのポップミュージックのツボを心得た人たちから熱く長く支持を集めている。迷いなく「究極のきらめき」を届け続ける自らの音楽スタイルを「HARD CORE POP!」と名付け、その体現者として「ハードコアな気持ち」を胸に「POP道」をまっすぐ前進中。

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