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村松亮太郎×真鍋大度対談 映像をスクリーンから解放したもの

村松亮太郎×真鍋大度対談 映像をスクリーンから解放したもの

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:佐々木鋼平

リアルタイムとリッチ。一見逆の方向性に見える2つを混在させるのが鍵かもしれない。(村松)

村松:僕は、プロジェクションマッピングで映像がモニターから解放されたことは、モノクロ映像のカラー化レベルの革命にもなり得ると思うんです。ホログラムなども、インタラクティブ性を加えれば、渋谷の真ん中でグラスをつけて『バイオハザード』をプレイするなんていう奇想も現実に近付く。

真鍋:うんうん。

村松:舞台でもSF映画並みの世界観を持つ表現が可能になったり。でもそうなると、これは一体どういう表現者の主戦場になるのかな? とも思う。

真鍋:『TOKYO HIKARI VISION』のプロジェクトは村松さんのネイキッド中心で動かしたんですか?

村松:はい。ウチもスタッフが色々いて、バンドみたいなものです。サックスできる人がいればジャズもやれるねっていう風に、そのほうが会社として面白いから。でも今、プログラミングは足りてない部分なので考えていきたくて。MVで手作業で作り込んでいるCGを、自動生成でできないかとかね。真鍋さんたちはそれに近いことをやってるんでしょう?

真鍋:そうですね。僕らの会社ライゾマティクスではデバイスに強い人や、映像の生成表示プログラムを書く人がいます。リアルタイムで何かやるっていうことに関しては、スペシャリストが集まっていますね。でも逆に、尺のある映像を得意とする人はなぜかいなくて。

村松:じゃあぜひ一緒に(笑)。でも、映像体験における時間軸の扱い方って、今のテーマだとも思うんです。映画を早回しで観る人もいるし、ある意味、映像のストーリー性は崩壊している時代ですよね。

村松亮太郎

真鍋:体験側がアクションできる環境が増えてきたことも理由かもしれませんね。一方通行でないものは増えていて、そこはもっと追求したいです。

村松:映像もビデオからもっと飛び出せばいい。でも意外と、人は既存メディアに捉われてしまうんですよね。

真鍋:リッチな映像って格好いいですからね(笑)。例えばモーショングラフィックスやCG専門の人が作るディテールの凄さや表現力は、自分にはない部分なので憧れもあります。

村松:「リッチな映像」の最たるものは映画ですよね。それが僕も映画に惹かれていたところで。でも、単に高解像度とか臨場感の点だけでいえば、どんなに美しいハワイの映像を撮ってきても、現地で潮風を浴びながら眺める景色の方が上だとも思う(笑)。今のみんなの気分として、リアルタイム性がある映像を求めている気がする。

真鍋:リアルタイム性のある映像だと、今のところゲームが最もリッチでしょうね。多くはまだモニターの中だけれど、1、2年でその状況も変わるかも。リアリティーがある場所で、プロジェクションマッピングのようなスケール感でリッチな表現をするのは面白いかもしれません。

村松:リアルタイムとリッチ。一見逆の方向性に見える2つの要素を混在させるのが鍵かもしれないですね。真鍋さんの作品では、Nosaj ThingのPV“Eclipse/Blue”もリアルタイムな映像生成が面白いです。



真鍋:これはダンサーの位置を解析して、その身体に投影しています。いわゆるプロジェクションマッピングとは違って、動く物に追従してマッピングできます。

村松:実際の作業はどう進むのでしょう?

真鍋:日食がキーワードの曲なので、そこから連想することから始めました。ダンサーがいて、プロジェクターがあって、スクリーンの表裏でダンサーが踊るのですが、それらが重なる中で光が漏れる様子が日食的だなと。その着想をPerfumeの演出振付家のMIKIKO先生に伝えて、振りができてから映像作りのスケッチをしました。これもTAKCOMとの仕事なのですが、彼は僕がアレコレ言わなくても、予想以上のものを作ってくれるんです。

村松:スクリーンに流れる映像は、リアルタイムの生成映像と、作成済み映像のミックス?

真鍋:そうです。システム的には、スクリーンの後ろから赤外線をスクリーン一面に投光しています。赤、青、緑のセロハンを貼ったハロゲンライトを赤外線投光器代わりにしています。スクリーンのダンサーが立つと、赤外線を遮断してシルエットができるので、それを赤外線フィルタを取付けたハイスピードカメラ2台で200フレーム / 秒でダンサーの動きを解析しています。

村松:今こういうことやる人は、結構多いのかな?

真鍋:赤外線投光器を使ってシルエットを検出するのは、Kinectが出てからはあまりやらなくなりましたね。ただ、同じようなリアルタイム系のコンテンツは、オリンピックの大型イベントなどでよく出てきます。Chunky MoveやKlaus Obermaierなど、コンテンポラリーダンスの世界でも結構見ます。ダンサー側がプロジェクションに合わせて動いて、あたかも映像の方が反応してるように見せる「練習系」の方がリッチな表現ができるのですが、それだけだと物足りなくなってきたのかもしれません。





村松:ほかに、真鍋さんの最新のリアルタイム系の映像でいうと?

真鍋:Perfumeのライブイベントでの仕事ですかね。彼女たちの目の前に映像が出て来る様な仕組みをスピンさんという会社にお手伝いをして頂いて作って『マイノリティ・リポート』的な演出を行いました。企画は電通のクリエイティブチームで、演出はMIKIKO先生、モーショングラフィックはTAKCOMです。指先に取付けた小さなマーカーの位置を解析して、映像はリアルタイムで生成しています。解像度は3840×1080です。展示とは違ってライブは一発物なので、どれだけ安定したシステムを組んで、バックアップを作っていても、本番時は無茶苦茶緊張しますね。その緊張感を観てる側も現場で共有できるのがライブの良いところだと思います。



村松:つまり魅力を感じるものは、生で起きている感覚がするもの?

真鍋:そうとも言えますね。まあ僕は、CGのモーショングラフィックが音とバキバキに合ってるだけっていうのも好きですけどね(笑)。

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インフォメーション

株式会社ネイキッドでスタッフを募集しています。
詳細はNAKED inc.を参照ください。

イベント情報

『scopic measure #15 ライゾマティクス新作インスタレーション「pulse 3.0」』

2013年1月27日(日)〜3月24日(日)10:00〜19:00
会場:山口県 山口情報芸術センター[YCAM]スタジオB
出展作家:Rhizomatiks
料金:無料

リリース情報

『SWITCH』VOL.31 NO.2
『SWITCH』VOL.31 NO.2

2013年1月20日発売
価格:882円(税込)
発行:スイッチ・パブリッシング

イベント情報

『MEDIA AMBITION TOKYO(MAT)』

2013年2月15日(金)〜2月17日(日)

『ライブイベント「MAT LIVE」』
2013年2月15日(金)20:00〜
会場:東京都 六本木ヒルズ マドラウンジ、スカイギャラリー3(森タワー52F東京シティビュー)
出演:
原田大三郎
高木正勝
Open Reel Ensemble
DJ:
TOWA TEI
ピエール瀧(電気グルーヴ)
MOODMAN
鈴木哲也
HICO
RUBY
VJ:Enlightenment
料金:前売4,000円 当日5,000円(共に東京シティービュー入場料込み)
※18歳未満入場不可

『アリーナイベント「MAT ARENA」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズアリーナ
参加アーティスト:Rhizomatiks
料金:無料

『ギャラリーイベント「MAT GALLERY」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズ スカイギャラリー1(森タワー52F東京シティビュー)
参加アーティスト:チームラボ
料金:無料(東京シティービュー入場料が別途必要)

プロフィール

村松亮太郎

映画監督、映像クリエイター。クリエイティブカンパニーNAKED inc.代表。TV、広告、MVなどジャンルを問わず活動を続ける。2006年から立て続けに長編映画4作品を劇場公開した。自身の作品がワールドフェストヒューストングランプリ受賞など、国際映画祭で48ノミネート&受賞中。近年は3Dプロジェクションマッピングに着目し、昨年末話題となった東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』の演出を手掛けた。

真鍋大度

1976年生まれ。株式会社Rhizomatiks取締役。東京理科大学理学部数学科卒業、国際情報科学芸術アカデミー (IAMAS) DSPコース卒業。ジャンルやフィールドを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。2011年度Prix Ars Electronica、インタラクティブ部門準グランプリ受賞。第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で『Perfume “Global Site Project”』が大賞を受賞。2013年には『SWITCH』で自身が監修した『テクノロジー+カルチャーネ申100』が発売。2013年1月27日(日)〜3月24日(日)まで、YCAMで『scopic measure #15 来ゾマティクス新作インスタレーション3.0』を行う。

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