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村松亮太郎×真鍋大度対談 映像をスクリーンから解放したもの

村松亮太郎×真鍋大度対談 映像をスクリーンから解放したもの

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:佐々木鋼平

最近、中高生からメールが来るんです。(真鍋)

真鍋:村松さんは、映画から映像の世界に入ったんですか?

村松:僕はもともと音楽がやりたかったんです。でも兄貴のほうが才能あって諦めた。自分で言うのも何ですが、割と何でもできたタイプで、でも何か自分だけのものが欲しいと思って、そのとっかかりが映画だったのかな。

真鍋:やっぱり、大きく影響された作品とかも?

村松:遡ると、小さい頃に親父に全シリーズ見せられた『ゴッドファーザー』ですかね。だからアイドルはマーロン・ブランドというところから始まっちゃって(笑)。役者をやったのも、まず映画を通して触れたのが俳優だから、そこに飛び込んでみた。実際はすごく大勢の人が関わる世界でしたけれど。

真鍋:僕らがやっていることは、まだ映画ほど役割分担がない世界だとも言えます。だからクレジットの問題もよく起きる。映画みたいに規模も大きくないので、同じ人が照明も映像もソフトも企画も作るということはよくありますね。僕らの会社では、ハードもソフトも一通り人材が揃っています。でもこれを1から揃えるのはすごく大変。IAMASやアートプロジェクトを通じてコラボして、ライゾマティクスで一緒にやるケースが多いんです。

村松:そこはウチもまったく同じです。チーム作りが難しいのも、半ボーダレスなのも。だからこそ東京駅の仕事が実現できたとも言えて。もちろん、あれだけの規模なので外部スタッフにも協力してもらいましたが、やはり息の合うチームの大切さは感じますね。

真鍋:わかります。良いチーム作りも難しいですよね。

村松:さらに下の世代って、自分との違いを感じますか?

真鍋:最近、中高生からメールが来るんです。Perfumeのファンや、自分でiPhoneアプリを作ってるような子たちで、「こういうことやってみたい」という質問ですね。「これをダウンロードしたらできると思うよ」みたいに返すこともあるんですが、そうすると割とすぐやってのける。だから、自分のころに比べるとただただ羨ましいですね(笑)。環境や早熟さも含めて。

村松:僕、プログラミングは今もう全然わからないんですが、あれがもっと感覚的な人間にも使えるようになるといいのに……。

真鍋:openFrameworksは、開発者もそこに重点を置いて環境作りをしていますし、全体的にそういう方向には進んでいると思います。逆に、そういう何でもできる環境だからこそ、面白いものを生み出すのは、今難しいと言えるかもしれません。

村松:マッピングもあっという間にメジャーになって、いま代理店とかがウワーッと動いています。きっと今年すごく出てくると思うけれど、だからこそ次の試みが必要だと思う。

真鍋:僕らも2009年頃からいくつかやっていて、対象に投影する精度を試行錯誤して上げてく段階はすごく面白かったです。コンテンツというよりはシステムを構築するのが楽しかったのですが、今は専用ソフトも普及して、そうなると予算や機材も含めた総合力勝負になるんですよね。そこに燃える人は、また別にいるわけですけど。

村松:僕がこれからマッピングでやりたいと思っているのは、普通に建物に投影するのとは違うんです。例えば閉じた空間でエンターテインメント性の高いものをやってみたい。

真鍋:マッピングでインタラクティブ性もあるっていうのは、世界的にもまだ少ないですよね。僕も自分で関わったのは『night lights』くらいですね。

night lights from zach lieberman on Vimeo.

村松:ウォータースクリーンとか、別技術も合わせた複合的なものもやりたいと思う。それが自分の動きに反応したらさらに面白い。やはり生の空間で起こる魅力でしょう。『東京ミチテラス2012』も、現場で見た人がYouTubeに上げたり、Ustしたり、みんながある意味「加工」した。仮に100万人が撮ったら、1人が見た景色とは違うものができ上がる。

真鍋:そうですね。オープンで参加可能な場所から新しいものが生まれる、そういう可能性も感じます。ただ、スケールが大きくなると観客と映像とのインタラクションがまた難しくなって来ますよね。自分が参加したのかどうかよく分からなくなってしまうので。課題はまだまだあるので、その分チャンスもありそうです。

村松:真鍋さん、今日会うまでは「難しい人だったらどうしよう」と思ったけど、パソコンの思い出話あたりから親近感がグッと増して嬉しかったです。僕らにとってのパソコンもそうだったし、Kinectもマッピングも、人間の感覚をポッと変えてくれる何かがある。そういう存在に惹かれるし、そそられます。

真鍋:僕は『東京ミチテラス』のお仕事を知って、こういう形でインタラクティブなのもやらないのかな? って、遠くから思っていました。だから村松さんが実際そういうことを考えてると聞いて嬉しかったです。

村松:ワクワクできればいいんですよね、究極的には。

真鍋:僕のやってることは、エンタメ系を除くと実はそんなにイリュージョン感はないですけどね(苦笑)。電気で顔の筋肉動かしたり、眼球の動きを解析したり。でもまあ、それはそれで本人は面白いんです。

村松:真鍋さん、今度ぜひ僕のプロジェクトで何か動かしてください。

真鍋:ん……筋肉を?

村松:いや、プロジェクションでお願いします(笑)。

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インフォメーション

株式会社ネイキッドでスタッフを募集しています。
詳細はNAKED inc.を参照ください。

イベント情報

『scopic measure #15 ライゾマティクス新作インスタレーション「pulse 3.0」』

2013年1月27日(日)〜3月24日(日)10:00〜19:00
会場:山口県 山口情報芸術センター[YCAM]スタジオB
出展作家:Rhizomatiks
料金:無料

リリース情報

『SWITCH』VOL.31 NO.2
『SWITCH』VOL.31 NO.2

2013年1月20日発売
価格:882円(税込)
発行:スイッチ・パブリッシング

イベント情報

『MEDIA AMBITION TOKYO(MAT)』

2013年2月15日(金)〜2月17日(日)

『ライブイベント「MAT LIVE」』
2013年2月15日(金)20:00〜
会場:東京都 六本木ヒルズ マドラウンジ、スカイギャラリー3(森タワー52F東京シティビュー)
出演:
原田大三郎
高木正勝
Open Reel Ensemble
DJ:
TOWA TEI
ピエール瀧(電気グルーヴ)
MOODMAN
鈴木哲也
HICO
RUBY
VJ:Enlightenment
料金:前売4,000円 当日5,000円(共に東京シティービュー入場料込み)
※18歳未満入場不可

『アリーナイベント「MAT ARENA」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズアリーナ
参加アーティスト:Rhizomatiks
料金:無料

『ギャラリーイベント「MAT GALLERY」』
2013年2月15日(金)〜2月17日(日)
会場:東京都 六本木ヒルズ スカイギャラリー1(森タワー52F東京シティビュー)
参加アーティスト:チームラボ
料金:無料(東京シティービュー入場料が別途必要)

プロフィール

村松亮太郎

映画監督、映像クリエイター。クリエイティブカンパニーNAKED inc.代表。TV、広告、MVなどジャンルを問わず活動を続ける。2006年から立て続けに長編映画4作品を劇場公開した。自身の作品がワールドフェストヒューストングランプリ受賞など、国際映画祭で48ノミネート&受賞中。近年は3Dプロジェクションマッピングに着目し、昨年末話題となった東京駅の3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』の演出を手掛けた。

真鍋大度

1976年生まれ。株式会社Rhizomatiks取締役。東京理科大学理学部数学科卒業、国際情報科学芸術アカデミー (IAMAS) DSPコース卒業。ジャンルやフィールドを問わずプログラミングを駆使して様々なプロジェクトに参加。2011年度Prix Ars Electronica、インタラクティブ部門準グランプリ受賞。第16回文化庁メディア芸術祭エンターテイメント部門で『Perfume “Global Site Project”』が大賞を受賞。2013年には『SWITCH』で自身が監修した『テクノロジー+カルチャーネ申100』が発売。2013年1月27日(日)〜3月24日(日)まで、YCAMで『scopic measure #15 来ゾマティクス新作インスタレーション3.0』を行う。

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