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高木正勝による気楽な生き方のススメ

高木正勝による気楽な生き方のススメ

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:西田香織
2013/02/15

今の僕とそれ以前の僕とは、もう断絶と言っていいぐらいの違いがあると思います。

―昨年のラフォーレミュージアム原宿でのライブを拝見しました。あれ、すごく印象的だったんです。実のところ、途中までは、どこに行くかわからない感じで……。

高木:ねえ。自分でもわからなかった(笑)。

―前半は「これは一体どうなるんだろう?」とヒヤヒヤしてたんですけど。

高木:家で直前まで練習してたときは、調子が良かったんです。それを見せたいのに、なかなか指が動かない。そうなったときに「こんなもの見せてどうするんだ」という気持ちになって。

―途中で客席の赤ちゃんが泣き出して、高木さんが「こんなん聴かせたら泣くよね」って仰っていて。

高木:そうそう(笑)。赤ちゃんがイヤがって、本気で泣き出した。最近のライブでは、音を出す前に緊張しないんですね。「どうもどうも〜」って感じで始めたくて。でもあのときは、昔のライブみたいに空気がピシっとしていて。それはそれで良かったんですけど、赤ちゃんが泣き出して、やっぱりもうやりたいことが変わっちゃったんだって改めて思いました。

高木正勝

―あそこをきっかけにムードが変わりましたよね。後半では、ダンサーの森山開次さんとの即興コラボもあって、すごく伸び伸びした演奏になっていました。

高木:最初の雰囲気のまま2時間は無理だなってことに会場にいたみんなが気付きましたよね。そこから空気を切り替えたら、みんなに笑顔が出るようになった。普段、家で作品を作っていて調子がいいときも、大体あの後半の感じなんです。森山さんにああいう風に踊ってもらう予定はなかったんですけど(笑)。

―あのライブも高木さんの表現の変化を反映していたんでしょうか?

高木:そうですね。実は『おおかみこどもの雨と雪』のサウンドトラックを去年の6月に作ってから、それまで10年間マネージメントをやってもらっていた人と離れて、一人でやり始めたんです。震災以降くらいから2年かけて、それ以前の活動とやりたいことが変わってきたから、それと折り合いをつけるために、一人になろうと思って。

―マネージメントやスタッフも含めて、環境が変わっていたんですね。

高木:でも、あのライブは、制作、照明やPAなどのスタッフも「旧高木組」みたいな感じが集結していて。2年振りくらいの顔合わせだったので楽しみにしていたのですが、「あれ? 何かが違う?」と戸惑ったんですね。たとえば照明の演出にしても「そこに戻りたくないんだけど、『高木正勝』っていったら雰囲気は確かにそっちだったな」みたいな感じで。照明をやってくれた高田君もライブが終わってから「ずいぶん変わったね。ライブの途中で気付いて合わせ直した」って言ってました。自分でも変わったと思いますよ。

―表現のあり方を変えようとしていた時期は、去年だったのでしょうか?

高木:もっと前からですね。今回のアルバムは、古い曲は別として、“Nijiko”という曲が最初にできた曲なんです。あの曲が震災以降の2011年の6月にできて、そのあたりから、僕の中で大きな変化があって。今の僕とそれ以前の僕とは、もう断絶と言ってもいいぐらいの違いがあると思います。

高木正勝

前より圧倒的に愛おしいと思えるものの数が増えた。そうなってから、音や曲の作り方も変わりましたね。

―前回インタビューしたとき、「子どもの頃に描いてた絵の続きになるような表現がしたい」って言ってましたよね。その話を聞いて、このアルバムを聴くと、すごく納得がいくんです。

高木:ふにゃふにゃでしょ?(笑) 前は、お城を築くような、物語を紡いでいくような部分があったんですね。でも最近は、1曲の中で、音を並べているだけという感覚が増えてきたんです。

―というと?

高木:以前は、受け入れられない、ダメなものがたくさんあったんです。どこかに飛び抜けていいものがあるんだと思っていて、それを探求していた。でも、そうじゃなくて、「全部がいい」という目線に立ったら、どれも捨てられなくなって。もちろんその中で取捨選択はするけれど、前より圧倒的にいいと思えるものの数が増えた。いいというか「愛おしい」っていう感じで。そうなってから、音や曲の作り方も変わりましたね。たとえば、川って淀んでるところも清いところも、どの部分をとっても川じゃないですか? そういう感覚に似ているかもしれないです。

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リリース情報

高木正勝『おむすひ』(2CD)
高木正勝
『おむすひ』(2CD)

2013年2月20日発売
価格:3,500円(税込)
felicity / PECF-1063/4 / cap-165

[DISC1]
1. Light Song
2. Niyodo - piano
3. Kaze Kogi
4. Niyodo
5. Hasirimiz
6. Mikura
7. Odori
8. Garbha
9. Kaze Kogi - piano
10. Niyodo - piano(reprise)
11. Kaze Kogi - koti koti teiiyu
12. Odori - variation
13. Light Song
14. Nijiko
15. Nijiko - tiny piano
16. Nijiko - Origin
17. Light Song
18. Mahoroba
19. Ten Ten
20. Light Song
[DISC2]
1. Light Song
2. Tamame
3. Horo
4. NGIA
5. Colleen
6. ohoti
7. HEHE-MIHI
8. Sione
9. VEDA
10. Tamame(reprise)
11. Light Song
12. Sora
13. Yume
14. Furu-Fusa-Fusa
15. Yubi Piano
16. Light Song
17. 一起走
18. Light Song
19. Kigi
20. Ticora
21. Musuhi
22. Light Song
23. Light Song
※絵本作家さとうみかをによる32ページブックレット付き

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高木正勝 iPhone5ケース「ぶどうがり」
高木正勝
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価格:3,675円(税込)
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プロフィール

高木正勝

1979年生まれ、京都府在住。音楽家/映像作家。普遍的で深遠な要素を持ちつつ、カラフルでPOPな映像と、自ら作曲する音楽を融合させた作品により注目を集めるアーティスト。2009年のNewsweek日本版で、「世界が尊敬する日本人100人」の1人に選ばれている。国内外のレーベルからCD/DVDをリリースするだけでなく、アニエスベーとのコラボレーションによる作品制作、東京都現代美術館でのビデオ・インスタレーションなど、アート、音楽、クラブ、ファッションといった表現の境界線を軽々と超える活動を展開している。

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