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眠りを起こされた至宝の歌 コシミハルインタビュー

眠りを起こされた至宝の歌 コシミハルインタビュー

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
2013/05/24

いろんな聴かれていない曲が、どんどん埋もれていくのは放っておけない。

―このアルバムを聴く中で、こういう昔のアーティストを知っていると、もっと楽しく聴けるんじゃないかというものがあれば、教えていただけると嬉しいです。

コシ:初期の頃のフランク・シナトラはいいですよ。ハリー・ジェイムスからトミー・ドーシー楽団の専属歌手だった頃。特にトミー・ドーシーの頃がとてもいいですね。トミー・ドーシーのトロンボーンの音と相まって、柔らかな声が音楽そのものです。パイド・パイパーズという素晴らしいコーラスグループも一緒にいたので、その時代は格別です。

―逆に最近の作品でコシさんが刺激を受けるものはありますか?

コシ:もうずっと聴いてないから、わからなくて。新しい音楽は全然知らないんです。

―いつから聴かなくなってしまったのでしょう?

コシ:もう80年代くらいから(笑)。

―これだけ素晴らしい曲がたくさんあるのに、新しい曲を聴く必要はないという考え方もありますしね。

コシ:いろんな聴かれていない曲が、どんどん埋もれていくのは放っておけないみたいな感じはあります。どうしてもまた見えるところに持ってきたいし、演奏したいと思うんです。クラシックなどでは、譜面しかなくてレコーディングされない曲や、演奏会でも滅多に演奏されない小品で素敵な曲がたくさんあるので、そういうのをやりたい気持ちがすごくありますね。時代を遡って聴いていくと際限がないというか……。

コシミハル
コシミハル

―いまの若い人にこういう音楽を聴いてほしいとか、こういう聴き方をしてほしいっていう想いはありますか?

コシ:いま見えるもの以外のものに目を向けてみるのがいいんじゃないでしょうか? 同時代にあるもの以外のもの。ポピュラーの歴史は長いでしょう? レコードができてから、すごくたくさんの録音物があるので、古いものの中にも、きっと好きなものがあると思います。

―ちなみにコシさんはどういうところから情報収集されているんですか? このお店に行ってレコードを掘ってる、とか。

コシ:情報収集っぽいことはあんまりしてないかな……。好きな映画に出会ったら、その音楽を作っている人の他の作品を聴いてみるとか? 『八月の鯨』という映画は、リリアン・ギッシュという昔のサイレント女優が、80代くらいになったのときの映画なんですけど、昔を思い出して、蓄音機をかけるシーンがあって。そのときに“ピカルディの薔薇”が流れてきて、すごく素敵だったんです。最初はイヴ・モンタンでこの曲を知ったのですけれど、「あ、もとはこれだったのか」っていう発見がありました。

―映画を観ることが自分の興味を掘り下げるきっかけになっているんですね。

コシ:何かを調べたくなったり、繋がっていける映画がやっぱり楽しいですね。それを追いかけていくうちに、自分が好きなものがわかってくるというか。

―このアルバムに入っている解説も、いいきっかけになりそうですよね。一つひとつの楽曲に、コシさんが何を考えてカバーされたのか書かれていて。それこそもとになった映画を観ることから始めてもいいでしょうし。

コシ:そういうきっかけになれれば、とても嬉しいです。どんなものでも知らないものを知ろうとすればいいのではないかと思うことがあります。最近はみんなすごく心配症で、人が知ってることに興味を持ちたがるでしょう。みんなそれぞれ、自分の好きなものを見つけるといいと思います。そうするとちょっと気持ちが落ち着くんじゃないかな? 次々に新しいものが出てくるけど、情報はどんどん消費されていっちゃうので。

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イベント情報

コシミハルコンサート
『Madame Crooner』

2013年7月3日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 下北沢 北沢タウンホール
出演:
コシミハル(Chant, Acc, Glo, Pf)
フェビアン・レザ・パネ(Pf)
浜口茂外也(Dr,Per)
渡辺等(Ba)
料金:前売6,000円(簡易書留送料別)

リリース情報

コシミハル<br>
『Madame Crooner』(CD)
コシミハル
『Madame Crooner』(CD)

2013年5月22日発売
価格:3,150円(税込)
VICL-64033

1. Polka dots and moonbeams
2. You do something to me
3. C'est si bon
4. Un jour mon prince viendra(Someday my prince will come)
5. Bonne nuit minouche
6. Ich bin von kopf bis fus auf liebe eingestellt(Falling in love again)
7. Kinder, heut'abend, da such ich mir was aus
8. Parlez-moi d'amour
9. Mona lisa
11. 希望の泉(Source d'espoir)
12. Les roses de Picardie
13.Wiegenlied(シューベルトの子守唄)

コシミハル<br>
『覗き窓』(CD)
コシミハル
『覗き窓』(CD)

2013年5月22日発売
価格:2,730円(税込)
VICL-64034

1. Valse noire ヴァルス・ノワール
2. Rubus fruticosus 黒いちご
3. A la piscine ア・ラ・ピシーヌ
4. Un secret de mon frère 兄の秘密
5. Chidori
6. Royal éperon ロワイヤル・エプロン
7. Félicité フェリシテ
8. Marée haute 満潮
9. Jardin des oublis 忘却の庭
10. Petits pieds 小さな足
11. Frère et sur contrefaits 偽の兄妹
12. La paume cachée 密かな

プロフィール

コシミハル

東京生まれ。3歳よりピアノを習い始め、8歳より作曲を始める。様々なミュージシャン(武満徹、細野晴臣)のための編曲、映画音楽、舞台音楽などを手がける。1989年「今宵マドンナ」で広告音楽競技大会作曲賞受賞。1997年から音楽とバレエ・ダンスをひとつに昇華したシアトリカルなステージ作品シリーズ「Musique-hall」の演出・振り付け・出演を行う。2008年オリジナルアルバム『覗き窓』、2013年『Madame Crooner』をリリース。

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