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鏡よ鏡、滑稽なのはだあれ? 吉澤嘉代子インタビュー

鏡よ鏡、滑稽なのはだあれ? 吉澤嘉代子インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2013/05/31
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魔女修行をしていた子どもの頃っていうのは、自分の中ですごく許せない時代だったんです。

―ブログにも書かれてましたけど、その学校に行けなかった時期に「魔女になりたい」と思って、ほうきにまたがったり、一人で魔女修行をしていたそうですね?

吉澤:そうです。魔女の修業をすることも、本を読むことも、今の自分から別の自分になりたいっていう、変身願望だったんだと思います。

―どうして「魔女」だったんですかね?

吉澤:どうしてでしょうね……。魔女にさらわれる夢を見たことがあるんですけど、それがきっかけなのかどうなのか……。でも、何か自分にとって響くものがあったんでしょうね。

―「私は他の人とは違うんだ」みたいな感覚が常にあったんですか?

吉澤:そうだと思います。それに、こんな風に自分の部屋でうずくまってる自分は本当の自分じゃなくて、もっと特別な力を持った自分であってほしいっていう願望があったんだと思います。

―その時代を経て、高校からは学校に通い出したんですよね。

吉澤:そのときあるミュージシャンの音楽がものすごく好きになったんです。その人は私のことを知らないけど、私だけに歌いかけてきてくれているって信じてて、私も高校に行ったら、そういう音楽をやりたいと思ったんです。それで軽音楽部に入って、そこからすごく変わっていきました。

―その「あるミュージシャン」っていうのは?

吉澤:……サンボマスターだったんですけど(笑)。

―意外! あ、でも『サンボマスターは君に語りかける』ってアルバムがあったもんね。文字通り、「私に語りかけてくれてる」って思ったんだ。

吉澤:思いました。私の頭の中では、サンボマスターが恋人だったんです(笑)。

―(笑)。ただ、中学までは学校に行ってなかったわけだから、高校で軽音部に入っても、最初はコミュニケーションをとるのに苦労したんじゃないですか?

吉澤:そうですね。家に閉じこもっていた頃は、友達が連絡帳を持ってきてくれても押し入れに隠れてるぐらいだったので……。人と親密に関われないというか、約束が苦手で、「この日に一緒にここ行こうね」って言われると、それだけで「無理無理」ってなっちゃって……大丈夫ですか? こんな話ばっかりで(笑)。

吉澤嘉代子

―吉澤さんがどんな人かっていうのをわかってもらった上で音楽を聴いてもらったほうが、より伝わると思うから、大丈夫です(笑)。

吉澤:わかりました(笑)。なので、高校生になっても人とコミュニケーションをとるのはやっぱりすごく苦手で、バンドのときも自分だけ熱くなっちゃって、「ここをこうしたい!」って言っても、なかなか上手くいかなくて。それで、一人でやるようになって、オーディションを受けてみたら、今のディレクターと出会ったんです。

―それこそ、オーディションなんて多くの人の前で歌わなきゃいけないと思うんだけど、そういうのは大丈夫だったんですか?

吉澤:高校生の頃に「音楽で食べていきたい」って子どもながらに決めてて、まだ曲数もそんなになかったんですけど、「自分は絶対に大丈夫」っていう自信だけはあって。今もそうなんですけど、「絶対上手くいくだろう」っていう、根拠のない自信だけはあるんです。

―小さい頃は自分を保つために歌を作ったり、文章を書いたりしていたけど、目的は変わっていきましたか?

吉澤:変わっていきましたね。最初は私がどういうことを考えているのかみんなに知ってほしくて、自己紹介のつもりで、友達を探すために始めたけど、でもその頃から「今はこうだけど、きっと変わるな」って思っていて。「私のことを知って」っていうよりも、「あなたのことを教えて」みたいな気持ちに変わるだろうなって。

―どこか客観視してる自分がいるんだろうね。「年をとりたくない」っていう考えも変わりましたか?

吉澤:曲を作ることで自分の年齢を世の中に刻み付けているところがあって、それで今はトントンになってるというか……。だから、曲を作り続けないといけないんです(笑)。

―魔女に対する憧れはどうですか?

吉澤嘉代子

吉澤:憧れはずっとあります。ただ、魔女修行をしていた子どもの頃っていうのは、自分の中ですごく許せない時代だったんです。でも、最近になってやっとその時代を大事に思えるようになってきたし、やっぱりその時代が今の私の底にあると思うんです。例えば、学校の友達との思い出とか、部活の感じとか、みんなが普遍的にグッとくるポイントを歌詞にできないっていうのは弱みだと思ってるんですけど、その代わりに自分の世界に没頭して得たものが、今のすべての基盤になっていると信じてるんです。

―今になってやっと、そう思えるようになったと。

吉澤:誰にも話したくなかったし、ホントに病気みたいな時代だったので、すごく後ろめたくて。でも、学生じゃなくなったっていうのも大きいと思うんですけど、その頃の自分からは切り離されたというか。今、大人の人と一緒にお仕事をしていて、自分が必要とされたり、自分も必要としたりっていうコミュニケーションの中で……進化したんだと思いますね(笑)。

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イベント情報

『インディーズ1st mini Album「魔女図鑑」リリースパーティー〜吉澤嘉代子、ただいま魔女修行中。〜』

2013年6月5日(水)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 Shibuya duo MUSIC EXCHANGE
出演:
吉澤嘉代子
黒沼英之
関取花
野上智子
料金:前売2,500円(ドリンク別)

リリース情報

吉澤嘉代子<br>
『魔女図鑑』(CD)
吉澤嘉代子
『魔女図鑑』(CD)

2013年6月5日発売
価格:1,500円(税込)
YMPCD-6

1. 未成年の主張
2. 化粧落とし
3. 恥ずかしい
4. らりるれりん
5. 泣き虫ジュゴン
6. ぶらんこ乗り

プロフィール

吉澤嘉代子

1990年埼玉県川口市生まれ。鋳物工場街育ち。父の影響で井上陽水を聴いて育ち、16歳から作詞作曲を始める。2010年11月、ヤマハ主催のコンテスト“The 4th Music Revolution”JAPAN FINALに出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月5日、インディーズ 1st mini Album「魔女図鑑」発売。

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