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童心に回帰したメディアアーティスト近森基(plaplax)の挑戦

童心に回帰したメディアアーティスト近森基(plaplax)の挑戦

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:西田香織
2013/07/12

「メディアアート」というと、暗闇にノイズと閃光が妖しく溢れる電子世界、的なイメージを持つ人もいるかもしれませんが(そしてそういう作品も素敵ですが!)、実際にはより幅広い表現がそこにあります。そう、たとえばスプーンやフォークの影がひとりでに動き出すユーモラスなテーブルや、石ころを入れるとその特徴を宿した不思議な虫が生まれる魔法(?)の引き出しを作るアーティストもいるのです。それが、メディアアートユニット、plaplaxのメンバーでもある近森基さん。あの『文化庁メディア芸術祭』における第1回目のデジタルアート「インタラクティブ部門」大賞作品をはじめとして、常に親しみやすく、新鮮な発見をくれるメディアアートを発信し続けています。plaplaxは現在、個展『イマジネイチャー 〜石ころの記憶〜』(SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム)ほか、参加展覧会が3つも同時開催中という活躍ぶり。そこで彼らのアトリエを訪ね、近森さんにその発想の源や、いまこだわっているキーワードの1つ、「イマジネイチャー(imagination+nature)」について聞きました。

作品をきっかけに成立するコミュニティーに感動しました。

―まず近森さんの活動について簡単に教えてください。近森さんといえばまずは『文化庁メディア芸術祭』の記念すべき第1回で、デジタルアート「インタラクティブ部門」大賞となった名作『KAGE』の作り手として知られていますね。

近森:はい。その後、久納鏡子とのユニット、minim++(ミニムプラプラ。後に「近森基++久納鏡子」となる)を結成、さらに近年はplaplaxとして活動しています。plaplaxは僕と久納に加え、理工・工学ベースの筧康明と、映像・アニメーション系の小原藍が加わった4人組のメディアアートユニットです。それぞれ得意分野はあるけれど、必要に応じて筧くんが絵を描いたり、小原さんが図面を引いたりもします。そういう有機的な連携の中で、思考や表現を広げていくユニットですね。

近森基(plaplax)
近森基(plaplax)

―オフィシャルサイトを見るとわかるように、plaplaxという名前は「++x」と算術記号でも表せるもので、まさに多領域の足し算・掛け算的コラボレーションということですね。

近森:それと、plaplaxはメディアアートユニットであると同時に、同名の会社組織(株式会社プラプラックス)として公共空間や商業施設などのコンセプト作りからデザイン、実制作の仕事もしています。

―その両面において意識の違いはあるんですか?

近森:そうですね……クライアントの有無はあっても、実は意識的にはあまり違いがないのかな。というのも、「関係性をデザインする」点では、アートもデザインも一緒だからです。インタラクティブアートも、そもそも対象と環境とのインタフェースから広がっていくもの。会社としては、たとえば福祉施設のための共有スペース作りでインタラクティブな仕掛けを求められることもあるけれど、目的に叶っているかどうかを一番大切にして、方法を考えます。クライアントの話をよく聞いた結果、「そこはアート作品よりこういうテーブルを1つ用意するほうが、豊かなコミュニケーションが生まれる」と思えば、はっきりそう提案して進めます。

近森基(plaplax)

―テーブルと言えば、先ほど話した近森さんの1997年の作品『KAGE』のバリエーション『KAGE-table』も、四角いテーブルにあるオブジェクトを人々がさわることから始まる作品ですね。

近森:はい。オブジェにさわるとその「影」だけがひとりでに動き出すというものです。モノ自体よりもその影を表現することで、より強く「存在」を証明し得るという関係性に狙いがありました。

―近森さんの手がける作品は、その体験がくれる驚きはもちろん、いつの間にか人々が集まり、みんな一緒に体験する光景が生まれるのも魅力的です。海外のデジタルアートフェスでも、そうした反応を自然と呼び起こしていますね。

近森:あの光景は、僕も『KAGE』を公開して初めて得た発見でした。複数人が同時にさわって体験できる作品だと、彼らの間にもコミュニケーションが生まれるんです。僕はそうした、作品をきっかけに成立するコミュニティーに感動しました。特に欧米のみなさんは作品体験に積極的で、奥さんが旦那さんに「ほらアンタ、ちょっとそっち側からもさわってみなさいよ」とか(笑)。それを見ていると、堅苦しいコンセプトなんて吹っ飛んでしまうくらい面白かったんです。

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イベント情報

『イマジネイチャー 〜石ころの記憶〜』

2013年6月1日(土)〜9月1日(日)
会場:埼玉県 川口 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
出展作家:plaplax(近森基、久納鏡子、筧康明、小原藍)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日、7月15日は開館)
料金:大人500円 小中学生250円
※『SKIPシティ国際Dシネマ映画祭』開催期間中(7月12日〜7月21日)は映画祭の半券チケットで入館無料

夏休み特別ミニギャラリートーク+ワークショップ
『石ころを動かそう!!』

2013年8月17日(土)14:00〜16:00
会場:埼玉県 川口 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
講師:plaplax
対象年齢:小学生以上
定員:30名(要事前申し込み、先着順)
料金:無料(映像ミュージアム入館料が必要)
※申し込み方法詳細はこちら

プロフィール

plaplax(ぷらぷらっくす)

近森基、久納鏡子、筧康明、小原藍のメンバーで活動。主にインタラクティブアート分野における作品制作を手がける一方、公共空間、商業スペースやイベント等での空間演出や展示造形、企業や大学との共同技術開発など幅広く行う。Ars Electronica(オーストリア)、SIGGRAPH(アメリカ)、ポンピドゥセンター(フランス)、文化庁メディア芸術祭(日本)など、国内外で数多く作品を発表。

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