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さよならだけが答えじゃない 椎名もたインタビュー

さよならだけが答えじゃない 椎名もたインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2013/10/11

椎名もたのセカンドアルバム『アルターワー・セツナポップ』が素晴らしい。現在18歳の椎名は、これまでの取材で自分の音楽の原点がボカロにあるという意味で、「ボカロネイティブ」という言葉を度々口にしていたが、若年層のカラオケランキングで上位をボカロ曲が占めるなど、ニコ動の一般化によって、これから「ボカロネイティブ」が増え続けることは間違いない。しかし、音楽ファン全体で見れば、「非ボカロネイティブ」の割合が多いのが現状なわけで、そこに対してどうボカロ曲を届けるかというのは、椎名以外も含めたボカロクリエイター共通のテーマだと思うが、『アルターワー・セツナポップ』はその課題を十分にクリアし得るアルバムだと言えるだろう。 あくまでキャッチーであることにこだわったソングライティングや、バンドサウンドと打ち込みを並列に用いた挑戦的なサウンドメイキングといった音楽作品としてのクオリティーの高さに加え、本作においては何より作り手のエモーションが伝わってくることが大きい。「アルターワー」つまりは「変革期」と題されているように、この1年半で椎名はさまざまな出会いと別れを経験した。そして、そんな出会いと別れに真正面から向き合い、制作をしたからこそのエモーションが、このアルバムからははっきりと感じられるのだ。「ボカロネイティブ」も「非ボカロネイティブ」も関係なく、このアルバムを聴けば誰もが少しメランコリックな気持ちになって、でも最後の“Vanilla flavor piece”を聴き終えたときには、前を向いてこれからの日々を過ごしていこうと思えるだろう。椎名もたの旋律をひとり聴いたせいです、こんな心。

変革期っていうのが、体感としてものすごく長かったような気がしてたんですけど、今思うととても刹那な、一瞬だったなって。

―『アルターワー・セツナポップ』って、このアルバムをすごくよく表してるタイトルだなって思いました。所属事務所が変わり、楽曲のクオリティーも上がり、実際この1年半っていうのはすごい変革期だったんだと思うし、一方で今回のアルバムは「別れ」をテーマにした曲が多くて、せつなさもすごく感じられるなって。

椎名:「セツナポップ」の「セツナ」って、その「せつない」っていう意味もあるんですけど、時間を意味する「刹那」ってあるじゃないですか? 変革期っていうのが、体感としてものすごく長かったような気がしてたんですけど、今思うととても刹那な、一瞬だったなって思えて、そのふたつの意味でつけたタイトルなんです。

―なるほどね。前回取材をさせてもらったのが2月20日で、ちょうど7か月前だったんだけど、3月に18歳になったんだよね? 何か変わりました?

椎名:深夜に徘徊ができるようになりました(笑)。

―前回の取材では(18歳になったら)「夜中にカラオケに入りたい」って言ってたけど。

椎名:行きました。料金の高さにびっくりしました(笑)。

―(笑)。もたくん、カラオケで何歌うの?

椎名:自分の好きなボカロとか、いろいろです。

―サカナクションは?

椎名:サカナクションはカラオケだと音がしょぼいから歌わないかな。

―最近よくネットで、「若者のカラオケランキングの上位はボカロばっかり」みたいな記事って出るでしょ? ああいうのって、もたくんからすると「まあ、そうだよね」っていう感じなのか、「ええ、そうなんだ!」って感じなのか、どっちが近いですか?

椎名:妙なことになってるなあとは思いますね。

―それって、いい意味で、よくない意味で?

椎名:両方ですかね……でも、いい意味の方が大きい気がします。一般的に認知されてきてるっていうのは、いいことなんじゃないかなって。

椎名もた
椎名もた

―では、「変革期」っていうことについて聞いていくと、まず所属事務所の移籍がありました。U/M/A/AはDECO*27やsasakure.UKも所属する屈指のボカロレーベルでもあるわけだけど、移籍して何が一番変わりましたか?

椎名:会社に行ったら、まず「お飲み物は何にされますか?」って聞かれて、それにすごくびっくりしました。レッドブルがタダで飲めるっていう(笑)。

―(笑)。移籍すること自体に迷いはなかったですか?

椎名:すぐに賛成しました。U/M/A/Aって結構憧れのレーベルだったんで。

―まあ、GINGAっていうレーベルごと移籍したわけで、そこの関係性はこれまでと変わってないわけだもんね。U/M/A/Aの所属アーティストとの交流とかって結構あるんですか?

椎名:sasakure.UKさんとかDECO*27さんとかkousさんとかと接することで、インプットは増えた感じがします。「Logic Pro Xがいいんだよー」みたいな話をしてくれるので、そういう意味でも、すごくいい環境に来たなって思いますね。

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リリース情報

椎名もた<br>
『アルターワー・セツナポップ』初回限定盤(CD+DVD)
椎名もた
『アルターワー・セツナポップ』初回限定盤(CD+DVD)

2013年10月9日発売
価格:3,000円(税込)
UMA-9026/9027

[CD]
1. ピッコーン!!
2. MOSAIC
3. パレットには君がいっぱい
4. Q
5. ウソナキツクリワライ
6. forgot me not
7. シティライツ
8. Halo
9. ツギハギ
10. 嘘ップ
11. かげふみさんは言う
12. LIVEWELL
13. vanilla flavor piece
[DVD]
1. ストロボライト
2. 夢のまにまに
3. MOSAIC
※ブリキ缶ケース仕様

椎名もた<br>
『アルターワー・セツナポップ』通常盤(CD)
椎名もた
『アルターワー・セツナポップ』通常盤(CD)

2013年10月9日発売
価格:2,700円(税込)
UMA-1026

1. ピッコーン!!
2. MOSAIC
3. パレットには君がいっぱい
4. Q
5. ウソナキツクリワライ
6. forgot me not
7. シティライツ
8. Halo
9. ツギハギ
10. 嘘ップ
11. かげふみさんは言う
12. LIVEWELL
13. vanilla flavor piece

プロフィール

椎名もた(しいな もた)

幼少の頃よりギター、ドラム、エレクトーンなどの楽器を嗜んでおり、中学2年(14歳)の時よりDTMを始める。その後、「ぽわぽわP」としてVOCALOIDを使用した楽曲の投稿を始め、開始後より人気を博し、ストロボラストをはじめとしたストロボシリーズによりその地位を確固たるものへとする。そんな人気の中、2011年初頭、突然の活動休止。半年後、GINGAとの邂逅により活動を再開し、2012年3月デビューアルバム「夢のまにまに」を発表し賛否両論の話題を呼ぶ。その後、TVなどのメディア出演やライブ活動、南波志帆への楽曲提供や渋谷慶一郎のリミックスなどニュースは絶えない。ある一定のイメージを与える作風ではなく、どんな状況でもちょっぴり以上良くする類まれなるサウンドメイキングと、天性のグルーブ感、心の隙間にスルッと侵入するどこか人懐っこい詩世界を合わせ持つ。VOCALOIDシーンから生まれ、電子音楽シーンに舞い降りた、弱冠18歳の驚異である。

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