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種田陽平インタビュー CGの先にある21世紀の映画美術を求めて

種田陽平インタビュー CGの先にある21世紀の映画美術を求めて

インタビュー・テキスト
森直人
撮影:豊島望
2013/10/17

世界各国の映画監督から熱いオファーを受けて、縦横無尽に活躍する映画美術監督・種田陽平。日本を代表する映画人の1人でありつつ、2011年の展覧会『借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展』ではスタジオジブリアニメとのコラボレーションで実物のセットを製作し、展示するなど、映画美術界において独自の「作家性」が際立つ異色の存在でもある。

そんな彼が三谷幸喜監督と組んだ最新作『清須会議』の公開に先駆け、東京・上野の森美術館にて開催されているのが『種田陽平による三谷幸喜映画の世界観展』だ。今回のインタビューでは、展示内容だけでなく、映画美術やそこにかける想いについて、幅広くお話を伺った。

『キル・ビル Vol.1』で、ハードな作品をやるモードに入っていたので、三谷さんの映画美術をやることになるとは思ってなかったんです(笑)。

―まず今回の展覧会の大まかな内容について教えてください。

種田:三谷さんとは、『THE 有頂天ホテル』(2006年)、『ザ・マジックアワー』(2008年)、『ステキな金縛り』(2011年)、そして間もなく公開の『清須会議』と、4本の映画を一緒に作ってきたので、その映画美術の総括をするって感じですね。

―巨大なセットはどのように展示されるんですか?

種田:僕は、どの映画でも必ずセットのために模型を作るんですよ。「映画美術は建築だ」っていうコンセプトで、『THE 有頂天ホテル』ならホテル、『ザ・マジックアワー』なら港町、『ステキな金縛り』では法廷、『清須会議』ではお城の巨大セットを建てたんですけど、その製作のために作った実際の模型を展示します。こういうのって撮影が終わると大抵壊しちゃうんですけど、結構残していた。あとはイメージ画や、撮影に使われた小道具・装飾などです。

『ステキな金縛り』 ©2011フジテレビ 東宝
『ステキな金縛り』 ©2011フジテレビ 東宝

―『THE 有頂天ホテル』から種田さんが美術として入られたことによって、三谷さんの映画は以前とまったく表現の形が変わりましたよね。それまでの『ラヂオの時間』(1997年)、『みんなのいえ』(2001年)は「脚本の映画」だったと思います。でも『THE 有頂天ホテル』からは「空間性」が凄く重要になっています。

種田:三谷さんの映画って、たくさんの役者さんが出演しますよね。そしていろんな場所で、いろんなことが起きる。それを演出するうえで、空間の広がりはそもそも大事なんですね。僕が美術として入って、その要素を強調したことは確かだと思います。

種田陽平
種田陽平

―最近はセット作りのために、模型ではなくてCGを作る監督もいらっしゃるそうですね。

種田:なぜ今回セット模型を展示しているかっていうと、三谷さんがその模型を使って演出のシミュレーションをされているからなんです。CGシミュレーションだと、映像を重視する監督にはいいんだけども、役者をどう動かすかということに重点を置くタイプの監督にはあまり向かないと思う。模型だと演出と役者のアンサンブルを考えるには、凄くいいみたいです。

―そもそも『THE 有頂天ホテル』では、三谷さんの映画に種田さんが入られること自体が意外だったんですが、どういうきっかけがあったんですか?

種田:僕も自分が三谷さんの映画美術をやるようになるとは思わなかったです(笑)。特に『キル・ビル Vol.1』(2002年 / 監督:クエンティン・タランティーノ)をやったあとだったし、アクションとかハードな作品をやるモードに自分も入っていたから。

―ええ。

種田:実は三谷さんの作品って、前作までは興行的に意外と伸びてなかったらしいんですね。だから『THE 有頂天ホテル』では、プロデューサーたちがもっとメジャーなエンターテイメントとして、お客さんがたくさん駆けつけるような映画にしたいという気持ちが強かったみたいで。美術だけじゃなく、撮影、照明などスタッフも替えて取り組みたいと言われました。三谷さんとプロデューサーから依頼を受けたとき、僕は「ロビーやラウンジ、エントランスなどはホテルの顔なので、もしどこかのホテルを借りて、看板をつけ替えてやるだけのようなものだったら、申し訳ないけど僕は乗れないです。ただ、それらを全部セットで作れるのなら是非やらせてください」って言ったんです。

『THE有頂天ホテル』 ©2006フジテレビ 東宝
『THE有頂天ホテル』 ©2006フジテレビ 東宝

―その結果、『THE 有頂天ホテル』は大作的な凄みもありましたし、興収は60億円を超えたんですよね。

種田:僕の提案でお金を使わせてしまったので、大ヒットしてホッとしました(笑)。

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イベント情報

『種田陽平による三谷幸喜映画の世界観展〜「清須会議」までの映画美術の軌跡、そして…〜』

2013年10月12日(土)〜11月17日(日)
会場:東京都 上野の森美術館
時間:10:00〜17:00(土曜、11月3日(日・祝)、11月15日(金)は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
料金:一般1,300円 大学・高校生1,000円 中・小学生500円
※未就学児入場無料

プロフィール

種田陽平(たねだ ようへい)

三谷幸喜監督の映画『THE有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』『清須会議』、舞台『ベッジ・パードン』の美術監督をつとめる。『フラガール』『悪人』『空気人形』『ヴィヨンの妻』などの日本映画の他、クエンティン・タランティーノ、チャン・イーモウ、キアヌ・リーブスら海外の監督作品も手がけ、2010年芸術選奨文部大臣賞、2011年に紫綬褒章を受けている。

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