インタビュー

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/04/17
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THE BACK HORNといえば、「男くさい、エモーショナルなロックバンド」というのが一般的なイメージだろう。もちろん、そこは間違いなく彼らの最大の魅力であり、結成15周年を過ぎた今も日本のロックシーンのトップに立ち続けているのは、男女問わず多くの人が、彼らの熱い楽曲やステージングに魅了されているからに他ならない。しかし、通算10枚目となる新作『暁のファンファーレ』をじっくり聴いて、僕はTHE BACK HORNというバンドのイメージが更新されていくような感覚を受けた。楽曲はストレートなようで、実はヒップホップやオペラなど、かなりいろいろな音楽のミックスになっているし、歌詞も男っぽいようでいて、実は女性的な感性も多分に含まれているように思えたのだ。

そんなバンドのキーマンと言えるのが、ギタリストで、メインの作詞を担当する菅波栄純。作家であり、編集工学者としても知られる松岡正剛に影響を受け、実際に編集工学を学んだ経験もあるという、知的探究心の強いタイプであり、その語り口は実になめらか。彼と話をしてみることで、決して一面的ではないTHE BACK HORNというアーティストの実像が、より鮮明に浮かび上がってきた。共に1979年生まれということで、同世代トークにも花が咲いた菅波との対話、じっくりお楽しみください。

大体俺らの世代って、自分が暗くなるために金出してきた世代みたいなものじゃないですか?(笑) ネガティブであることで、自分のアイデンティティーを確保するような動きがありましたよね。

―新作は『暁のファンファーレ』というタイトルからして、明確に「一歩前に踏み出す」ということを示したアルバムだと思います。特に、“ビリーバーズ”のような応援歌や、“シンメトリー”のような「希望しか鳴ってない」曲の存在が大きいと思うんですけど、逆に言うと、こういったストレートに前向きな曲を書くっていうのは、かなりのチャレンジだったのではないでしょうか?

菅波:そうですね。THE BACK HORNはそのときの精神状態やバイオリズムがアルバムにもろに入るバンドなので、すごくディープな、あるいはネガティブなことを書いてるアルバムも結構あったんです。だからおっしゃる通り、今回はホントにチャレンジでしたね。“シンメトリー”は特にそうで、前向きにしたいけど、どうしても影を書きたくなっちゃうというか。

―これまで聴いてきた音楽を思い返してみても、影がないと嘘っぽく聴こえますよね。

菅波:そうそう、大体俺らの世代って、自分が暗くなるために金出してきた世代みたいなものじゃないですか?(笑) ネガティブであることで、自分のアイデンティティーを確保するような動きがありましたよね。バブルも弾け、就職難になっていった時代が俺らの青春時代で、『完全自殺マニュアル』とかがバイブルになったのが象徴的でしたけど、なんかこう、サバイブして行かないと生き残れないんだなって感覚があったというか。

―失われていくのを見てきたから、基本的に引き裂かれてるっていうのはありますよね。

菅波:そう、そういうのが根底にあるんだけど、あまりに延々不況が続くんで、こんな俺でも明るい曲が聴きたくなったり、作りたくなったんですよね。それに、自分っていうネガティブなものを持ち合わせた人間をフィルターにして出てきた希望だらけの曲っていうのは、きっと信用に足るものだろうっていう自負もありました。アルバムのテーマ自体「踏み出す」っていうのがありますけど、作家としても“シンメトリー”で一歩踏み出せたなって思います。

菅波栄純(THE BACK HORN)
菅波栄純(THE BACK HORN)

―ネガティブな言葉を入れた方が陰影はつけやすいけど、そういう言葉を使わずに、でもちゃんと深みがある。そういう曲になっていると思います。

菅波:ポップソングのフォーマットの尺の曲、つまり5分前後の曲しかないわけですけど、その中でミュージシャンが希望について書いたりするうえで、時間が限られているのはすごくいいことだと思うんですよ。逆にSNSとかって、時間が限られてないから延々見ちゃうんですよね。それで友達とつながってる感じもあるし、暗い話もそんなに流れてこないから、少し明るくなれたりもするんだけど、その状態が延々続くのもそれはそれで問題があると思うんです。

―確かに1つの状態が続くと、そのことに対する客観性も失われてしまいそうですし。

菅波:だから、音楽の可能性というか、俺らがやってるポップとかロックのフォーマットのいい部分は、とにかく時間が区切られてるってことで。その中ですごくポジティブな、自分を肯定しくれる時間があったり、逆にものすごい否定されるような、暴力的な時間があったり、でもそれは5分間に限られたことで、その中で感情のマッサージをするっていうか(笑)。

―終わりがあるって寂しい気もするけど、終わりがあるっていうのは希望でもありますもんね。

菅波:すごくそう思います。終わりがあるっていうのは切り替わる機会があるっていうことで、変化のチャンスだと思いますね。

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イベント情報

『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』

2014年5月1日(木)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2014年5月3日(土・祝)
会場:静岡県 清水 SOUND SHOWER ark

2014年5月5日(月・祝)
会場:滋賀県 大津 U-STONE

2014年5月6日(火・振休)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

2014年5月10日(土)
会場:茨城県 水戸 LIGHTHOUSE

2014年5月11日(日)
会場:栃木県 宇都宮 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2

2014年5月15日(木)
会場:香川県 高松 DIME

2014年5月17日(土)
会場:高知県 X-pt.

2014年5月18日(日)
会場:愛媛県 松山 サロンキティ

2014年5月22日(木)
会場:岡山県 ペパーランド

2014年5月24日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2014年5月25日(日)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2014年5月30日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2014年6月1日(日)
会場:北海道 サッポロファクトリーホール

2014年6月3日(火)
会場:福島県 南相馬 BACK BEAT

2014年6月7日(土)
会場:新潟県 新潟 LOTS

2014年6月8日(日)
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C

2014年6月10日(火)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION

2014年6月17日(火)
会場:石川県 金沢 エイトホール

2014年6月19日(木)
会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya

2014年6月20日(金)
会場:大阪府 なんばHatch

2014年6月25日(水)
会場:大分県 DRUM Be-0

2014年6月27日(金)
会場:鹿児島県 キャパルボホール

2014年6月29日(日)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2014年7月1日(火)
会場:長崎県 DRUM Be-7

2014年7月4日(金)
会場:岩手県 盛岡 Club Change WAVE

2014年7月6日(日)
会場:福島県 郡山 Hip Shot Japan

2014年7月10日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo

リリース情報

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)

2014年4月9日(水)発売
価格:3,456円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-657

[CD]
1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ
[DVD]
1. “バトルイマ” Music Video
2. “暁のファンファーレ” Making Video
※『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』先行予約情報封入

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)

2014年4月9日(水)発売
価格:2,916円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64147

1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ

プロフィール

THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』、アニメ『機動戦士ガンダム00』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2014年4月、10thアルバム『暁のファンファーレ』をリリース。

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