インタビュー

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/04/17

震災が起きて、世界中で起こっている災害とか暴動とかに敏感になれた。

―今回の作品自体、そういうタイミングの作品ですもんね。前作で震災に対するリアクションをひとつ形にして、今回は「じゃあ、その先でどう生きて行くか」っていう。

菅波:地元が福島っていうのもあって、震災の影響っていうのはすごく大きいんです。震災があったことで、世界中で起こっている災害とか暴動とかに敏感になれたと思うし、世界は常にグラグラ動いてるんだなってことに、少し気がつけた気はしますね。

―あれだけ大きな経験をすると、広い視野を持とうと思うし、時間の流れも大局的に見ようとする姿勢が身についたかなっていうのは思います。

菅波:うん、そういう感じがしますね。例えば建物ひとつにしても、普通は壊れにくい強固なものがいいって話になりますけど、この前紙を使った建築で賞を獲ってる人がいて(「建築界のノーベル賞」と言われる『プリツカー賞』に選ばれた坂茂。20年以上にわたって、紙や段ボールなどの素材を使って仮設住宅などの建築を手がけている)、壊れやすい、破れやすいからこそいい建築っていうのもあるんだって知って。そういう風に、価値観自体が揺り動かされてる状態っていうのは、未だに続いてるような気がしますね。


セーフティーネットでも救い切れない隙間、綻びに音楽が必要なんだと思うんです。今のエンターテイメントにはその使命があると思うし、その自覚がなかったらヤバい、散らかすだけになっちゃいますよね。

―様々な価値観があるっていうのは、多様性を認めるっていうことで、それこそが今をサバイブするために重要なことかなって思います。「この道を進まないといけない」だときついけど、「この道でもいいんだよ」って認めてもらえれば、もっと生きやすくなりますよね。

菅波:俺らの青春時代にさかのぼれば、自分探し世代だと思うし、個人主義の始まりだとも思うので、俺もそういう多様性っていうのは大事だと思います。あと大事なのは、居場所というか、どれだけセーフティーネットを作れるかだと思うんです。SNS上の趣味でつながってるサークルにしても、それはひとつのセーフティーネットだと思うし、そういうのって必然的に必要になってきてると思うんですね。

―逆に言えば、以前存在していたセーフティーネットは崩壊してる?

菅波:以前、俺の実家は魚の卸売りをやってて、住み込みで働いてる人もいたので、家にはいつもすごい人数がいて、鍵なんてかかってなかったし、町中の大人が町中の子供の親みたいな感じで、叱ったり褒めたりする時代があった。それに戻りたいとまでは思わないけど、今親になった人は、父ちゃん母ちゃんの2人だけで子育てをするっていうものすごい難題に向き合わなくちゃいけない。それぐらい家族が小さくなってて、ひとつ選択を間違えたらとんでもない事態になっちゃうんじゃないかってプレッシャーを感じながら子供を育ててる。そういう夫婦が都市にはいっぱいいて、そのプレッシャーの結果、悲しい事件も起きてると思うんです。

菅波栄純(THE BACK HORN)

―そこに必要なのが、新しいセーフティーネットだと。

菅波:SNSがこれだけ爆発的に広がったのも、人とつながりたいっていう必死な想いがそれを育てたっていうことだと思うんですよ。ただ、それでも救い切れない隙間、綻びみたいなものが日々開いていっていて、そこに音楽が必要なんだと思うんです。その穴を縫うだけでもできるっていう、それがさっきの5分間の心のマッサージっていうことで、その能力については俺らが誇りに思っていいところだと思ってます。今のエンターテイメントにはその使命があると思うし、その自覚がなかったらヤバい、散らかすだけになっちゃいますよね。

―それは音楽に限らず、どんなエンターテイメントにおいてもそうでしょうね。

菅波:そうですね。だからエンターテイメント業界の中でユーザーの時間の奪い合いをしてる場合じゃなくて、俺たちで協力してみんなの心の隙間を埋めていこうって思うんですよ。

―二重、三重のセーフティーネットを、ときにはバンドが担い、ときにはウェブメディアが担い、そうやって零れ落ちないようにしていく。

菅波:エンターテイメントができるのはそれぐらいのことしかないですけど、それだけでもものすごい役割だと思うんです。

―ポップソングは昔から「3分間の魔法」って言いますけど、そうやって隙間を埋めるっていうのは、まさに魔法みたいなものですよね。

菅波:いよいよホントに、魔法の時代だなって思います。“シンメトリー”を書いてるときは、そういうのを意識してましたね。

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イベント情報

『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』

2014年5月1日(木)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2014年5月3日(土・祝)
会場:静岡県 清水 SOUND SHOWER ark

2014年5月5日(月・祝)
会場:滋賀県 大津 U-STONE

2014年5月6日(火・振休)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

2014年5月10日(土)
会場:茨城県 水戸 LIGHTHOUSE

2014年5月11日(日)
会場:栃木県 宇都宮 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2

2014年5月15日(木)
会場:香川県 高松 DIME

2014年5月17日(土)
会場:高知県 X-pt.

2014年5月18日(日)
会場:愛媛県 松山 サロンキティ

2014年5月22日(木)
会場:岡山県 ペパーランド

2014年5月24日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2014年5月25日(日)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2014年5月30日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2014年6月1日(日)
会場:北海道 サッポロファクトリーホール

2014年6月3日(火)
会場:福島県 南相馬 BACK BEAT

2014年6月7日(土)
会場:新潟県 新潟 LOTS

2014年6月8日(日)
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C

2014年6月10日(火)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION

2014年6月17日(火)
会場:石川県 金沢 エイトホール

2014年6月19日(木)
会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya

2014年6月20日(金)
会場:大阪府 なんばHatch

2014年6月25日(水)
会場:大分県 DRUM Be-0

2014年6月27日(金)
会場:鹿児島県 キャパルボホール

2014年6月29日(日)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2014年7月1日(火)
会場:長崎県 DRUM Be-7

2014年7月4日(金)
会場:岩手県 盛岡 Club Change WAVE

2014年7月6日(日)
会場:福島県 郡山 Hip Shot Japan

2014年7月10日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo

リリース情報

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)

2014年4月9日(水)発売
価格:3,456円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-657

[CD]
1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ
[DVD]
1. “バトルイマ” Music Video
2. “暁のファンファーレ” Making Video
※『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』先行予約情報封入

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)

2014年4月9日(水)発売
価格:2,916円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64147

1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ

プロフィール

THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』、アニメ『機動戦士ガンダム00』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2014年4月、10thアルバム『暁のファンファーレ』をリリース。

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