インタビュー

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/04/17

弱さとか柔らかさって、変化する可能性もあるし、揺らいでくっつく可能性もあって、だから少し弱い状態って面白いんですよね。

―僕は“コワレモノ”がすごく好きなんです。この曲って音楽的にはヒップホップの要素が入ってると思うんですけど、菅波さんはこの曲に関するコメントで、「社会への皮肉もこめて、ええじゃないかばりにねじを外してファンキーに踊りたいと思った」って書かれてますよね。つまり、黒人のカウンターカルチャーであるヒップホップと、日本人のカウンターカルチャーであるええじゃないかがミックスされて、その曲が多様性を訴えている。これはすごく面白いなって。


菅波:嬉しいです、そう言ってもらえるのは。自分はずっと壊れやすさとかフラジャイルな感覚に惹かれてて、何で曲の中に絶対弱々しさを入れたくなるんだろうってずっと考えてたんですね。そういう中で、松岡正剛さんって俺の大好きな人の『フラジャイル 弱さからの出発』(2005年 / 筑摩書房)って本に出会って、そこには「弱さが強さに対する概念だっていうのは思い込みで、弱さはそれ自体で存在するエネルギーだ」って書いてあって、かなり俺の中で人生観が変わったというか、自分の疑問に答えてもらったような気がして、俺の中では天文学的にコストパフォーマンスの高い本だったんですけど(笑)。

―素晴らしい出会いですね(笑)。

菅波:弱さとか柔らかさって、変化する可能性もあるし、揺らいでくっつく可能性もあって、だから少し弱い状態って面白いんですよね。さっきの話で言うと、ヒップホップもええじゃないかも、それぞれを強固に独立させて分類して別の箱に入れておかないで、半溶けの状態にしてるっていうことですね(笑)。

人の気分を変えるってことと、エモーショナルであるっていうことが、自分のルールとして外せないんですよね。

―松岡正剛さんは菅波さんにとってかなり大きな存在で、編集工学から大きな影響を受けたそうですね。

菅波:実際にISIS編集学校(松岡がインターネット上に開校したカルチャースクール)のカリキュラムを受講して、「守」(入門コース)、「破」(応用コース)までは突破したんです。昔はミュージシャンってデザイナーみたいなものかもなって感覚で生きてたんですけど、ISISに出会って、全部ひっくるめて「編集してる」ってことなのかって思って。音楽って才能という物差しで測られがちですけど、編集する力、何かと何かを結びつける能力だって考えてみると面白いなって。それで編集の勉強をしたんですけど、他の人と比べても全然ダメなんですよ(笑)。作詞作曲とかをやってきた、そのプライドが一回へし折られて、追試追試で、ツアー中も早起きしてメール打ったりして、すごい寝不足だったんです(笑)。

菅波栄純(THE BACK HORN)

―すごいなあ(笑)。

菅波:でもそれをやったことで、音楽っていう情報だけが独立して浮かんでるわけじゃないっていう視点を持つことができました。今の時代よく情報の話になるじゃないですか? 何が正しくて、何が誤りで、それを自分で取捨選択する必要があるとか。でも編集って世界観で見ると、正しいとか誤りっていう問題ではなくなるというか、その情報をどう変貌させるのか、編集するかなんですよね。つまり、全部自分の方に引き寄せてこれると、きっと何でも楽しいんだよっていう。

―アジカンの後藤さんも編集力の重要性を説いていて、あの人は実際に『THE FUTURE TIMES』っていうメディアを作ったりもしてるじゃないですか? そういう「届け方」に関してはどうお考えですか?

菅波:俺はミュージシャンの範疇というか、音楽に求められるものの範疇の中から出る気はそんなにないんです。アホなバンドマンっていうか(笑)、そういう自分の好きなミュージシャン像からそんなに離れる気はなくて、自然に何かが起きてくる中で、その都度変貌して行ければいいと思うんですけど、そこに何となくの線はあるんです。まあ、その線も柔らかいっちゃ柔らかいと思うんですけど、やっぱり人の気分を変えるってことと、エモーショナルであるっていうことが、自分のルールとして外せないんですよね。

―そのルールはどうして生まれたんでしょう? 自分が若い頃に見聞きしてきたミュージシャンがそうだったからっていうことなんでしょうか?

菅波:それは間違いないです。前作の『リヴスコール』に入ってた“自由”っていう曲に<自由な気分ならそれで十分だって>っていう歌詞があって、自由な気分になれればもう自由だってことなんですけど、音楽にできることはそこまでで、あとはその人の生き方だから。自由な気分にさせるってことの面白さは、奥深くて、一生追究し甲斐があるものだけど、その反面、それが変なコントロール願望になっても面白くないから、そこはちゃんとこっちもエモーショナルになって、そこに自分の気持ちが入っていくことが大事だと思うんです。

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イベント情報

『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』

2014年5月1日(木)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2014年5月3日(土・祝)
会場:静岡県 清水 SOUND SHOWER ark

2014年5月5日(月・祝)
会場:滋賀県 大津 U-STONE

2014年5月6日(火・振休)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

2014年5月10日(土)
会場:茨城県 水戸 LIGHTHOUSE

2014年5月11日(日)
会場:栃木県 宇都宮 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2

2014年5月15日(木)
会場:香川県 高松 DIME

2014年5月17日(土)
会場:高知県 X-pt.

2014年5月18日(日)
会場:愛媛県 松山 サロンキティ

2014年5月22日(木)
会場:岡山県 ペパーランド

2014年5月24日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2014年5月25日(日)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2014年5月30日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2014年6月1日(日)
会場:北海道 サッポロファクトリーホール

2014年6月3日(火)
会場:福島県 南相馬 BACK BEAT

2014年6月7日(土)
会場:新潟県 新潟 LOTS

2014年6月8日(日)
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C

2014年6月10日(火)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION

2014年6月17日(火)
会場:石川県 金沢 エイトホール

2014年6月19日(木)
会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya

2014年6月20日(金)
会場:大阪府 なんばHatch

2014年6月25日(水)
会場:大分県 DRUM Be-0

2014年6月27日(金)
会場:鹿児島県 キャパルボホール

2014年6月29日(日)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2014年7月1日(火)
会場:長崎県 DRUM Be-7

2014年7月4日(金)
会場:岩手県 盛岡 Club Change WAVE

2014年7月6日(日)
会場:福島県 郡山 Hip Shot Japan

2014年7月10日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo

リリース情報

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)

2014年4月9日(水)発売
価格:3,456円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-657

[CD]
1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ
[DVD]
1. “バトルイマ” Music Video
2. “暁のファンファーレ” Making Video
※『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』先行予約情報封入

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)

2014年4月9日(水)発売
価格:2,916円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64147

1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ

プロフィール

THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』、アニメ『機動戦士ガンダム00』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2014年4月、10thアルバム『暁のファンファーレ』をリリース。

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