インタビュー

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2014/04/17

「あれって○○っぽいよね」っていう、「らしさ」でつながれちゃうのって、人間のものすごい可能性だと思うんです。

―「柔らかいものに惹かれる」という話がありましたが、それって女性的な感性と言い換えることができるように思うんですね。THE BACK HORNと言えば男くさいイメージが強いですけど、決してマチズモ的なものではなくて、その中には女性らしいしなやかな感性っていうのも多分に含まれてるんじゃないかって。

菅波:それは結構あると思いますね。男の人って厳密にしたがるじゃないですか? よく言うのが、父性が切断力で、母性が包容力っていうことで、切断しちゃうと自分が面白がってる編集的な方向にはいかなくなっちゃうんですよね。編集の授業のひとつに「らしさ」で言い換えるっていうのがあって、例えば今回のアルバムジャケットは馬が夜明け頃に息巻いてる写真なんですけど、俺らはこれを見て、「『暁のファンファーレ』っぽいね」って思ったんです。特に具体的な理由があるわけじゃなくて、すべては説明し切れないことを、最大公約数的な「らしさ」で考えるっていうことなんですけど。

THE BACK HORN『暁のファンファーレ』ジャケット
THE BACK HORN『暁のファンファーレ』ジャケット

―なるほど、面白いですね。

菅波:それって女性的な感性だと思うんですけど、それがすごくいろんなものをつなげてくれるんですよね。「あれって○○っぽいよね」っていう、「らしさ」でつながれちゃうのって、人間のものすごい可能性だと思うんです。無意識に会話の中でそれをやってるんだと思うんですけど、あの回路っていうのは不思議としか言いようがないですね。「この馬ってファンファーレっぽいね」っていうのがなぜか通るってすごく面白いし、ものすごくスピードも速いですよね。

―それって言葉で言うと「想像力」の話なのかなって。目の前にあるものをどう読み取って、どう分かち合うかっていう。

菅波:まさにまさに、そうですよね。両輪の議論って面白いと思ってて、政治的な議論って、ある意味カードの出し合いだから、議論のようで議論じゃないじゃないですか? そこでまずひとつは、想像力の側面で対話をしてみる。それが母性の感覚ですよね。あともうひとつ試してほしいのが、脳科学的にお互いの言ってることを検証する人を横につけるっていうのをやって欲しくて(笑)。感情的になっていったときに、「今あなたは脳科学的にこうです」っていちいち咎められるっていう(笑)。それは父性的な切断力だと思うんですけど、何でそういう風に新たな科学を使わないのかなって思うんですよ。

―確かに、これだけ生活の隅々に科学が使われてるわけだし、政治の世界にも導入する意味はあるはずですよね。菅波さんのそういう発想って、すごく柔軟で面白いなって思いますけど、THE BACK HORNの中で一番母性的というか、女性らしい感性を持ってる人って誰だと思います?

菅波:誰なんだろう……みんなちょっとずつ持ってるんでしょうね、いろんな母ちゃんの感じで(笑)。そこが結構ミソなのかもしれないですね。一見男くさい、実際ライブの感じも考え方も男っぽかったりするけど、女性っぽいところが随所に出ていて、それがないと続かなかったりするのかもしれない。

―男ってどうしたって母性に惹かれるもので、男が男に惚れるっていうのも、その中に母性が含まれてるからこそなんじゃないかって思うんですよね。すごくアンビバレントな考え方ですけど(笑)。

菅波:面白いですね。そう考えると、高倉健さんとかすごい母性あるような気がしてきました(笑)。

せつなさって、いろんなものが混ざった感情だと思うんですけど、「そこにないものを思う」っていう感覚は絶対あって、それは日本人的だなって思います。

―途中でエモーションの話がありましたが、そこっていうのもやっぱりTHE BACK HORNの核であることは間違いなくて、じゃあ、そのエモーションっていうのがどこから生まれているものなのかっていう部分を、最後に話していただきたいと思うのですが。

菅波:本を読むのも映画を見るのも好きですけど、音楽も含めて作品を受容するっていうのは、作り手から世界の見方を提供されて、自分もその見方に入り込んでみるっていう遊びじゃないですか? 自分自身、そういういろんな見方をしてきた上で、「やっぱり俺はこの世界の見方が好きなんだ」っていうのがあって、その根っこにあるのは多分「せつなさ」なんですよね。

―それって個人的なものですか? それとも、いわゆる「侘び寂び」のような、日本人としてのもの?

菅波:それは未だにわかんなくて、だからこそ面白いっていうのもあるんですけど、でも「不在」っていう感覚は間違いなくあると思うんです。せつなさって、いろんなものが混ざった感情だと思うんですけど、「そこにないものを思う」っていう感覚は絶対あって、それは日本人的だなって思います。

菅波栄純(THE BACK HORN)

―さっきの母性もそうだし、そのせつなさの感覚っていうのもメンバー4人全員が持ってるからこそ、THE BACK HORNの世界観っていうものが形成されているんでしょうね。

菅波:今回の曲で言うと、“飛行機雲”って(岡峰)光舟が書いた曲があるんですけど、どこか喪失感があって、でも空は晴れてるっていう、その情景は共有できるんですよね。生まれも育ちも違って、きっと違う空とか海を思い浮かべてるんだと思うんですけど、その違う空や海のプロフィールがグワーッて重なって、面影だけみたいな状態になると、すごく似ていて、それが原風景みたいなものになってるのかもしれないです。

―それこそが、THE BACK HORNがずっと掲げている「共鳴」の感覚ですよね。「共感」だと同じものを思い浮かべる必要があるけど、「共鳴」っていうのは、それぞれ思い浮かべるものは違っても、もっと深いレベルでつながれるっていう。

菅波:そうですね。うん、まさにそこにつながりますね。

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イベント情報

『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』

2014年5月1日(木)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2014年5月3日(土・祝)
会場:静岡県 清水 SOUND SHOWER ark

2014年5月5日(月・祝)
会場:滋賀県 大津 U-STONE

2014年5月6日(火・振休)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

2014年5月10日(土)
会場:茨城県 水戸 LIGHTHOUSE

2014年5月11日(日)
会場:栃木県 宇都宮 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2

2014年5月15日(木)
会場:香川県 高松 DIME

2014年5月17日(土)
会場:高知県 X-pt.

2014年5月18日(日)
会場:愛媛県 松山 サロンキティ

2014年5月22日(木)
会場:岡山県 ペパーランド

2014年5月24日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2014年5月25日(日)
会場:島根県 松江 AZTiC canova

2014年5月30日(金)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2014年6月1日(日)
会場:北海道 サッポロファクトリーホール

2014年6月3日(火)
会場:福島県 南相馬 BACK BEAT

2014年6月7日(土)
会場:新潟県 新潟 LOTS

2014年6月8日(日)
会場:長野県 松本 Sound Hall a.C

2014年6月10日(火)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION

2014年6月17日(火)
会場:石川県 金沢 エイトホール

2014年6月19日(木)
会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya

2014年6月20日(金)
会場:大阪府 なんばHatch

2014年6月25日(水)
会場:大分県 DRUM Be-0

2014年6月27日(金)
会場:鹿児島県 キャパルボホール

2014年6月29日(日)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2014年7月1日(火)
会場:長崎県 DRUM Be-7

2014年7月4日(金)
会場:岩手県 盛岡 Club Change WAVE

2014年7月6日(日)
会場:福島県 郡山 Hip Shot Japan

2014年7月10日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp Tokyo

リリース情報

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』初回限定盤(CD+DVD)

2014年4月9日(水)発売
価格:3,456円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-657

[CD]
1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ
[DVD]
1. “バトルイマ” Music Video
2. “暁のファンファーレ” Making Video
※『「KYO-MEIワンマンツアー」~暁のファンファーレ~』先行予約情報封入

THE BACK HORN<br>
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)
THE BACK HORN
『暁のファンファーレ』通常盤(CD)

2014年4月9日(水)発売
価格:2,916円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64147

1. 月光
2. ビリーバーズ
3. シェイク
4. バトルイマ
5. ブランクページ
6. 飛行機雲
7. サナギ
8. コワレモノ
9. エンドレスイマジン
10. 幻日
11. タソカゲ
12. シンメトリー
13. ホログラフ

プロフィール

THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立し、スペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』、アニメ『機動戦士ガンダム00』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2014年4月、10thアルバム『暁のファンファーレ』をリリース。

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