
Vampillia(リーダー、真部脩一)×world's end girlfriend
- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
2005年に大阪で結成された総勢十数名の大所帯バンド、Vampillia。すでにアンダーグラウンドシーンでは話題のバンドだが、彼らの評価はとりわけ海外で高い。活動1年目にしてANIMAL COLLECTIVEのプロデューサーとして知られるラスティ・サントスの目に留まって、アルバムを一緒に制作したり(結局は破談に)、LADY GAGAに衣装を提供しているクリスチャン・ダダのコレクションの音楽を手掛けたり、新作『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』も、アイスランドの著名エンジニアのラブコールによって、ビョークなどに関わるベン・フロストのプロデュースで録音が行われたりと、トピックを数え始めたらきりがないほど。ホームページを覗けば、怪しげな映像やシュールなプロフィールが並び、音楽性もハードコアと室内楽のつづれ織りのような特異な個性がある。一体、Vampilliaとは何者なのか?
そこで今回は、ステージには立たないバンドのリーダー(startracks for streetdreams)、2013年にバンドに加入した真部脩一(相対性理論の元メンバー)、そして前述のアルバムと日本編集盤『the divine move』をリリースするレーベル「Virgin Babylon」主宰のworld's end girlfriendの三者を招き、鼎談を行った。「新しいルールを作るという感覚こそがポップ」と語るVampilliaの在り方は、音楽を取り巻く様々な情報が溢れ返る現代において、ひとつの指標となる考え方だと言えよう。
自分がやりたいことに近いところと、自分がやりたくてやれないところと、自分がまったく知らない未知のところを、Vampilliaは全部持ってたんですよね。(真部)
―リーダーはもともとCD屋さんで働いていたときに、メンバーを集めてVampilliaをスタートさせたそうですが、リーダーなのにステージに立っていないというのは珍しいですよね。最初の時点で「バンドをやりたい」と思ったのか、それとも「何か面白いことをやりたい」と思ったのか、どちらの意識が強かったのでしょう?
リーダー:「バンドをやってる」っていう意識は今もあんまりないですね。ただ単純に、「僕が聴きたい音楽を作る」みたいな感じです。最初は僕もステージにいたんですけど、僕らぐらい人数が多いとPAさんも大変だし、自分らも音作りがちゃんとできてなかったので、ライブが良くなるまでとりあえず外にいようと思ったら、そのまま戻れなくなっちゃって(笑)。だから、「プロデューサー」って言われるのは嫌なんですけど、そう言われてもしょうがない立場になっちゃったって感じです。
―プロデューサーではないとしたら、どんな呼び名が適切なのでしょう?
リーダー:「コマンダー」ですね(笑)。うちはメンバー間の意思疎通ができないバカが多いんで、「あいつむかつくねん」って言ってたら、僕が間に入って、「お前何したん?」って訊くみたいな。
―バンドの潤滑油になっていると(笑)。真部さんもVampilliaに限らず、バンドマンであり、プロデューサーであり、いろんな活動をされていますが、今って自分の立ち位置をどのように捉えているのでしょうか?
真部:客観的に見れば、「ミュージシャン」ですよね、そのまんま。ただ、僕自身はミュージシャンとしての意識が希薄で。そもそも音楽の仕事を始めるまで、聴くのは好きだったんですけど、「ミュージックシーンで成功したい」とかは思ったこともなかったんです。ただ単純に面白いことがしたいし、自分が呼ばれることで、その場が面白くなるような人にはなりたいと思って、そういう位置付けで、Vampilliaでいろんなことに関わらせてもらってます。
―Vampilliaへの加入はどういう経緯だったんですか?
真部:かっこいいバンドはたくさんいるんですけど、心を鷲掴みにされるバンドっていうのは、唯一Vampilliaだったんです。それで「この現場に関わりたい」と思って、ちょくちょく自分の仕事の合間に参加させてもらってました。最初はステージ上でエアギターみたいなことをやってたんですけど(笑)、徐々にレコーディングやアレンジに関わらせてもらえるようになって。
―「心を鷲掴みにされた」っていうのは、何が大きかったのでしょうか?
真部:非常にキャッチーなバンドだと思ったんです。グッとくる瞬間をいろんなところから取ってきて、凝縮して、展開していくようなパフォーマンスであり音楽だなって。それで仲良くなって話をさせてもらってるうちに、こういうのが面白い、こういうのがグッと来るみたいなところで共鳴があったというか、自分がやりたいことに近いところと、自分がやりたくてやれないところと、自分がまったく知らない未知のところを、全部持ってたんですよね。
イベント情報
- 『Virgin Babylon Night 2』
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2014年5月4日(日・祝)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
world's end girlfriend & POLTERGEIST ensemble
Go-qualia
Vampillia
bronbaba
BOOL
料金:特別チケット3,800円 前売チケット4,000円 当日4,500円(全てドリンク別)
- 『いいにおいのするはじめてのレコ発』
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2014年6月6日(金)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
Vampillia
Vampillia bombs 戸川純
Vampillia bombs BiS
and more
料金:前売3,500円 当日4,000円 (共にドリンク別)
リリース情報

- Vampillia
『my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness』(CD) -
2014年4月23日(水)発売
価格:2,376円(税込)
Virgin Babylon Records / VBR-0181. my beautiful twisted nightmares in aurora rainbow darkness
2. ice fist
3. hiuta
4. seijaku
5. storm of the snow
6. anata ni kakaru niji
7. draumur
8. von
9. tui

- Vampillia
『the divine move』(CD) -
2014年4月9日(水)発売
価格:2,376円(税込)
Virgin Babylon Records / VBR-0191. lilac(bombs 戸川純)
2. mirror mirror(bombs BiS)
3. endless summer 2014(feat. ツジコノリコ)
4. tasogare(feat. 長谷川裕倫)
5. good religion(feat. Mick Barr)
6. dizziness of the sun(feat. ツジコノリコ)
7. oops i did it again(bombs BiS)
8. endless (massaka)summer 2014(feat ツジコノリコand真部脩一)
9. lilac bombs 戸川純(perfect ending ver)
プロフィール
- Vampillia(ゔぁんぴりあ)
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大阪を拠点としている十数人からのメンバーからなるブルータスオーケストラ。国内のみならず海外でのリリースやライブ活動も活発に行っている。本国内からのライブなどのオファー、お待ちしております。
- world's end girlfriend(わーるず えんど がーるふれんど)
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1975年11月1日 かつて多くの隠れキリシタン達が潜伏した長崎県の「五島列島」に生まれ10歳の時に聴いたベートーヴェンに衝撃を受け音楽/作曲をはじめる。2000年デビュー。アジア、EU、USツアーなどを行い『ATP』『Sonar』など各国フェスにも出演。映画「空気人形」の音楽を担当し2009年カンヌ映画祭や世界中で公開された。2010年『Virgin Babylon Records』を設立し「SEVEN IDIOTS」をワールドワイドリリース。圧倒的世界観を提示しつづけている。