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BORISはなぜ海外で成功し得た? 文脈を喪失した時代に輝くバンド

BORISはなぜ海外で成功し得た? 文脈を喪失した時代に輝くバンド

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人
2014/06/12
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少し前までのBORISというバンドは、海外と日本での知名度が完全に逆転したバンドの典型例だった。海外でのアルバムセールスは数万枚を記録し、NINE INCH NAILSをはじめとした大物アーティストにも愛され、大型フェスにも多数出演。一方日本では、アンダーグラウンドなシーンでこそ著名なバンドであったものの、その名前をオーバーグラウンドで聞く回数は決して多くなかった。しかし、ボーカロイドを含む、エクストリームな形で進化した日本の音楽シーンを意識し、女性ボーカルを効果的に取り入れた日本でのメジャーデビュー作『New Album』をリリースした2011年以降は、その状況も少しずつ変化してきている。最近ではCMソングも手掛けるなど、国内外それぞれの活動スタンスが築き上げられつつあるという印象だ。

そんなBORISには、近年2つの大きな変化が起こっていた。ひとつは、日本人なら誰しもそうであるように、2011年の東日本大震災を経験したこと。もうひとつは、長年サポートギターを務めていた栗原ミチオのバンドからの離脱である。ニューアルバム『NOISE』は、これらの出来事によって結果的に「3人」という彼らのコアを見つめ直しつつも、同時に新しい試みにもチャレンジをし、最新型のBORISが刻まれた作品となっている。自らの理想とするサウンドを追求する姿勢自体に変わりはないが、「ヘヴィ」な音像とは対照的な、非常に軽やかで、自然体の三人が印象的な取材となった。

僕らは海外のシーンの文脈・歴史に乗っちゃったんで、(日本での)評価のされ方は当然違っていて。ただ、どんどん時代は変わってきて、今のお客さんとかリスナーにとって、コンテクスト(文脈)は全然必要ない時代になったと思うんです。(Atsuo)

―新作の話をお伺いする前に、改めて「なぜBORISが海外で成功したのか?」という部分について訊かせてください。BORISは海外ではヘビーメタルのシーンで語られることが多いそうですが、日本との評価のされ方の違いなども含めて、話していただければと思っているのですが。

Atsuo(Vo&Dr):まずこれは前から言っていることなのですが、向こうのヘビーメタルのシーンの方が正直進んでいるというか、ホントにいろんな音楽ジャンルを飲み込んでいて、すごく先鋭的なんです。日本のメタルシーンとは全然別の歴史なんですよね。もちろん日本は日本で、海外に匹敵するぐらいの質量があると思うんですけど、僕らは海外の文脈・歴史に乗っちゃったんで、評価のされ方は当然違っていて。

―なるほど。

Atsuo:ただ、どんどん時代は変わってきて、今のお客さんとかリスナーにとって、コンテクスト(文脈)は全然必要ない時代になったと思うんです。ネットによって全部が並列に、等距離になって、古い音楽も新しい音楽もすべてが新作でもあり旧作でもあるというか……。作品が発表された順番は評価に関係なくなってきた。でもBORISが評価される過程においては、まだ音楽が生まれてきた順番・文脈があって、その中だからこそ面白く見えたっていう部分もあったと思うんですけど。

Atsuo
Atsuo

―つまり、これまでにも海外に進出して行った日本のバンドがたくさんいて、その流れも踏まえてのBORISだったから面白かったという部分があり、最初に言ったようなヘビーメタルシーンの中で面白がられた部分もあり、そういった複合的な見方で評価されたと。

Atsuo:逆に日本だと、いろんな文脈がない方が、僕らは面白く見えるんじゃないかって今は思っていますね。最近COALTAR OF THE DEEPERS(1991年結成の日本のロックバンド)の初期メンバーでのライブを見たんですけど、ディーパーズが今の時代でも新しく響くっていうのは、すべてが等距離に見える中でも、光って見えるものがあるってことだと思うんですよ。

―ディーパーズの中心人物・NARASAKIさんは、ももいろクローバーZやBABYMETALの曲も作ってたり、アウトプットの仕方はホントに多彩ですけど、そういったものが全部フラットになった今だからこそ、ディーパーズが持っているコアの部分が光って見えるということかもしれませんね。

Atsuo:そうですよね。(ディーパーズは)断片がバラバラにいろんなところに散らばっていて、それを俯瞰して見たときに、何かしらコアが見えるっていうタイプのバンドだと思うんですよ。そこはちょっと自分たちと共通する部分があるなって、ライブを見て思いましたね。

Takeshi(Vo&Ba,Gt):うん、ホントにシンパシーを感じたね。デスメタルだったり、ボサノバだったり、シューゲイザーだったり、ギターポップだったり……色々な方法論をひとつのバンドがずっと同軸でやってきていて、それが今目の前で鳴っているのを観たときに、ものすごく腑に落ちたというか。

30歳より下の世代は、いろんなジャンルにアクセスするフットワークの軽さを持っていて、上の世代は、文脈において音楽の優劣を決めるっていうことを体感してきている世代なのかなって。(Atsuo)

―その等距離感って、どのくらいの世代から一般化し始めていると思いますか?

Atsuo:現在の30歳あたりにラインがあるような気がしますね。例えば30歳以上のバンドって、高校の頃にビジュアル系とか聴いていても、何となく気恥ずかしさがあって、「ビジュアル系の影響を受けた」とは言えない世代。でも、30歳より下だと公言できる。そこのラインから下は、いろんなジャンルとの付き合い方がかなり均等な距離になっていて、新しい世代だなと思います。そういう子たちの方が、よりいろんなジャンルにアクセスするフットワークの軽さを持っていて、30歳より上の世代は、文脈において音楽の優劣を決めるっていうことを体感してきている世代なのかなって。

Takeshi:30歳以上のバンドだと、○○に影響受けたとか、実は○○が好きとかって話は、すごく仲良くならないと言ってくれないよね(笑)。

Takeshi
Takeshi

―わかるような気がします(笑)。でも確かに、等距離感を持つ若者が増えてきたことで、BORISの面白さがより伝わりやすい時代になったと言えると思います。あともうひとつ、最近日本から海外に出ていってる音楽というと、例えば初音ミクがLADY GAGAのオープニングに起用されるとか、BABYMETALがラウド系のフェスに出演するとか、かなり独特な状況になってますよね。単純に、そういった状況をどう見ていますか?

Atsuo:僕はすごくいいと思いますけどね。さっきも言ったように、僕らは欧米の音楽の歴史文脈に乗っちゃっているんで、クールジャパン的なイベントなどの接点はまったくないんですけど、日本のアーティストがどんどん出ていって、向こうにあるそういったクールジャパンコミュニティーと、僕らが組み込まれているような海外のアンダーグランドのシーンにどんどん接点ができていって、もっとグチャグチャになったら面白いんじゃないかって思いますね。

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イベント情報

Boris
『Live Noise Alive』

2014年6月14日(土)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
Boris
GREENMACHiNE
料金:前売3,200円(ドリンク別)

リリース情報

BORIS<br>
『NOISE』日本盤(2CD)
BORIS
『NOISE』日本盤(2CD)

2014年6月18日(水)発売
価格:2,800円(税込)
tearbridge records / NFCD-27364

[DISC1]
・黒猫メロディ
・Vanilla
・あの人たち
・雨
・太陽のバカ
・Angel
・Quicksilver
・シエスタ
[DISC2]
・Bit
・君の行方
・有視界Revue
・ディスチャージ

BORIS<br>
『NOISE』(アナログ2LP/180g重量盤)
BORIS
『NOISE』(アナログ2LP/180g重量盤)

2014年6月18日(水)発売
価格:5,184円(税込)
Daymare Recordings / DYMV-994

プロフィール

BORIS(ぼりす)

92年結成、96年にTakeshi (Vocal, Guitar & Bass)、Wata (Vocal, Guitar & Echo)、Atsuo (Vocal, Drums & Percussion)という現在のメンバー編制へ。活動当初よりワールドワイドに活動、海外ツアーも03年以降はほぼ毎年行い、文字通り音を体感するダイナミクスに満ちたパフォーマンスはNINE INCH NAILSをも魅了し、USアリーナ・ツアーのサポートに抜擢された。『Pink』(05)、『Smile』(08)、SUNN O)))との共作『Altar』(07)への全世界での評価は、音楽的のみならずセールス面でも証明されている。11年3月に日本ではメジャー初リリースとなる『New Album』を発表。また映画『リミッツ・オブ・コントロール(09)』『告白(10)』へも楽曲を提供、映像的と評される作風は音楽界以外でも注目を浴びた。13年より改めて3人編成での活動にシフトし、メンバー間の相互作用とバランスを更に強化。2014年6月最新作『NOISE』を全世界同時リリースする。

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