インタビュー

くるりインタビュー 「ロックバンドはみんな真面目すぎる」

くるりインタビュー 「ロックバンドはみんな真面目すぎる」

インタビュー・テキスト
金子厚武
2014/09/16

もしかしたら、曲の中に自分の心の叫びとかが入ってるのかもしれないけど、入れようと思ってやると、入りきらないんですよ。音楽って、大したことないんです。(岸田)

―何か重要な参照点があったわけではなかったんですね。

岸田:アルバム作ってるときにみんなで聴いて「オモロイな」って言ってたのは、EDMやったり、あとは中東の変なハウスやったりしたんで、参照点としてオーソドックスなものはあんまりなかったかもしれないですね。例えば、“しゃぼんがぼんぼん”っていう速くて短い曲は、「これはメタルだから」って2バスにして、速いギターソロ入れて作ったんですけど、よくよく聴いたらEDMっぽくて。でもそれは、EDMが好きだからそうなったわけじゃなくて、むしろちょっとバカにしてるところがあるんですよ、たぶん(笑)。なのにそういう要素を取り入れることって、すごい……素敵なことやなって(笑)。

―ユーモアの重要性ってことでしょうか?

岸田:野々村議員とかね、やっぱりすごい引きがあるんですよ(笑)。例えば、ナンプラーとか飲めないじゃないですか? 飲めないけど、ちょっとふりかけると、美味しくなったりする。やっぱり人間はそういうゲスいもんが好きっちゅうか、僕らがそうなだけかもしれんけど、ゲスいもんをゲスに表現するんじゃなくて、自分らの表現の中で消化すると、パンチが生まれるんですよね。あえて1980年代っぽいことをやるような、「イケてる風文化」ってあるじゃないですか? それをもっとハイレベルでやるっていうか。

佐藤:初めてAviciiを聴いたときとか、「何やっとんねん、おまえ」って思ったんですよ(笑)。でも、それを認めてしまう馬鹿馬鹿しさっていうかね。例えば、ウィーンだとシュニッツェルっていう食べもんが有名で、カツレツなんですけど、週7とかで食ってるとさすがに飽きてくるんですよ。それでどうしても我慢できずに、バルサミコ酢もらってバーッてかけて食べたら、めっちゃ美味しかったんです。でも、それってウィーンの人たちからしたら、「何やっとんねん、おまえ」なんですよね。そういうものが詰まってるかもしれない。

佐藤征史
佐藤征史

―誤解から生まれるものの面白さって、実は音楽の重要な要素だと思うんですよね。

岸田:そうそう、個人的に昔のブラジルのロックバンドとかすごい好きで、Os Mutantesとか(エルメート・)パスコアール、MANO NEGRAとかの何がいいかって、完全に勘違いしてることで。THE BEATLESみたいなのやりたいんやろうけど、「どう考えても違うよ、あんた」みたいな(笑)。やってる方も、最初は本気でTHE BEATLESみたいのやりたいと思ってて、でも根本的に何かが間違ってるって本人が気づいた後に、それでもやってる感じがすごい魅力的なんですよ。勘違いした時点で、そのジャンルを作ってるってことですから。

―そういう要素が『THE PIER』にはたくさん詰まっていると言えそうですね。

岸田:実際演奏してるときとか、ソングライティングをしてるときは、真面目にありたいと思ってるんですね。そこで雑念とか、不道徳なものとか、ちょっとでも不純物が入ると、ダメになるんです。その代わり、集中してないときっていうのは、いかに反対側の目で見るかっていうことを考えてるんですよ。(目の前のお茶を見て)「これ伊右衛門」じゃなくて、「お茶の横に時計が置いてある」とか、そういう見方をするようにしてる(笑)。

―(笑)。

岸田:そうやって、音楽を作るときの集中とは真逆のことをやっておかないと、保てないんですよね。もしかしたら、曲の中に自分の心の叫びとかが入ってるのかもしれないけど、入れようと思ってやると、入りきらないんですよ。音楽って、大したことないんです。個人の想いとかと比べると、全然大したことないですから。

―その考え方っていうのは、最近強くなったものなのでしょうか?

岸田:やっぱり若いときはね、もうちょっと音楽的なもんとか、自分の憧れとするものにまみれながら、時代と同化して、「自分もその一員」みたいなユナイト感があったけど(笑)、もうそんなんできる体じゃないっていうか、全部馬鹿馬鹿しいって思っちゃうんですよね。ただ、それが敵意とかネガティブな感情になっちゃうとホントによくないんで、あらかじめ何も期待してない状態を作るというか、「お茶の横に時計が置いてあるだけで面白い」っていう状態を常に作っておくことがラクだし、大事だったりするんです(笑)。

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リリース情報

くるり<br>
『THE PIER』初回限定盤(CD)
くるり
『THE PIER』初回限定盤(CD)

2014年9月17日(水)発売
価格:5,400円(税込)
VIZL-719

1. 2034
2. 日本海
3. 浜辺にて
4. ロックンロール・ハネムーントルツメ
5. Liberty&Gravity
6. しゃぼんがぼんぼん
7. loveless<album edit>
8. Remember me
9. 遥かなるリスボン
10. Brose&Butter
11. Amamoyo
12. 最後のメリークリスマス<album edit>
13. メェメェ
14. There is(always light)
※全曲楽譜集付き7インチサイズジャケット仕様、“Liberty&Gravity”ハイレゾ音源ダウンロードコード封入

くるり<br>
『THE PIER』通常盤(CD)
くるり
『THE PIER』通常盤(CD)

2014年9月17日(水)発売
価格:3,132円(税込)
VICL-64167

1. 2034
2. 日本海
3. 浜辺にて
4. ロックンロール・ハネムーン→トル
5. Liberty&Gravity
6. しゃぼんがぼんぼん
7. loveless<album edit>
8. Remember me
9. 遥かなるリスボン
10. Brose&Butter
11. Amamoyo
12. 最後のメリークリスマス<album edit>
13. メェメェ
14. There is(always light)

プロフィール

くるり

1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル「ロック・コミューン」にて結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンド。岸田繁(Vo, Gt)、佐藤征史(Ba, Vo)、ファンファン(Tp, Vo)の3名で活動中。

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