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「楽曲制作は再現でしかない」新世代宅録系、Nohtenkigengo

「楽曲制作は再現でしかない」新世代宅録系、Nohtenkigengo

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
2014/10/16

シンガーソングライターの花枝明によるソロユニット「Nohtenkigengo」が、ファーストアルバム『Never』を完成させた。これまでにインターネット上で発表してきたいくつかの音源と同じく、ホームレコーディング環境で制作されたこのアルバムは、クリーントーンを基調としたアンサンブルがとにかく精巧で、パッと聴いた感じでは、これがたった一人で演奏・録音されているとはにわかに信じがたいほど、じつになめらかでグル―ヴィーだ。そして本人いわく、このアンサンブルには明確なロールモデルがあるのだという。そこで筆者も取材後にその参考音源を本作と聴き比べてみたのだが、その再現性の高さには思わず舌を巻いてしまった。この『Never』という作品で、彼はそのソングライティングスキルはもちろん、自宅録音におけるたしかな手腕も余すことなく発揮しているのだ。

一方で、そんな花枝はいま、一人の音楽家として大きな転機を迎えているのだという。この25歳の青年にとって、音楽制作とは至極パーソナルなものであり、その過程を他者と共有するのは決して簡単なことではなかった。しかし、現在Nohtenkigengoのライブ活動をサポートしている森は生きているの岡田拓郎(Gt)、Taiko Super Kicksの大堀晃生(Ba)と小林希(Dr)の存在は、どうやらそんな彼の抱えてきた孤立感をゆっくりと解消させつつあるようだ。ささやくような歌声を聴かせながら、屈託ない表情で「曲作りはレゴブロックを組み立てるのとそんなに変わらないんです」と言い放つこの青年は、『Never』の先にどんな成長を見せてくれるのだろう。これはちょっと目が離せない存在になりそうだ。

小さい頃、テレビで見た風景とかをレゴブロックで組み立てて遊んでいました。音楽も、その延長にあるような感覚で作っているところがあります。

―流通音源としては今回の『Never』が最初の作品になるわけですが、Nohtenkigengoはすでにたくさんの作品を発表されているんですよね。これは十分に多作家と言っていいペースだと思うんですけど。

花枝:そうかもしれませんね。現在はもう公開していない作品も含めると、これまでにアルバム4枚と、3曲入りのEPを2枚出しています。とはいえ、今回こうしてレーベルからお誘いをいただいた時点では、曲のストックがほとんどなかったし、特にアルバムを作ろうという気もなかったんです。でも、せっかくの機会なので、これまでよりはもう少し自分の間口が広がるようなものにしたいなと思いました。あとは、そのときによく聴いていた音楽をうまく取り入れた作品を作りたいなと。

―その「よく聴いていた音楽をうまく取り入れよう」という意識は、今回のアルバムにおいて特に強かったもの? それとも花枝さんが新しい作品に取り掛かる際は、毎回そうした参照作品があるんですか?

花枝:いつもあります。例えば、トクマルシューゴさんの『Night Piece』という作品をよく聴いていたときは、あの作品の構成や展開をそのまま拾って、それを真似するような感覚で曲を作っていました。僕は、ある音楽が好きになると、それについて調べたいという欲求が自然と湧いてくるんです。そうやって調べていくうちに、自分でもそういう音楽が作りたくなります。

―なるほど。気に入った音楽のディテールを自分なりに解析して、それを参考にしながら音楽を作っているんですね。

花枝:そうなんです。大学のサークルに入ったとき、本当はコピーバンドがやりたかったんですけど、残念ながら自分と趣味の合う人が周りにいなかったんですよね。だったら、一人でトクマルさんっぽい音楽を作って、それで満足しようと。だから、もし自分が充実したサークル生活を送っていたら、いまみたいなことはやっていなかったのかもしれません(笑)。

―お話を伺っていると、どうやら花枝さんは、曲を「作る」ことと「コピーする」ことの間に、それほど大きな違いを感じていないようですね。

花枝:はい。むしろ、同じ感覚だと思っています。以前にあったものを踏襲していく作業、あるいはその中の一部をもらって、それを別の形に発展させるようなことなんじゃないかなと。音楽に限らず、そういう作業が好きなんだと思います。

花枝明
花枝明

―「音楽に限らず」というのは?

花枝:小さい頃、あまりおもちゃを買い与えられなかったんですけど、レゴブロックだけは家に大量にあったんです。それで、テレビで見た風景とかをレゴで組み立てて遊んでいました。だから、音楽もその延長にあるような感覚で作っているところがあります。

―なるほど。音楽を作るときの感覚は、幼い頃にレゴブロックで何かを再現していたときの感覚とほぼ変わらないと。

花枝:そうですね。僕はそういう作業が楽しいっていう感覚を小さい頃に擦り込まれているので、音楽を作る作業も同じように感じているかもしれません。まずはブロックの単位に分解して、それを組み合わせる。その繰り返し。ただ、当然そのブロック構造が自分の耳でわかる範囲のものもあれば、なかなかその構造が見えてこないものもあります。

―その構造が見えてこなかった場合はどうするんですか。

花枝:そういう構造のものでも、いろんな音楽を聴いてはそれを組み立てるという作業を繰り返していくうちに、少しずつ見えてくることがあって。そうしたら、次はそっちに取り掛かります。ただ、その構造があまりにも複雑過ぎると、その音楽のグルーヴや空気感を自分の中で解釈しきれないから、もし取り掛かったとしても、見たままの形にしかならないんですよね。僕はその中身のパーツまでたくさん見えてきてから、それを自分の手で再現しようという気持ちになるんです。

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イベント情報

Nohtenkigengo『Never』Release Party!!

2014年12月4日(木)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
Nohtenkigengo
and more
料金:前売2,500円 当日3,000円(共にドリンク別)

Nohtenkigengo『Never』発売記念ライブ in 京都

2014年11月28日(金) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:京都府 Live House nano
出演:
Nohtenkigengo
Taiko Super Kicks
and more
料金:前売2,000円 当日2,300円 (共にドリンク別)

リリース情報

Nohtenkigengo<br>
『Never』(CD)
Nohtenkigengo
『Never』(CD)

2014年10月22日(水)発売
価格:2,376円(税込)
kiti / ARTKT-001

1. Long
2. Fever
3. Club
4. Villa
5. Old Car
6. Tennis
7. Video
8. Typhoon
9. Beach Song

CINRA.STOREで取扱中の商品

Nohtenkigengo , 中野友絵<br>
iPhone5/5Sケース「Nohtenkigengo tennis」
Nohtenkigengo , 中野友絵
iPhone5/5Sケース「Nohtenkigengo tennis」

新世代宅録ポップスの新星によるアルバム発売記念オリジナルアイテム

プロフィール

Nohtenkigengo(のうてんきげんご)

新世代宅録ポップスの新星、花枝明によるソロプロジェクト。今作『Never』では、作詞/作曲から、演奏/録音までをすべて一人でこなしている。これまでに『TOI』『VIDEO』の計2枚のEP作品をリリース。CD-RやBandcamp、配信サイト「OTOTOY」などで発表している。人気インディーミュージックブログ「Hi-Hi-Whoopee」から派生した、日本のインディーを取り上げるブログ「10,000 TRACK PROFESSIONAL」でインタビューが掲載されるなど、早くから注目と期待を集めており、トクマルシューゴや森は生きているも賛辞を寄せた注目の新世代アーティスト。ライブ時には現在、森は生きているの岡田拓郎(Gt)のほか、若手注目バンドTaiko Super Kicksの大堀晃生(Ba)と小林希(Dr)がメンバーとして参加している。

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