インタビュー

THE BACK HORN×熊切和嘉監督対談 これまでにない映画を発明

THE BACK HORN×熊切和嘉監督対談 これまでにない映画を発明

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

世界のどこかで、たった2人きりの生活を営む老夫婦。ひょんなことで、夫は妻に先立たれる。しかし、夫は妻の亡骸を埋めることなどできない……。終末観が漂うそのストーリーの間に、THE BACK HORNの強烈なライブ映像が挟み込まれていく。映画『光の音色 -THE BACK HORN Film-』は、そんな斬新な手法によって、映像と音楽の新たな関係性を構築し、見る者にこれまでにない体験を提示する作品である。本作の監督を務めたのは、今年『私の男』で、モスクワ国際映画祭の最優秀作品賞を受賞した熊切和嘉。バンドと熊切は今回が初のコラボレーションだが、それぞれ作品の中で生々しい人間の弱さを見つめ、そこにこそ人間らしさを見出していく両者だけに、この組み合わせは必然の邂逅だったようにも思う。異例続きだったというライブシーンの撮影、ロシアを舞台に、アクシデント続きだったというストーリー部分の撮影、それぞれの制作秘話と共に、作品が浮かび上がらせるテーマ性についても、両者にじっくりと語り合ってもらった。

ライブ映像とかドキュメンタリーではなくて、「何か新しい映像作品を作りたい」という想いが漠然とありました。(松田)

―そもそも今回の映画の話はどこからスタートしたものだったのでしょうか?

松田(Dr):「音楽の映画を作りたい」という熱い想いを持ってる映画プロデューサーさんが、THE BACK HORNの音源をたくさん聴いたり、ライブを何度も観てくれたりしていて、お話を持ってきてくださったんです。ただ、せっかく映画館で音楽が聴けるのであれば、普通のライブ映像やドキュメンタリーではなくて、「何か新しいものを作りたい」という想いが漠然とありました。そしてそれが、自分たちにとって、新しい可能性を開くことのできるものになればいいなと。

―ストーリーとバンドの演奏が組み合わさった、他にない音楽映画になってますもんね。

松田:バンドの過去をさかのぼるのではなくて、自分たちが今いるところから新しいものを作っていく方が、新しい何かが生まれる可能性があるんじゃないかって思ったんですよね。

―そして監督を、熊切さんにお願いしたわけですね。

松田:いろいろアイデアを考えていく中で、熊切監督の名前が挙がりました。実は僕らのデビュー当時に、熊切監督にPVのオファーをしていて、監督もやりたいって言ってくださってたんですけど、タイミングが合わずにできなかったことがあったんですね。それで今回、改めて監督の作品をメンバー各々が見て、「熊切監督となら新しい映像作品が生まれるんじゃないか」って思ったんです。

松田晋二
松田晋二

―監督の作品からどんなことを感じたのでしょうか?

菅波(Gt):心の風景を映像にするのが上手いと思ったんですよね。すごくリアルなんだけど、そこに出てくる人たちの気持ちまで映像に表れてくる感じというか。THE BACK HORNもずっと、「目に見えないもの」を音にしてきたバンドだから、熊切監督とならそういう表現をちゃんと映画に落とし込めるんじゃないかと思いました。だから実際に今回の作品も、心象風景のようなものだと思うんですよね。ヒリヒリしたリアリティーもありつつ、心の中で起きてるザワザワした感じも、映像と俺たちの演奏から伝わるんじゃないかなって。

菅波栄純
菅波栄純

山田(Vo):(菅波)栄純も言った通り監督の作品は、バイオレンス的なリアルさと静寂なリアルさ、その両方が強く表現されているのがいいんですよ。例えば犬って、散歩してるのを遠目で見てたら可愛いけど、近くで見ると結構怖いじゃないですか? 獣過ぎて(笑)。そういう生々しいリアルさが、映像に出てるなって。

岡峰(Ba):僕は熊切監督の『鬼畜大宴会』(1998年)を見たことがあったんですけど、なかなか……いっちゃってるなって(笑)。どんどん混沌に向かっていく感じがすごいんですよね。あと、最近の作品を見ると、役者さんの演技が素に近い感じがして、それって一番難しいと思うんです。そんな映像を撮る監督に自分たちのライブ映像を撮ってもらうのが楽しみでしたね。

岡峰光舟
岡峰光舟

―監督の作品は、音楽をジム・オルークが担当(『海炭市叙景』、2010年公開)したりしていますよね。監督ご自身、かなりの音楽ファンなのでしょうか?

熊切:音楽はすごく好きですよ。THE BACK HORNも、男っぽくて、武骨な感じがあって好きですね。あと、僕も映画監督を15年やってますけど、彼らも15年以上バンドをやってきていて、何かあればその都度立ち止まって、ちゃんとあがいて作ってきていることをすごく感じるし、その愚直な感じも好きです。だから今回、そういう彼らとやれることも嬉しいし、普段とは逆に、音楽ありきで、そこに映像を寄り添わせるっていう発想で作れるのが面白そうだと思って引き受けました。

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イベント情報

『光の音色 -THE BACK HORN Film-』

2014年11月1日(土)から新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:熊切和嘉
音楽:THE BACK HORN
出演:
THE BACK HORN
ほか
配給:松竹メディア事業部、日販

リリース情報

THE BACK HORN<br>
『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』初回限定盤(DVD)
THE BACK HORN
『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』初回限定盤(DVD)

2014年10月22日(水)発売
価格:4,644円(税込)
VIZL-728

[DISC1]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ Live at Zepp Tokyo」
1. オープニング -風の中の黎明- (Live SE「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~」)
2. 月光
3. シェイク
4. 涙がこぼれたら
5. タソカゲ
6. コワレモノ
7. 白夜
8. エンドレスイマジン
9. 舞姫
10. ブランクページ
11. 甦る陽
12. 飛行機雲
13. ホログラフ
14. バトルイマ
15. コバルトブルー
16. 戦う君よ
17. ビリーバーズ
18. シンメトリー
19. サナギ
20. 幻日
21. 無限の荒野
22. シンフォニア
[DISC2]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ ドキュメンタリー」
※岡峰光舟監修・撮影『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』スペシャルフォトブックレット(全28公演のライブ写真とセットリストを掲載した36ページ、フルカラーのフォトブックレット)、『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』ラミネートバックステージパス付属、KYO-MEIスペシャルパッケージ仕様

THE BACK HORN<br>
『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』通常盤(DVD)
THE BACK HORN
『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』通常盤(DVD)

2014年10月22日(水)発売
価格:4,320円(税込)

[DISC1]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ Live at Zepp Tokyo」
1. オープニング -風の中の黎明- (Live SE「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~」)
2. 月光
3. シェイク
4. 涙がこぼれたら
5. タソカゲ
6. コワレモノ
7. 白夜
8. エンドレスイマジン
9. 舞姫
10. ブランクページ
11. 甦る陽
12. 飛行機雲
13. ホログラフ
14. バトルイマ
15. コバルトブルー
16. 戦う君よ
17. ビリーバーズ
18. シンメトリー
19. サナギ
20. 幻日
21. 無限の荒野
22. シンフォニア
[DISC2]
「KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~ ドキュメンタリー」

VIBL-726/7

プロフィール

THE BACK HORN(ざ ばっく ほーん)

山田将司(Vo)、菅波栄純(Gt)、岡峰光舟(Ba)、松田晋二(Dr)の4人より、1998年に結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌「レクイエム」、乙一原作『ZOO』(2005年)主題歌「奇跡」、アニメ『機動戦士ガンダム00』(2007年)主題歌「罠」、水島精二監督映画『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the trailblazer-』(2010年)主題歌「閉ざされた世界」など、そのオリジナリティー溢れる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2014年10月22日、ライブDVD『KYO-MEIツアー ~暁のファンファーレ~』を発売。

熊切和嘉(くまきり かずよし)

1974年、北海道帯広市生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。大阪芸術大学卒業制作『鬼畜大宴会』が第20回ぴあフィルムフェスティバルにて準グランプリを受賞し、大ヒットを記録。ベルリン国際映画祭パノラマ部門正式招待、タオルミナ国際映画祭グランプリに輝き、一躍注目を浴びる。2014年6月14日より全国公開された映画『私の男』は大ヒットを記録し、第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀作品賞、最優秀男優賞(浅野忠信)をダブル受賞する快挙を成し遂げた。その他代表作として、『空の穴』(2001年)、『青春☆金属バット』(2006年)、『海炭市叙景』(2010年)、『夏の終り』(2013年)など。

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