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世界が注目した顔プロジェクションマッピング『OMOTE』の裏側

世界が注目した顔プロジェクションマッピング『OMOTE』の裏側

インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:古本麻由未
2014/11/26

11月8日に東京ミッドタウンホールで開催された『CREATE NOW “Best of MAX”』は、PhotoshopやIllustratorなどで知られるアドビが主催するクリエイターのための祭典だ。複数会場を使い、さまざまな分野のクリエイターやエンジニアが、これからのクリエイティブをますます楽しくさせる技術や手法のプレゼンテーションを行った。

そのなかで最初の基調講演を行ったのが、映像制作会社P.I.C.S.の浅井宣通だ。PVやCMの分野で活躍の場を広げてきた彼は、近年プロジェクションマッピングを用いたエンターテイメント表現で脚光を浴びている。その大きな成果の1つが、『OMOTE / REAL-TIME FACE TRACKING & PROJECTION MAPPING』である。動き続ける人間の顔に映像を投影し、あたかも能面やサイボーグのように自由に顔の表情を変化させる独創的な表現は、その美しさと高度な技術によって瞬く間に世界的な話題となった。

今回、基調講演を終えたばかりの浅井にインタビューする機会を得た。プロジェクトの過程のなかで彼が発見した「顔」の魅力と不思議さ。そしてこれからの時代のクリエイションのかたちをお届けする。

「顔」は繊細かつ奥深いテーマ。『OMOTE』で見せられるクオリティーに持っていくまでが大変でした。

―基調講演お疲れさまでした。そもそも『OMOTE / REAL-TIME FACE TRACKING & PROJECTION MAPPING』はどのような発想から生まれたプロジェクトなのでしょうか?

浅井:少し前から「顔」は強力なメディアだと感じていました。喜怒哀楽の表現もできるし、疲れていたり、嘘をついていたりすると、ちょっとの表情の変化で察することができます。

―目が泳いだり、右上の方を見ちゃったり。

浅井:形としては、ほんのわずかな違いのはずです。それくらい繊細なモノのイメージをコントロールできたら、きっと面白いだろうと思いついて、メイクアップアーティストのクワハラヒロト君とエンジニアのポール・ラクロワに声をかけて、個人的なプロジェクトとしてスタートしました。

―基調講演では試作段階のプロセスもふんだんに見ることができましたが、技術的なハードルは高かったようですね。

浅井:キーノートでご覧いただいた開発途中の映像は、動きがガクガクしていてホラー映画みたいだったでしょ(笑)。顔はとてもデリケートなものなので、見せられるクオリティー(精度)に持っていくまでがかなり大変でした。

浅井宣通
浅井宣通

―企業などから請け負った仕事ではなく、自主活動だったからこそ実現できたってことを強調してらっしゃいましたね。

浅井:そうですね。クライアントワークで限界を感じるのは時間の制約です。なんとか納品に間に合わすのが至上命題で、本当はもっといろいろなことを試したい、完成度を高めたいと常に感じています。自主活動であるからこそ、ここまでできたというのは大きいです。ただ反対に、プライベートなプロジェクトだからこそ、みんなが納得しない限りはいつまでたってもゴールに辿りつかないという問題もあり、気づいたら半年間もかかってしまいました(笑)。だから全然気楽にやるという感じではなかった。メンバーのゴールの基準が高いから、徹夜して作ったものでも「ダメなものはダメ!」って言われちゃうし。

―身内がいちばん厳しい(笑)。

浅井:コラボレーションワークは合議制ですからね。しょっちゅうケンカ寸前までやり合いました。みんなプロ意識が高くてクオリティーを追求する人たちばかりだから、「時間も予算も制約がないなら遠慮しない!」って、なる(笑)。これは永遠に終わらないんじゃないか、って不吉な予感が頭をよぎることもありました。何とか合格ラインに辿り着いたところで手を打って第1フェーズは終わらせました。

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プロフィール

浅井宣通(あさい のぶみち)

1968年生まれ。東北大学理学部卒業。P.I.C.S.所属。MV、CM、プロジェクションマッピング、バーチャルリアリティーなどの企画、プロデュース、テクニカルディレクションを担当。2014年8月、リアルタイムトラッキングフェイスプロジェクションマッピング『OMOTE』において、1か月で550万ビューの世界的な話題となる。日本初の大規模プロジェクションマッピング『SEIKEI 3D PROJECTION MAPPING』以降、『SUBARU FORESTER』『DOCKYARD PROJECTION MAPPING』などプロジェクションマッピングシーンに貢献してきた。広告、デザイン、アートからの発想と、プログラミング的な発想の融合によりイノベーティブな表現に挑戦している。『文化庁メディア芸術祭』審査員推薦作品選定1回。

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