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震災や原発すら「消費」してしまうのか? 舩橋淳×後藤正文対談

震災や原発すら「消費」してしまうのか? 舩橋淳×後藤正文対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也

民俗史とかを見ると、教科書で知ってた歴史がぐわんって歪んで、一気に平面から凹凸のある立体になる。この映画は、その役割も果たしてくれると思うんです。(後藤)

舩橋:先週ボストンとニューヨークで映画が上映されたんですけど、福島の問題はもう解決したと思ってる人が多かったんです。未だに仮設住宅で避難生活を送っている状況を知って、「ガザみたいなことが日本国内で起こってるのか?」って言う人もいたりして。ジャーナリズムは「今」に向けて発信するものだけど、映画は時代や国が違っても、見た人が理解できる情報や物語を入れておかないといけない。後藤さん、1960年代や70年代に作られた、原子力のPRビデオってご覧になられたことありますか?

後藤:いや、ないですね。

舩橋:YouTubeにもアップされてますけど、どれだけ原子力がかっこいいかっていうイメージが作られていたわけです。ゆるキャラみたいなのが出てきたりして(笑)。つまり、時代によって原子力のイメージって変わるから、僕たちが今偉そうに言ってることも、実はあと10年後にはまるっきり変わってるかもしれない。だからこそ、できるだけありのままに記録しておく必要があると思ってるんです。

後藤:何年かしたら、この映画は資料価値がぐっと高まるでしょうね。教科書って、そのときの政治勢力が上手に編集するので、内容が変わっていきますよね。何が信じられないって、例えば極端な例ですけど、前までは足利尊氏の肖像だったものが、今「騎馬武者像」になってるそうなんですよ(笑)。一般常識として習ったようなことも変わってしまう可能性がある。だからこそ、庶民の声をちゃんと庶民の手で残しておくべきで、こういう映画は教科書に抗うものとして残ると思うんです。

後藤正文

舩橋:歴史書も当時の権力者が書きますからね。

後藤:そうなんですよ。都合良く修正されていくわけじゃないですか? 僕は民俗史が好きなんですけど、一般常識として知っているものとは違う供述とか記述から学ぶことって、すごく多いんですよね。俗っぽい話で言うと、社会の中でホントに男の人だけが強かったのかというと、江戸時代は女の人がお金を貸してたりもするし、女の人から離縁することも多かった。でも、男の人が公的な書類を書くから、男から離縁したように見えているんだけど、三行半を叩き付けているのは女性だってケースも多かったそうです。女の人が意外と強かった(笑)。そういう事実が民俗史として残っていて、教科書で知ってた歴史がぐわんって歪んで、一気に平面から凹凸のある立体になる。この映画は、その役割も果たしてくれると思うんです。

何かを残していくためには、決して消費されないものを作るしかないと思うんです。(舩橋)

後藤:もう1つ、この映画で思ったのが、「まだまだ撮り切れてないんだ」っていうのが伝わってくるってことなんですよね。文学でもそうですけど、優れている作品というのは、「描き切れている」のではなく、「描き切れないんだ」っていうところが、尊い部分だと思うんです。この映画には、膨大で複雑なバックグラウンドを収めるための莫大な量のテープがあって、そこにも収まり切らない人々がいて、それを監督が何とか2時間という形にした。そのことに対して、みんなで途方に暮れるのが一番いいと思って。

舩橋:映画は2時間程度ですが、撮影した素材は400時間ありますからね(笑)。映画では福島と埼玉に散らばった双葉町民を描いていますが、双葉町民は全国39都道府県に散らばっているんです。そこは映画では描ききれなかったから、本にして出そうと思ってるんですけど、文学でも映画でも、大事なのは外の世界といかに地続きでつながってるかを感じさせることだと思うんです。上から目線で、理屈で言うんじゃなくて、平たい目線で、窓の外を感じさせることが大事。

『フタバから遠く離れて 第二部』 ©ドキュメンタリージャパン/ビックリバーフィルムズ
『フタバから遠く離れて 第二部』 ©ドキュメンタリージャパン/ビックリバーフィルムズ

後藤:この映画って、福島で起こっていることを撮ってるんですけれど、僕たちの属してるコミュニティーにも、絶対こういう問題ってあるんですよね。だから、僕たちみんなが自分ごととして考えないとダメだって気持ちにさせられます。日本人は民主主義が上手じゃないなって最近いろんなところで突きつけられてる気がするんですけど、1人のすごいリーダーがベストな意見を選び続けるわけじゃなくて、常にユラユラしてるベターをみんなでどうにかして選んでいくんだっていうことを、それぞれがイメージしていかないといけないわけで。

舩橋:選挙にしても、空気を読む日本社会から解放されて、それぞれの人間が主体性を持って、「ここに入れなきゃダメなんだ」って思えるようになるには、どうすればいいんだろうっていつも考えています。

後藤:そこに訴えかけるのは大変ですけど、やらなきゃいけないと思います。そのためには、自分から変わるしかなくて、まずはいろんな場所でカジュアルに政治の話をするっていうのがいいんじゃないかって思ってるんですよね。僕は今回映画を見て、自分自身に「キープオン」って言われた気がしました。

舩橋:何かを残していくためには、決して消費されないものを作るしかないと思うんです。歴史は修正されていくけど、今起こっていることをありのままに記録して、なおかつ、ここで起きていることと外の世界が地続きであることを示すこと。それがドキュメンタリーの役割なんじゃないかって思います。

information

作品情報

『フタバから遠く離れて 第二部』

2014年11月15日(土)からポレポレ東中野ほか全国で公開
監督:舩橋淳
配給:Playtime

映画『フタバから遠く離れて 第二部』公式サイト

リリース情報

Gotch
『Route 6』(アナログ7inch+CD)

2014年11月28日(金)発売
価格:1,620円(税込)
only in dreams / ODEP-007

[SIDE-A]
1. Route 6
[SIDE-B]
1. Baby, Don't Cry (Live Version)
※CDにはアナログ盤と同内容を収録

リリース情報

Gotch
『Live in Tokyo』(アナログ7inch2枚組+CD)

2014年11月19日(水)発売
価格:3,888円(税込)
only in dreams / ODJP-002

[SIDE-A]
1. Humanoid Girl
2. The Long Goodbye
3. Can't Be Forever Young
4. Stray Cats in the Rain
[SIDE-B]
1. Aspirin
2. Route 6
3. Blackbird Sings at Night
4. Only Love Can Break Your Heart
[SIDE-C]
1. Great Escape from Reality
2. Lost
3. Nervous Breakdown
4. A Shot in The Arm
[SIDE-D]
1. Sequel to the Story
2. A Girl in Love
3. Wonderland
4. Baby, Don't Cry

amazonで購入する

リリース情報

Gotch
『Live in Tokyo』(CD)

2014年12月3日(水)発売
価格:2,300円(税込)
only in dreams / ODCP-008

1. Humanoid Girl
2. The Long Goodbye
3. Can't Be Forever Young
4. Stray Cats in the Rain
5. Aspirin
6. Route 6
7. Blackbird Sings at Night
8. Only Love Can Break Your Heart
9. Great Escape from Reality
10. Lost
11. Nervous Breakdown
12. A Shot in The Arm
13. Sequel to the Story
14. A Girl in Love
15. Wonderland
16. Baby, Don't Cry

amazonで購入する

後藤正文イベント情報

『LITHIUM ROCK FESTIVAL 2014』
2014年11月23日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

『COUNTDOWN JAPAN 14/15』
2014年12月28日(日)~12月31日(水)
会場:千葉県 幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール
※Gotch(後藤正文)は12月29日出演

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