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「私これから歌えるのかな?」 ハルカトミユキの再出発

「私これから歌えるのかな?」 ハルカトミユキの再出発

インタビュー・テキスト
金子厚武

金髪のベリーショート、真っ赤な口紅を塗ったハルカの姿がジャケットに据えられたハルカトミユキ約1年ぶりの新作『世界』は、明確に「変化」の作品であり、一度壊れてしまった世界をもう一度作り上げるような作品だ。メジャーデビュー後最初のアルバムを完成させた後、白紙の状態からスタートした前作『そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。』の制作は想像以上に困難を極めたようで、その後ハルカは一時期自身の歌を見失い、「死」や「終わり」を見つめる日々が続いたという。しかし、制作のスタッフを一新し、NAOKI-Tやi-depのナカムラヒロシといった新たなコラボレーターとの作業を通じて徐々に方向性を見出すと、二人はまず“世界”という楽曲を届けてくれた。「別れ」の先に「始まり」を見出したこの曲は、まさに「再生」の一曲であった。

2015年は12か月連続での新曲発表、ミニアルバムとフルアルバムの2枚のリリースを掲げていて、『世界』はその最初の一枚となる。すでに配信中の“世界”や、ナカムラとのコラボレーションによるダンストラック“嘘ツキ”、ミユキの1980年代趣味全開のニューロマナンバー“tonight”など、新機軸の詰まった作品であることは間違いないが、今の彼女たちにとって何より重要なのは、動き続けることである。インタビューでは「フィジカル」という言葉がキーワードとなったが、歌、言葉、サウンドが三位一体となって作り出す、その動態としてのパワーこそが『世界』という作品の肝なのだ。それは言ってみれば、利便性を追求するあまりに余計なしがらみにとらわれている現代人が、自らを取り戻し、解放するためのヒントなのだと言ってもいいかもしれない。

今までは、すごくかっこつけてたなって思うんです。でも、私はやっぱりポップスが好きで、そこに素直になれたことで、すごく楽になりました。(ミユキ)

―前作のEP(『そんなことどうだっていい、この歌を君が好きだと言ってくれたら。』)から約1年ぶりのリリースになります。この間制作が上手く進まない時期もあったようですが、転機となったのはいつでしたか?

ハルカ:去年の11月のワンマンライブで、やっと抜け出せたような感じがありました。それまでは創作に対する悩みの渦の中にいて、いくら考えてもどうしようもなかったんですけど、無理にでもライブで歌ってみて、体の感覚で素直に歌うことが自分には必要だってわかりました。

ハルカ 『ハルカトミユキ 秋の東名阪ワンマンツアー』恵比寿LIQUIDROOM
ハルカ 『ハルカトミユキ 秋の東名阪ワンマンツアー』恵比寿LIQUIDROOM

ミユキ:前のEPを作ってたときはハルカが一番落ちてた頃で、歌うことすらしんどくなってるなってことが、隣で見ててすごくよくわかっていたんです。もう終わりにしたほうがいいんじゃないかって、二人で話し合いをするぐらい、ホントにヤバかったんですけど、結局「続ける」となった。それで、それぞれ自分たちを変えようとする中で、私も私で、今までルーツをあやふやにしてたなって思ったんです。ハルカトミユキの「ミユキ」として、どんな音楽がルーツで、どんなキーボードの音が私らしい音なのか? それを掘り下げて行ったら、1980年代の音楽に出会ったんですよね。それで、11月のワンマンに向けて80年代をオマージュした“フラワー”って曲を作り始めて、それが形になったのが私にとっては大きかったんです。

―「ミユキ」を確立する作業が必要だったと。

ミユキ:必要でした。それまでは、すごくかっこつけてたなって思うんです。ハルカの隣でハルカに合わせちゃってたっていうか……。本当に必要なのは、ハルカと合わさったときに、ケミストリーを起こせる私じゃないですか? 実は、私、中学のときにORANGE RANGEのファンクラブに入ってたんですけど、そういうことを隠してた自分がいたんですよ(笑)。でも、私はやっぱりポップスが好きで、そこに素直になれたことで、すごく楽になりました。

ミユキ
ミユキ

―さっき「二人で話し合いをして、結局『続ける』となった」って言ったけど、つまりは、解散や休止も頭をよぎったということですか?

ハルカ:解散というか……「私、これから歌を歌っていけるのかな?」というのは思ってました。何も決意できていないんだけど、このままやって行くのも先が見えない状態だったんですよね。

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リリース情報

ハルカトミユキ
『世界』初回生産限定盤(CD+DVD)
ハルカトミユキ
『世界』初回生産限定盤(CD+DVD)

2015年4月22日(水)発売
価格:2,700円(税込)
AICL-2859/60

[CD]
1. 世界
2. tonight
3. マゼンタ
4. 君はまだ知らない
5. バッドエンドの続きを
6. ヨーグルト・ホリック
7. 嘘ツキ
[DVD]
1. 終バス
2. 嘘ツキ
3. ニュートンの林檎
4. 青い夜更け

ハルカトミユキ
『世界』通常盤(CD)
ハルカトミユキ
『世界』通常盤(CD)

2015年4月22日(水)発売
価格:2,160円(税込)
AICL-2861

1. 世界
2. tonight
3. マゼンタ
4. 君はまだ知らない
5. バッドエンドの続きを
6. ヨーグルト・ホリック
7. 嘘ツキ
[DVD]
1. 終バス
2. 嘘ツキ
3. ニュートンの林檎
4. 青い夜更け

イベント情報

『ハルカトミユキ meets People In The Box』

2015年4月25日(土)OPEN 17:15 / START 18:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:
ハルカトミユキ
People In The Box
料金:3,500円(ドリンク別)

『ハルカトミユキ ワンマンライブ2015‘世界’』

2015年6月19日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

2015年6月25日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:大阪府 umeda AKASO

料金:各会場 前売3,500円(ドリンク別)

プロフィール

ハルカトミユキ

歌人・ハルカ(Vo/Gt)と奇人・ミユキ(Key/Cho)、のユニット。短歌をこよなく愛する、歌人・ハルカのアイドルは、ニューウェイヴ短歌の旗手、穂村弘。80’sオタクの奇人・ミユキのアイドルは、Queenの鬼才、フレディ・マーキュリー。大学で知り合った二人は、2012年11月、1st e.p.『虚言者が夜明けを告げる。僕達が、いつまでも黙っていると思うな。』でインディデビュー。続けざまに、2nd e.p.『真夜中の言葉は青い毒になり、鈍る世界にヒヤリと刺さる。』をリリース。二人の音楽は、インディ流通でありながら、鮮烈な印象を残し、2013年11月にメジャーレーベルに移籍し、インディ時代の名曲も収録したフルアルバム『シアノタイプ』を完成。2015年1~12月まで毎月新曲を発表中のハルカトミユキ。 2015年中には、2枚目のフルオリジナルアルバム発売をアナウンスしている。

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