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tioが語る、都会に住まないからこそできる音楽と暮らしの両立

tioが語る、都会に住まないからこそできる音楽と暮らしの両立

インタビュー・テキスト
加藤直宏
撮影:田中一人
2015/05/26

いまFacebookやTwitterで発信することは重要だけど、そこから何を得て、何を失っているのか、その結果を検証するためにはまだしばらく時間がかかると思うんですよね。(伊藤)

―tioの音楽を聴いていて感じたのは、自分たちのライフスタイルや日常に対する愛情がそのまま音になっているというか。そういう意識はありますか?

下田:ありますね。まさに日常をノートする感覚から曲が生まれてくるので、そうやって感じてもらえると嬉しいです。

水谷:日常であったり、生活の中から生まれる音楽というのをずっと大事にしてきました。変な言い方かもしれないけれど、音楽の前にそれぞれの生活がある。みんなそこを大事にしているからこそ、地元の三重県から離れずに、それぞれ仕事をしながらバンドを続けているというか。

―『1984』は軽快で明るい曲もありますが、“ungraspable”のようにダークというか、激しく感情を揺さぶるような曲もありますよね。

水谷:はい。毎日の生活の中には、どうにもならないことや悲しいこともあるわけで、そうした感情も無視せずに音に込めたいと思って。新美くんは結成以来ずっとアコギを弾いてきたんですけど、この曲で初めてエレキを使いました。エレキを歪ませた音色って、tioには向かないかなって思っていたけれど、この曲で自分たちの殻を壊せたような気がします。

―いまお話にでてきた、どうにもならないことというのは、社会的なことでしょうか、それとももっとパーソナルなことでしょうか?

水谷:どちらかと言うと、日々の生活の中でのことが多いと思います。でもそれも結局、世の中のさまざまな事象に結び付いていることなので、社会と無関係ではないんですけどね。アルバムのタイトル『1984』は、僕たちの生まれた年なんですけれど、この歳になってバンドを長く続けていこうとすると、色々簡単ではないこともあって。

―1984年生まれのみなさんが感じているいまの時代に対しての雑感って、どういうものでしょう?

下田:次の10年なんてまったく想像ができない時代ですよね。テクノロジーや情報の進化や更新のスピードがあまりに早すぎる。スマホだったり、タブレットだったり、20歳の頃には考えられなかったものが次々と生まれて、2、3年でまったく別の次元になっていたりしますよね。僕はパソコンとかに疎いので、余計にそう感じるのかもしれないですけれど(笑)。

水谷:僕も全然ついていけてない。

伊藤:俺も(笑)。

新美:全員(笑)。完全にアナログ思考のバンドですね。

―その感じはサウンドにも出ているような気がします(笑)。みなさんにとって、いまは生きにくい時代だと感じるところもあったからこそ、“ungraspable”のような曲も生まれたと。

水谷:明るい時代ではないような気がします。情報があり過ぎて、しかもそのソースがとても不明瞭だったりするので、自分たちが情報を読み解くための力を身につけないといけない。中にはそうしたことに危機感を持たずに、情報を鵜呑みにしている人たちもいるわけで。つまり情報やテクノロジーを、人間がコントロールできていないというか。そうしたことに怖さを感じます。でも、下を向いたり、部屋に閉じこもるよりは、明るく生きたいですよね。

水谷真大
水谷真大

―そうした前向きな気持ちもたっぷり楽曲に出ていますよね。

水谷:そうですね。重くて暗いだけにはしたくないですから。

伊藤:例えばバンドの活動にしても、いまFacebookやTwitterで発信することは重要だけど、そこから何を得て、何を失っているのか、その結果を検証するためにはまだしばらく時間がかかると思うんですよね。便利になっている一方で、人と会う時間や手間が減っている。昔なら電話をかけたり、会いに行ったりしていたのが、いまはメールやLINEで済んでしまうのは、やはり失っているものもあると思う。

―具体的にはどんなものが失われていると思いますか?

伊藤:例えばいまの宅急便ってめちゃめちゃ早いじゃないですか。昔なら2、3日待たなくてはいけなくて、その間にワクワクしたり、色々なことを想像したりしていた。便利になったり、時間が短縮されたりすることで、想像力や、感情の機微のようなものが失われているんじゃないかって思いますね。怖いのは、どこかでさらなる速さを求めてしまうことですね。僕自身がすでに「もっと早く荷物が届かないかな」って思うことがあるくらいで。

水谷:いいこと言ってる(笑)。僕もそう思いますね。便利さを求める一方で、そこで失ってはいけないものもあるような気がして。自分たちもそうした時代の中で流されそうになったり、便利さを求めたりしがちだけど、失ってはいけないものにこだわっているような気がする。人の温もりとか、人間性がちゃんと伝わる音楽を作りたいですね。


インストでなくてはいけないというこだわりはまったくない。(水谷)

―アルバムのお話に戻しますが、“4日のマーケット feat.ロボ宙”という曲にロボ宙さんが参加していますね。唯一、今作で歌詞が入っている曲になります。

下田:地元で毎月4日に『四日の市』という、飲食店だったり、フリマだったり、色々なお店が出ているイベントがあるんですけれど。そこでライブをさせてもらったことがあって、その時にロボ宙さんとご一緒させていただいたんです。そのご縁でこの曲を一緒に作らせてもらいました。

下田貢
下田貢

―『四日の市』の風景が見えてくる曲だと思いました。今後もラッパーやボーカリストを迎えて、曲を作ったりライブをやったりする可能性はありそうですか?

水谷:機会があればぜひやりたいですね。インストでなくてはいけないというこだわりはまったくないので。

―スティールパンの演奏も印象的でした。tioのアコースティックなサウンドにすごくハマりますよね。

水谷:はい。電気を使わない強さってありますよね。エレキギターは電気がなかったらどうにもならないけれど、スティールパンはそれ自体から音が出る。楽器さえ持っていけば、どこでも誰でも演奏ができるのがいいですよね。

―ロボ宙さんの参加だったり、スティールパンやギターのディストーションだったり、『1984』ではtioとしての新たな試みがたくさんありますね。

新美:そうですね。長く続けていると、だんだん自分たちでも「tioってこういう感じだよね」ってイメージができてきて、知らないうちにそれにとらわれていたりする。今回はそうした「自分たちらしさ」の殻を壊したかったんです。逆説的ですけれど、それでも自分たちらしさは失われないんじゃないかなと思って。

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リリース情報

tio 『1984』(CD)
tio
『1984』(CD)

2015年5月27日(水)発売
価格:2,400円(税込)
bud music, inc. / SPACE SHOWER MUSIC / DQC-1490

1. ROLL
2. umpire
3. ungraspable
4. W+D
5. meiro
6. RUN RUN RUN
7. 一週間
8. 冬の終わりに
9. 4日のマーケット feat.ロボ宙
10. cycle
11. 明日は晴れるから
12. Re:turn

イベント情報

『1984 Release Tour』

2015年5月29日(金)
会場:石川県 金沢 puddle/social

2015年5月30日(土)
会場:大阪府 タワーレコード難波店(インストアライブ)

2015年5月31日(日)
会場:京都府 Live House nano

2015年6月6日(土)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2015年6月14日(日)
会場:東京都 渋谷 LOOP annex

2015年6月26日(金)
会場:香川県 KITOKURAS

2015年6月27日(土)
会場:広島県 尾道 JOHN Burger & Cafe

2015年7月5日(日)
会場:長野県 伊那 GRAMHOUSE

『Free Shelter 2015』
2015年7月12日(日)
会場:岡山県 蔭凉寺

2015年7月14日(火)
会場:長崎県 CAFE HOOMEE

2015年7月18日(土)、7月19日(日)
会場:静岡県 ハートランド朝霧

2015年8月8日(土)
会場:群馬県 Club JAMMERS

2015年8月9日(日)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

プロフィール

tio(てぃお)

三重発4ピース・インストゥルメンタル・バンド。2008年、水谷真大(Gt,Pan)、新美耕介(AGt)、下田貢(Ba)、 伊藤祐介(Dr)にて結成。2013年夏よりNabowa、jizueなどが所属する京都のレーベル、bud musicに所属し、2014年1月にフルアルバム『toitoitoi』、11月にシングル『ROLL』をリリース。初の全国ツアーを行い、『Natural High!』『GO OUT CAMP』などの野外フェスにも出演。2015年5月27日(水)にはニューアルバム『1984』をリリースする。

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