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文脈の違いを超え、PHONO TONESが手に入れた未知の興奮

文脈の違いを超え、PHONO TONESが手に入れた未知の興奮

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望
2015/06/02

PHONO TONESはDr.DOWNERの猪股ヨウスケ(Ba)が、長年の友人だったASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知潔(Dr)に声をかけてスタートしたインストバンド。メンバーは他に、キーボードの飯塚純と、ペダルスティールの宮下広輔で、特殊な編成が個性となっている。これまでに2枚のフルアルバムを発表し、昨年は『フジロック』のレッドマーキーに出演。メンバーのホームグラウンドでもある湘南・鎌倉エリアの海岸線を走る国道134号線をタイトルに冠したサードアルバム『Along the 134』は、伊地知が「やっと狙ってた場所に降りられた」と語っているように、これまでも印象的だったキャッチーなメロディーの要素に、ジャムバンド的なダイナミズムが加わって、間違いなく過去最高傑作と呼べる仕上がりとなっている。

今回インタビューに応えてくれたのは伊地知と宮下。アジカンという巨大なバンドでの活動と並行して、まったく新しい環境に飛び込んだ伊地知。同じく、それまでのカフェやバーを中心とした活動から一転、ライブハウスの文化に初めて触れた宮下。PHONO TONESというバンドは、それぞれが違った文脈で活動してきたミュージシャンの集合体だからこそ、そこには未知の興奮が存在する。言葉はいらない。音を鳴らせばわかりあえる。PHONO TONESの鳴らすインストゥルメンタルは、まさにそんな「出会い」の素晴らしさを高らかに讃えているのだ。

PHONO TONESを始めたことでアジカンとはまったく違う世界を見られて、それはすごく新鮮でしたね。(伊地知)

―PHONO TONESはそもそも猪股さんが伊地知さんに「インストバンドをやろう」と声をかけたことが始まりだったそうですが、リリースに向けて積極的に動いたのは伊地知さんだったんですよね? 何が伊地知さんに火を点けたのでしょうか?

伊地知(Dr):もともとはみんなでセッションをして、個人的なスキルアップになればとか、楽しめればいいなって思ってたんです。でも実際みんなで1曲やってみたら、「これはリリースしたいな」という手応えがあったので、興奮してすぐ事務所に「リリースできませんか?」って相談したんです。そのときは僕だけ舞い上がってて、他のメンバーは「は?」みたいな感じだったんですけど(笑)。

伊地知潔
伊地知潔

―そうだったんですね(笑)。

伊地知:だから、最初はメンバーの足並みが揃うまでに時間がかかったというか、いきなりアジカンで使ってた大きなスタジオに入って、「さあ、録るぞ」ってやっちゃったので、それは今思うと良くなかったなって。普通にバンドを始めるときと同じように、最初は街にあるレコーディングスタジオを使えば良かったんですけど、ちょっと背伸びしちゃったんですよね。なので、セカンドアルバムのときは「一からバンドをやるんだ」と思い直して。

―すぐにリリースをすることになって、宮下さんはどう感じてたんですか?

宮下(Pedal Steel):びっくりしたというか、他人事みたいな感じでした。僕はちゃんとしたレコーディング自体、そんなにしたことがなかったし、自分がフロントマンを務めるバンドを他ではやってなかったので、最初は「こんなこともやらなくちゃいけないのか」みたいな部分もあったんです。

宮下広輔
宮下広輔

―宮下さんはPHONO TONES加入以前はライブハウスではなく、主にカフェやバーなどで活動されていたんですよね?

宮下:そっちのほうが多かったです。だから、「ライブハウス、音でかいな」って未だに思うこともあるし(笑)、他のメンバーとは違う文化で育ったという感覚があります。でもいろいろなフェスやイベントに出る中で、だんだんその面白さがわかってきて、積極的に活動したいと思うようになりました。

―ずっとアジカンで活動していた伊地知さんからすれば、PHONO TONESを始めて、宮下さんがいたような世界に初めて触れたわけですよね?

伊地知:そうですね。最初は宮下のつながりでライブをすることも多かったので、僕が今まで一緒にやったことがないジャンルとか、会ったことがないような人たちばっかりでした。しかも、その人たちはみんなプレイヤーとしてのスキルがすごく高くて、それはカルチャーショックだったし、そういう人たちといつも一緒にプレイしてる宮下が羨ましいなとも思いました。なので、僕もPHONO TONESを始めたことでまったく違う世界を見られて、それはすごく新鮮でしたね。

演奏が上手い人って「楽器が体の一部」とか言うけど、フォークの妖怪みたいな人たちは、会場自体が体の一部になっていると思うんです。(宮下)

―宮下さんがペダルスティールを始めたきっかけは、高田渡さんだったそうですね。

宮下:そうです。親がフォーク世代なので、中学生くらいからBSとかでやっていたフォークの番組を見ていて、その中で特に渡さんが印象に残ってたんです。その後、大学生のときに『タカダワタル的』という渡さんのドキュメンタリー映画を見て、そこで初めてペダルスティールという楽器を認識しました。もともとギターをやっていたんですけど、とにかく音がすごいいいなと思ったんです。

―渡さんの人間的な魅力にも惹かれていたのでしょうか?

宮下:渡さんに限らず、フォークの人たちは、音楽ももちろん素晴らしいですけど、人間性が面白いんですよね。演奏が上手い人って「楽器が体の一部」とか言うけど、フォークの妖怪みたいな人たちは、会場自体が体の一部になっていると思うんです。だからその人がフッと動くと、野次ってたお客さんも急にシーンとしたりするんですよね。ペダルスティールは基本的に下を向いて演奏する楽器ですけど、PHONO TONESではフロントなので、まずはフォークの人たちみたいにお客さんの目を見てライブをすることから始めようと思って、前を向いて演奏するようになりました。

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リリース情報

PHONO TONES 『Along the 134』(CD)
PHONO TONES
『Along the 134』(CD)

2015年6月3日(水)発売
価格:2,592円(税込)
KSCL-2583

1. better days ahead
2. nanny
3. routine134
4. at the break of dawn
5. surfer in the city
6. frankenstein
7. tobira
8. otsukai
9. blue 少林 monday
10. High & Lonesome
11. four

イベント情報

『「along the 134」Release Tour 2015 ~ better days ahead ~』

2015年7月30日(木)
会場:京都府 MOJO

2015年8月1日(土)
会場:福岡県 ROOMS

2015年8月2日(日)
会場:広島県 4.14

2015年8月4日(火)
会場:大阪府 心斎橋 Music Club JANUS

2015年8月6日(木)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET

2015年8月12日(水)
会場:東京都 渋谷 PLUG

2015年9月19日(土)
会場:鹿児島県 SR Hall

プロフィール

PHONO TONES(ふぉの とーんず)

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのDr.伊地知潔、Dr.DOWNERのVo.猪股ヨウスケ、宮下広輔、飯塚純によって結成された、ドラム、ベース、ペダルスティール、キーボードという4ピースインストバンド。2012年1月に1stアルバム『PHONO TONOES has come!』、2013年8月に2ndアルバム『LOOSE CRUISE』をリリース。2014年夏は『FUJI ROCK FESTIVAL』レッドマーキーステージに出演し、大いに会場を沸かせた。インストゥメンタルの枠にとどまらない歌心のあるキャッチーなメロディーと、ペダルスティールの美しい響き、そして時にグルーヴィーに、時にパワフルに打ちならされるリズム。インストゥメンタル界に新しい風を吹き起こす注目バンド。

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