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自分の暮らしが少し好きになる。ラッキーオールドサンの生活の歌

自分の暮らしが少し好きになる。ラッキーオールドサンの生活の歌

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:永峰拓也

今の僕は、自分が作った音楽に救われているんです。いつかの自分や、いつかのナナさんが、今の自分にすごい勇気をくれる。(篠原)

―ナナさんは銀杏BOYZやパンクのどんなところに惹かれるんですか?

ナナ:私はもともと男の子に憧れがあるんです。なんていうか、女の子にはない眩しいものが男の子にはあるから。銀杏BOYZにも、そういう男の子の圧倒的なものを感じるんですよね。でも、それって男の子にしかできないことで、自分には表現できないことなんです。

―自分にはできない表現だからこそ、ナナさんにはそれが眩しくうつったんですね。

ナナ:はい。そこが私の悩みでもあったんですけど、篠原さんは「自分らしく好きなようにやればいいよ」と言ってくれるので、今は自分らしくやれば、それでいいのかなって思ってます。

篠原:でも、そういうパンクなアティチュードは、二人に共通してるところだと思います。だから、僕らには「かわいい」とか「やさしい」みたいなイメージにすごく反発したくなるところがあって。ラッキーオールドサンの母体となったバンドでは思いっきりギターロックをやってたし、もともと「上手くやりたい」みたいな気持ちもあまりないから。

―技術面にはそこまでこだわってないということ?

篠原:必要以上に「自分たちをよく見せよう」みたいな考えがあまりないんですよね。

―そういう反骨的な態度がお二人のなかにはあると。その一方、ラッキーオールドサンの音楽はとてもポップで親しみやすいものになってるとも思うのですが。

篠原:うん、ちょっと矛盾してますよね(笑)。でも、僕がやりたいのはまさにそういうことなんです。つまり、ただポップスがやりたいんじゃなくて、オルタナティブな選択肢のひとつとして、ポップスをやりたい。あくまでもナナさんのボーカルを軸としながら、その時々にやりたいことをすべてやりたいんです。実際、今回の作品にはそこが上手く記録できたと思います。“ミッドナイト・バス”なんてまさにそう。こういう曲を今でも書けるかって言われたら、ちょっと自信がないし。

―この作品に収めたものは、学生だった自分にしか書けなかった曲だと。

篠原:はい。そのタイミングでしか作れないものって、やっぱりあると思うんです。だから、僕はそれをちゃんと記録していきたかったし、それを世の中に発表できるのは、ものすごく嬉しいことだと思ってます。特に今回のレコーディングは、「卒業するまでに完成させる」っていうタイムリミットこそあったけど、それでもだいたい3か月くらいの時間はかけられたので。やっぱりこれからはそうもいかなくなると思うんですよね。

―たしかに学生時代とは勝手が違ってくるのかもしれませんね。

篠原:飲み会ってあるじゃないですか。僕、あれがすごく苦手で。たとえばそこでカラオケなんかに行くと、僕はそういう場面でバカになれないから、もうどうしようもないわけですよ。「うわー!」って半泣きになりながら、“悲しくてやりきれない”(ザ・フォーク・クルセダーズ)とかを歌っちゃったり(笑)。

―うわー(笑)。それはだいぶ気まずい空気になりそうですね。

篠原:でも、僕にはそれしかできないから(笑)。そういう本来は馴染めないはずのところに、今の僕は身を置いている。まずは自分一人で自立しなきゃ好きなこともできないと思ってたし、そういう社会を自分の目でちゃんと見た方がいいとも思ってたんですけど、やっぱりそういう飲み会とかの違和感は今でもぬぐえなくて。

―現在の篠原さんは、卒業してからの生活に、日々追われている最中なんですね。

篠原:はい。でも、そんな日の朝に、たまたま“ミッドナイト・バス”を再生したときがあったんです。そうしたらなんか泣きそうになっちゃって。このアルバムを卒業までに完成させたことは、本当に大成功だったと思う。つまり、今の僕は、自分が作った音楽に救われているんです。いつかの自分や、いつかのナナさんが、今の自分にすごい勇気をくれる。ラッキーオールドサンが、今の自分の背中を押してくれるんです。今回の作品はそれくらいに純度が高いものになったと思う。そういう自負が今の僕にはあって。

左から:篠原良彰、ナナ

やっぱり実際にやってみなきゃ、なにもわからないと思います。(ナナ)

―ナナさんはどうでしょう。これから社会にでることへの不安や恐怖はありますか?

ナナ:うーん。やっぱり実際にやってみなきゃ、なにもわからないと思います。

篠原:僕も、社会に出ていいことがなにもなかったかというと、決してそうじゃないんです。たとえば、ぎゅうぎゅうの満員電車から出て、階段を降りていく人たちを見たとき、学生時代の自分は「ああいう生き方ってどうなんだろう」と思ってたけど、みんな生活や家族のために必死で頑張ってることがわかるようになった。それに、今の僕にもやりたいことはいくらでもある。むしろそれは増えてるくらいだから。

―社会に出たことによって、音楽をやりたいという気持ちはより強まった?

篠原:はい。だから、僕はその気持ちにただ従えばいいんだって。当然、日々の心労とかで自分にストップをかけてしまうときもあります。でも、そういうときに自分が作った曲を聴くと、なんていうか、そうやって足を止めている自分がバカバカしく思えてくるんです。もっと自由に、やりたいだけやればいいじゃないかって。そこで変に自分を変えようとする必要もないし、「まだまだこれからっしょ!」って。

―学生時代の最後に作ったこのアルバムが、いつでもそれを思い出させてくれるんですね。

篠原:そうなんです。音楽を作っているときの自分は、そのときのことしか考えてないんですけど、それはいまの自分もそうだから。僕は社会に出ることで自分が変わってしまうことが怖かったんですけど、結局僕はなにも変わってない。これからもやりたいことをやっていけばいいって、今は素直にそう思ってます。

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リリース情報

ラッキーオールドサン 『ラッキーオールドサン』(CD)
ラッキーオールドサン
『ラッキーオールドサン』(CD)

2015年7月15日(水)発売
価格:2,160円(税込)
kiti / ARTKT-007 / kiti-020

1. 魔法のことば
2. 坂の多い街と退屈
3. 二十一世紀
4. 何も決まってない
5. Have a nice day!
6. 街
7. いつも何度でも
8. ミッドナイト・バス
9. しん

イベント情報

『ラッキーオールドサン first full album RELEASE PARTY』

2015年9月27日(日)
会場:東京都 新代田 FEVER

プロフィール

ラッキーオールドサン

ナナ(Vo,Key)と 篠原良彰(Vo,Gt)による男女ポップデュオ。ふたりともが作詞作曲を手がける。あどけない女性ボーカルを前面に、確かなソングライティングセンスに裏打ちされたタイムレスでエヴァーグリーンなポップスを奏でる。2014年11月に渋谷O-Groupで開催された『Booked!』にデビュー前ながら出演。2014年12月に1stミニアルバム『I’m so sorry, mom』を発表。2015年7月15日に1stフルアルバム『ラッキーオールドサン』をリリース。2010年代にポップスの復権を担うべくあらわれた、今後さらなる注目が集まること必至な注目のニューカマー。

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