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近田春夫を本気にさせたTeddyLoid、ディープな音楽談義

近田春夫を本気にさせたTeddyLoid、ディープな音楽談義

TeddyLoid『SILENT PLANET』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:永峰拓也

前作『BLACK MOON RISING』から1年ぶりとなる、TeddyLoidの2ndアルバム『SILENT PLANET』が、とんでもないことになっている。中田ヤスタカ、小室哲哉、HISASHI(GLAY)ら、1980年代以降のJ-POPシーンを牽引してきたトップクリエーターから、tofubeatsや池田智子(Shiggy Jr.)といったテン年代を担う新世代、さらには日本のヒップホップを黎明期から支えたレジェンド、近田春夫まで参加した超豪華な内容なのだ。特に、近田春夫とtofubeatsをフィーチャリングした“VIBRASKOOL”は、本作の中でも最大のクライマックス。祖父と孫ほども歳の離れた二人のガチのラップバトルに、血湧き肉踊ること必至である。

そこで今回は、近田春夫とTeddyLoidの二人に“VIBRASKOOL”制作のエピソードを振り返りながら、トラックメイキングへのこだわりについて、大いに語り合ってもらった。これだけのミュージシャンを一堂に集め、20年以上ラップから遠ざかっていた近田をも本気にさせてしまうTeddyLoidの魅力とは? 今もカリスマ的な人気を誇る、近田春夫の貴重な名言の数々にも注目だ。

「近田春夫がtofubeatsにものすごい大人気ない態度を取る」という設定にしたら面白いんじゃないかって。ラップって、なんだかんだ言って「勝ち負け」みたいなところあるじゃん。(近田)

―近田春夫さんといえば、ミュージシャン、プロデューサー、ラッパー、評論家など様々な顔を持つ人ですが、TeddyLoidさんにとってはどんな存在なのですか?

TeddyLoid:実は僕、今回のコラボの話があるまで、近田さんがラップをされていたことを存じ上げてなくて……。

近田春夫:そうなの?(笑)

TeddyLoid:僕の両親はロカビリーファッションの仕事をしているんですけど、その両親から「近田春夫さんは、日本にロカビリーを紹介した人だ」ってずっと聴かされていたんです。近田さんの書いたロバート・ゴードン(1970年代から80年代にかけてロカビリースタイルで活躍したアメリカのロックミュージシャン)のライナー解説とか熟読していましたし。そんなロカビリーの伝道師である近田さんが、日本のラップミュージックのオリジネーターだったなんて、とても想像できなかった。YOU THE ROCKさんの“Hoo! Ei! Ho!”も、President BPM(近田春夫の別名義)のカバーだったんですよね! それで色々調べていくうちにビブラストーン(1987年に近田春夫が中心メンバーとなって結成したヒップホップグループ)にたどり着いて、「なんてタイトなラップなんだ!」ってビックリしたんです。これはもう、超オールドスクールな近田さんと、超ニュースクールなtofubeatsくんに、ラップバトルをしてもらうしかないと。

近田:今回はほんと、不思議な縁で。実はこのオファーをもらう1つ前の仕事が、COOLS(日本のロカビリーバンドの草分け的存在)の、40周年記念シングルの歌詞を書くことだったんですよ。おそらく、世代的には知る由もない僕の当時の活動を、ご両親の影響で知っていたというのが面白いなと思って。

左から:近田春夫、TeddyLoid
左から:近田春夫、TeddyLoid

TeddyLoid:もちろんCOOLSも知っていましたし、家では毎日のように流れていました。今回のコラボの話、両親にしたら大騒ぎですよ、「あんた、近田春夫さんと一緒にやるの!?」って。

―(笑)。そのコラボ曲“VIBRASKOOL”ですが、作業はどんな風に進んでいったのですか?

近田:最初にデモトラックをもらったんだけど、BPMが160なのよ。160ってさ、8分音符でやると間延びするし、かといって16分音符でやるとせわしなくなる。すごく難しいところだよね?

TeddyLoid:そうなんです。「トラップ」っていうジャンルで、それこそ最先端の高速ラップミュージックなんですけど、その上で近田さんにラップしてもらいたかったんです。

近田:まずはリリックの内容よりも、どういう譜割にしようか悩みましたね。それでしばらくトラックを聴き込んでいるうちに、ふとクリスタル・ウォーターズ(アメリカのシンガーソングライター、1991年に“Gypsy Woman(She's Homeless)”が世界的にヒット)の“PARTY IN THE GHETTO”が頭に思い浮かんだんです。パトワ語のイントネーションを利用した、音程感のあるラップというか。そこから「メロディーっぽい要素があるといいな」とひらめいて、見えてきましたね。

―リリックも面白いですよね。「VIBRASKOOL」に入学したテディさんとトーフさんが、近田校長とバトル~下克上を繰り広げるっていう。

近田:来年から俺「高齢者」だからさ、年齢的に(笑)。自分ではそのつもりなくても、ついつい若い子たちとの会話が説教っぽくなってしまいがちじゃん? そんな内容だけはカッコ悪いから避けたくて、「近田春夫がtofubeatsに、ものすごい大人気ない態度を取る」っていう設定にしたら面白いんじゃないか、そんな俺をトーフくんが諌めてる図にしたらウケるんじゃないかって思った(笑)。ラップって、なんだかんだ言って「勝ち負け」みたいなところあるじゃん。

近田春夫

TeddyLoid:こちらとしては、「大先輩に二人が説教される」っていう設定にしたら面白いかなと思っていたんですが、気づいたら逆に説教していたという……(笑)。まさに下克上ですね。でもほんと、近田さんが乗せてくれたラップは、最新鋭でありつつ、オリジネーターとしての持ち味もありつつ。さっきご自身でもおっしゃっていましたが、近田さんのラップからはメロディーを感じるんです。しかもキーがバッチリ。普段、ラップチューンを聴いていて「ダサいな」って思うのって、キーが合ってない場合が多いんですよね(笑)。

近田:それってきっと、俺がラッパーの前はミュージシャンだったからなのかも。逆に言えば、どんな表現スタイルを取り入れても、ミュージシャンとしての自分が出ちゃうんだよね。「ヒップホップを大所帯の生バンドでやる」っていう、ビブラストーンの発想だってミュージシャン的だし。

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リリース情報

TeddyLoid『SILENT PLANET』初回限定盤
TeddyLoid
『SILENT PLANET』初回限定盤(2CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:3,564円(税込)
KICS-93324

[DISC1]
1. Game Changers with 中田ヤスタカ(CAPSULE)
2. Searching For You feat. 柴咲コウ
3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi(m-flo)
4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr.
5. Last Teddy Boy feat. HISASHI from GLAY
6. Break’em all feat. KOHH
7. We Are All Aliens with WRECKING CREW ORCHESTRA
8. Lion Rebels feat. JUN 4 SHOT from FIRE BALL & N∀OKI, NOBUYA & KAZUOMI from ROTTENGRAFFTY
9. VIBRASKOOL feat. 近田春夫(Professor Drugstore a.k.a. President BPM) & tofubeats
10. Above The Cloud with 小室哲哉
11. はじらい Like A Girl feat. 志磨遼平 from the dresscodes
12. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ
[DISC2]
1. Game Changers with 中田ヤスタカ(CAPSULE)(Extended Mix)
2. Above The Cloud with 小室哲哉(Extended Mix)
3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi(m-flo)(Extended Mix)
4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr.(Dub Mix)
5. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ(Ambient Mix)
6. Searching For You feat. 柴咲コウ(Ambient Mix)

TeddyLoid『SILENT PLANET』通常盤
TeddyLoid
『SILENT PLANET』通常盤(CD)

2015年12月2日(水)発売
価格:3,024円(税込)
KICS-3324

1. Game Changers with 中田ヤスタカ(CAPSULE)
2. Searching For You feat. 柴咲コウ
3. All You Ever Need feat. ☆Taku Takahashi (m-flo)
4. Secret feat. 池田智子 from Shiggy Jr.
5. Last Teddy Boy feat. HISASHI from GLAY
6. Break’em all feat. KOHH
7. We Are All Aliens with WRECKING CREW ORCHESTRA
8. Lion Rebels feat. JUN 4 SHOT from FIRE BALL & N∀OKI, NOBUYA & KAZUOMI from ROTTENGRAFFTY
9. VIBRASKOOL feat. 近田春夫 (Professor Drugstore a.k.a. President BPM) & tofubeats
10. Above The Cloud with 小室哲哉
11. はじらい Like A Girl feat. 志磨遼平 from the dresscodes
12. Grenade feat. 佐々木彩夏 from ももいろクローバーZ

プロフィール

近田春夫(ちかだ はるお)

1951年生まれ。大学在学中よりバンド活動を始める。ロックンロール、歌謡曲、CM音楽、ヒップホップ、サイトランスなどなど、そのつど好奇心のおもむくまま、作詞、作曲、編曲、ライブ活動を不定期に続け今日に至る。賞罰ナシ。著作に『気分は歌謡曲』『考えるヒット』『定本 気分は歌謡曲』『僕の読書感想文』ほか。

TeddyLoid(てでぃろいど)

弱冠18才にして、雅-MIYAVI-のDJ~サウンドプロデューサーとして13か国を巡るワールドツアーに同行後、☆Taku Takahashi(m-flo / block.fm)と共にガイナックスのアニメ作品『Panty & Stocking with Garterbelt』のOSTをプロデュース、柴咲コウ、DECO*27とスペシャルユニット、galaxias!の結成、『COUNTDOWN JAPAN 12/13』での限定コラボレーション、"初音ミク×TeddyLoid"、ももいろクローバーZの『Neo STARGATE』のサウンドプロデュース~2013年の西武ドーム大会へのゲスト出演を果たす等、クラブミュージックのみならず、J-POP~ロック、サブカルチャーのシーンを自在に行き来し、話題を提供。2015年9月にはももいろクローバーZ初の公式Remixアルバム『Re:MOMOIRO CLOVER Z』をリリースし、遂に12月、オリジナルアルバム『SILENT PLANET』をリリース。

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