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クラブシーンの現状に風穴を HIROSHI WATANABE×佐藤大

クラブシーンの現状に風穴を HIROSHI WATANABE×佐藤大

HIROSHI WATANABE『MULTIVERSE』
インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:豊島望

テクノ発祥の地デトロイトで、今もレジェンドとしてシーンを牽引するデリック・メイ。彼が主宰する「Transmat」は、デリック・メイが本物と認めたアーティストのみを不定期にリリースする伝説的レーベルだ。そしてその「Transmat」から、初めてリリースする日本人アーティストが、この記事の主役、HIROSHI WATANABEだ。

1990年代よりいち早く海外で活動をスタートし、ヨーロッパ最大級のエレクトロニックレーベル「Kompakt」からもKaito名義で数々の作品を発表してきたHIROSHI WATANABEだが、実は日本のアニメファンやゲームファンからの支持も熱い。その理由の一つに、彼の音楽をインディーズテクノレーベル「フロッグマンレコード」主宰としてリリースし、現在はアニメ作品の脚本家として『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『交響詩篇エウレカセブン』など多数の名作を手がけている佐藤大の存在がある。二人のコラボレーション作品や、テクノ / クラブミュージックの変遷など、朋友だからこそのサブカルチャー談義をしてもらった。

『エウレカセブン』のように海外でも流れるアニメでは、リアルタイムの日本人アーティストを起用したかったんです。(佐藤)

―お二人のコラボレーションで有名なものといえば、佐藤さんがシリーズ構成を担当して脚本を書き、WATANABEさんが印象的な劇中曲“GET IT BY YOUR HANDS”を提供されたアニメ『交響詩篇 エウレカセブン』だと思います。

佐藤:ああ。もう10年前ですね。『エウレカセブン』の放送終了が2006年なので、今年がちょうど10周年で。

―今振り返ると『エウレカセブン』というアニメは、登場するロボットや機体の名前にLFO、KLF、808や606とついていたり、ハシエンダ、サマー・オブ・ラヴなどのワードが物語の中核に深くかかわる。全50話それぞれのサブタイトルがテクノ系アーティストの楽曲名だったりと、SFロボットアニメとしては世界観も画期的で、サブカルチャー、とくにテクノ / ハウスシーンと密接な関係性を内包する作品でした。

佐藤:日曜の朝7時からの放映だったにもかかわらずね(笑)。

WATANABE:そう、DJやライブで東京、地方を回ると『エウレカセブン』ファンが今も声をかけてくれて、僕の曲についても、すごい熱く語ってくれる。そういうアニメでしたよね。

佐藤大
佐藤大

佐藤:うん。HIROSHIくんの“GET IT BY YOUR HANDS”は、『エウレカセブン』の世界のなかで流行っているアンセムという設定だったから、なおさら象徴的な曲だったし。

―WATANABEさんのほかにも、KAGAMI、スーパーカー、電気グルーヴなど時代を象徴するテクノ / ハウストラックが随所に登場し、アニメにクラブカルチャー、サブカルチャーを詰め込んだところも先進的でした。

佐藤:僕らは、日曜の朝7時にテクノをかけるアニメをやりたかったんですよね。監督もテクノ好きだし、当時は『新世紀エヴァンゲリオン』のフォロワー的なアニメが流行っていたので、そこで自分たちができることは何だろう? と考えたら、サブカルチャーとか、僕らの好きなものをぶち込むことだなと。

―そういう意図があったんですね。

佐藤:あのとき僕は35歳で、音楽担当の佐藤直紀さん、メインアニメーターの吉田(健一)さん、監督の京田(知己)さんも全員同い年。クリエイターとして中堅に差し掛かる時期だし、『エウレカセブン』は絶対に自分たちのキャリアのキーになる作品だろうから、という勢いがあった。しかも僕は、フロッグマンレコードという海外のテクノ / ハウスを日本に紹介し、日本のムーブメントを海外に紹介するレーベルをやっていたので、『エウレカセブン』のように海外でも流れるアニメでは、リアルタイムの日本人アーティストを起用したかったんです。

HIROSHI WATANABE
HIROSHI WATANABE

―その意味では、WATANABEさんも音楽ゲーム『beatmania』への楽曲提供を通じて、クラブカルチャーに馴染みのないゲームファンに、クラブミュージックを普及させましたね。

WATANABE:そうですね。『beatmania』の楽曲は、その当時リアルなクラブミュージックにはあまり触れていないであろうゲーマーに向け、わずか1分40秒しかない尺に、ゲームを通じて知らず内に心に沁み込ませたい! という意識を凝縮しました。そして、世界規模で『beatmania』は爆発的にヒットして、あの当時、小学生~高校生だった人たちが、本当にダンスミュージック、クラブミュージックに傾倒し、DJとして活躍していったり、どんどんこっちに入ってきてくれた。そういう子たちが、僕に話しかけてきて「今の僕があるのは『beatmania』がキッカケです」と言ってくれる。それは『エウレカセブン』と一緒ですね。

佐藤:当時は情報量も少なかったから、サブカルチャーと呼ばれるシーン自体も狭くて、少し共有できるものがあると、ジャンルを超えてブワッと繋がる感覚がありましたね。

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リリース情報

HIROSHI WATANABE『MULTIVERSE』
HIROSHI WATANABE
『MULTIVERSE』(2CD)

2016年4月20日(水)発売
価格:2,700円(税込)
UMA-1078/9

[CD1]
1. Aperture Synthesis
2. Inner Planets
3. Soul Transitions
4. The Leonids
5. Story Teller
6. Heliosphere
7. The Multiverse
8. Time Flies Like an Arrow
9. Field of Heaven
[CD2]
1. MULTIVERSE MIX - Mixed by HIROSHI WATANABE

イベント情報

HIROSHI WATANABE
『TRANSMAT “MULTIVERSE” RELEASE TOUR in Japan』

2016年2月20日(土)
会場:東京都 恵比寿 ENJOY↑HOUSE

2016年2月21日(日)
会場:東京都 青山 OATH

2016年2月27日(土)
会場:東京都 渋谷 SOUND MUSEUM VISION

2016年2月28日(日)
会場:東京都 渋谷 CIRCUS Tokyo

2016年3月5日(土)
会場:栃木県 宇都宮 SOUND A BASE NEST

2016年3月6日(日)
会場:兵庫県 神戸 nagomibar

2016年3月7日(月)
会場:大阪府 大阪 dfloor

2016年3月19日(土)
会場:東京都 吉祥寺 Warp

2016年4月1日(金)
会場:北海道 札幌 DUCE

2016年4月2日(土)
会場:北海道 旭川 BASSMENT

2016年4月3日(日)
会場:東京都 三軒茶屋 orbit

2016年4月9日(土)
会場:静岡県 静岡 dazzbar

2016年4月15日(金)
会場:愛知県 名古屋 CLUB JB'S

2016年4月16日(土)
会場:千葉県 柏 ROOF

2016年4月20日(水)
会場:東京都 Dommune

2016年4月21日(木)
会場:中国 上海 Shelter

2016年4月22日(金)
会場:福岡県 福岡 Kieth Flack

2016年4月23日(土)
会場:沖縄県 那覇 熱血社交場

2016年4月24日(日)
会場:沖縄県 コザ Bar Bpm

2016年4月28日(木)
会場:東京都 代官山 SALOON

2016年5月14日(土)
会場:長野県 松本 MOLE HALL

2016年5月21日(土)
会場:神奈川県 江ノ島 シーキャンドル

2016年5月28日(土)
会場:青森県 青森 Bar AKAHIGE

2016年5月29日(日)
会場:島根県 松江 白潟公園

2016年6月5日(日)
会場:東京都 代官山 UNIT

2016年6月11日(土)
会場:兵庫県 神戸 troopcafe

2016年6月18日(土)
会場:茨城県 筑波 OctBaSS and DISCOS

2016年6月24日(金)
会場:三重県 四日市 Advantage

2016年6月25日(土)
会場:香川県 高松 RIZIN'

2016年7月16日(土)
会場:神奈川県 横須賀 DJ BAR SHELL

プロフィール

HIROSHI WATANABE
HIROSHI WATANABE(ひろし わたなべ)

1971年東京生まれ。アーティスト活動のほか、CM音楽、TVドラマ、映画、ファッションショー、舞台音楽などの音楽を手がける。東京音楽大学付属高校コントラバス科卒業後90年に渡米、ボストンのバークリー音楽学院にてMUSIC SYNTHESIS(シンセサイザー)を専攻。ニューヨークのダンスミュージックレーベルより作品を多数リリースし、99年から本格的に日本に拠点を戻して以降はGACKT、松田聖子、パフィー、篠原ともえ、浜崎あゆみなどのリミックスを手掛ける。KAITO名義にてトータル8枚のアルバムを発表し、『SONAR』をはじめ多くのフェスに参戦。活動の場をヨーロッパへと広げる。2004年以降は本名名義で活動もスタートしたほか、大ヒットアニメ『交響詩篇エウレカセブン』へは挿入曲として『GET IT BY YOUR HANDS』を提供。2016年4月、デリック・メイが主宰する名門レーベル<Transmat>から新作アルバム『MULTIVERSE』をリリース。

佐藤大(さとう だい)

19歳の頃、主に放送構成・作詞の分野でキャリアをスタートさせる。1993年、KEN=GO→とともにテクノレーベル「フロッグマンレコーズ」を設立。クラブミュージックだけにとらわれず、アニメやゲームなどサブカルチャー全般の架け橋的な活動を行う。2007年「ストーリーライダーズ株式会社」を代表取締役として設立。アニメーションの脚本執筆を中心に、さまざまなメディアでの企画、脚本などを手がけている。脚本代表作に、アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『交響詩篇エウレカセブン』『東のエデン』『LUPIN the Third -峰不二子という女-』『怪盗ジョーカー』ドラマ『ノーコンキッド』映画『鉄拳 ブラッドベンジェンス』、3DS,PS3,PS4ゲーム『バイオハザード: リベレーションズ』PS3,PS4ゲーム『バイオハザード:リベレーションズ2』など。

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