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ヨセミテにグランドキャニオン。アメリカの国立公園絶景めぐり

ヨセミテにグランドキャニオン。アメリカの国立公園絶景めぐり

『アメリカ・ワイルド』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:菱沼勇夫 編集:野村由芽

凍った滝にピッケルを刺して登っていくシーンがありますが、あれは自然の怖さも知っているからこそできるんだと思うんです。

―ところで小澤さんは、幼少期をアメリカで過ごされていたんですよね?

小澤:サンフランシスコで生まれて、すぐにボストンに引っ越しました。自宅があったのは、ボストンの中心部から高速道路を15分くらい走った郊外なんですけど、それぐらい走るともうまわりが全部森みたいなところなんですよ。森や自然がたくさんあって、その中に家が建っているみたいな。リスが普通に窓の外を歩いていたり。

―そこで、お姉さんと一緒に家を作って遊んでいたとか?

小澤:あ、それはボストンからさらに2時間ぐらい山のほうに行った、タングルウッドでの話ですね。森に囲まれた静かな場所なんですけど、そこでうちの親父(指揮者の小澤征爾)が仕事で使うログハウスみたいなものがあって、東京に帰ってきたあとも、夏休みを利用して毎年行っていたんです。そのログハウスの近くに、うちの姉とシークレットハウスっていう、秘密基地みたいなものを勝手に作って遊んでいたという(笑)。子どもの遊び程度のものでしたけど、あの環境にいたからこそ得られたさまざまな経験を思い返すと、すごく良かったなと思います。

―学生時代には、アメリカ横断もされたとか?

小澤:1年間、日本の大学を休学して、ボストン大学に留学していたんです。最初は英語の勉強で行ったんですけど、そのうち「映画が好きだな」って思って……。

小澤征悦

―あ、それでお芝居の勉強を?

小澤:いや、最初は芝居じゃなかったんですよね。もともとは映画制作のほうに興味があって、カット割りとか監督の勉強をアメリカでやっているときに、芝居の勉強をすれば役に立つところがあるかな? という軽い気持ちで始めたら、ハマってしまったという(笑)。そう、期末テストで自分がやった芝居を先生が見てくれて、「ワンダフル」って言ってくれたのがすごく嬉しくて……それで役者を本格的に目指そうかなと思ったんですよ。

―小澤さんを役者の道に決定づけたのもアメリカでの経験が大きかったのですね。アメリカ横断は、その頃に?

小澤:そうです。留学中にどうしてもアメリカ横断がしたくて。自分のキャパシティーを越えたものに挑戦したかったんですよね。まあ、もちろんそこには遊び心があるわけですけど。

―若者ならではの冒険心というか。

小澤:そもそもアメリカ横断した理由は、くだらないことなんですよ。ある夜、男友達とお酒を飲んでいたときに、大西洋の水を太平洋に注いだら、何か世界のバランスが変わるんじゃないかっていう話になり、じゃあやってみようかって(笑)。それで、ミネラルウォーターのボトルにボストンの海の水を入れて、それを持ってアメリカ大陸を東から西まで横断して、サンフランシスコの海に、その水を本当に注いだんです。

小澤征悦

―何か映画のような話ですね(笑)。

小澤:(笑)。ただ、そういうのって、理由がくだらなければくだらないほど、面白かったりする。だから変な話、動機は何だっていいと思うんです。それが何かの原動力になるのであれば。

―その道中でアメリカの大きさを体感したのですか?

小澤:それはもう、ものすごく体感しましたね。だって、2回も時間が変わるんですよ? アメリカは標準時刻が場所によって変わるので、東から西に車で走っていると、途中で時間が1時間ずつ戻るんです。日本の感覚で言ったら、もうわけがわからないですよね(笑)。あと中西部のあたりなんて、もうほとんど砂漠というか、時速100キロでまっすぐな道を3時間走り続けても、まったく景色が変わらなかったりするんです。たまに看板が出ていると思ったら、次のガソリンスタンドまで450キロとか(笑)。感覚が麻痺して、本当に前に進んでいるのかわからなくなりました……。でも、それが本当のアメリカなんですよ。

グランドキャニオン The Colorado River carves out the Grand Canyon in Arizona.Courtesy of MacGillivray Freeman Films.Photographer:Barbara MacGillivray©VisitTheUSA.com
グランドキャニオン The Colorado River carves out the Grand Canyon in Arizona.Courtesy of MacGillivray Freeman Films.Photographer:Barbara MacGillivray©VisitTheUSA.com

―この映画に出てくるような雄大な自然の風景が広がっている場所が、その国土の大半であって……。

小澤:そうなんですよね。映画の話に戻るなら、凍った滝にピッケルを刺して登っていくシーンがあったじゃないですか? あんなのこの映画で初めて見ましたけど(笑)、それぐらいのことを平気でやってしまうのがアメリカ。ただ、それはおそらく、自然の怖さも知っているからこそ、できるんだと思うんです。何も知らない人がやったら、非常に危険な目にあう可能性が高い。だけど、そのリスクも含めて、自分が生まれたときから近くにあるものだから、そうやって自然の中に分け入っていけるのかなと。先ほど言ったように、彼らは自然に対して尊敬と畏怖の念があるんですよ。

レイクショア・パーク Conrad Anker climbs frozen waterfalls in Pictured Rocks National Lakeshore in Michigan.Courtesy of MacGillivray Freeman Films.Photographer:Barbara MacGillivray©VisitTheUSA.com
レイクショア・パーク Conrad Anker climbs frozen waterfalls in Pictured Rocks National Lakeshore in Michigan.Courtesy of MacGillivray Freeman Films.Photographer:Barbara MacGillivray©VisitTheUSA.com

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作品情報

『アメリカ・ワイルド』

2016年5月21日(土)から109シネマズ二子玉川、109シネマズ大阪エキスポシティ、ユナイテッド・シネマとしまえん、ユナイテッド・シネマ浦和ほかIMAX®3D版にて公開
監督:グレッグ・マクギリヴレイ
脚本:スティーブン・ジャドソン、ティム・カヒル
音楽:スティーヴ・ウッド
出演:
コンラッド・アンカー
マックス・ロウ
レイチェル・ポール
ジョー・ウィーガント
案内人:小澤征悦
配給:さらい

プロフィール

小澤征悦(おざわ ゆきよし)

1974年6月6日 カリフォルニア州出身。1998年、NHK大河ドラマ『徳川慶喜』でデビュー。翌年、崔洋一監督作品『豚の報い』で映画初主演を果たし、その後、映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍し、個性派俳優として高く評価されている。2016年はハリウッド映画『The Forest』の全米公開に続き、瀬々敬久監督の『64−ロクヨン−』、是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』の公開が控えている。

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