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中納良恵×原田郁子 音楽バカの若者が歌で大人になるまでの20年

中納良恵×原田郁子 音楽バカの若者が歌で大人になるまでの20年

EGO-WRAPPIN'『ROUTE 20 HIT THE ROAD』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:森山将人 編集:野村由芽

今年結成20周年を迎えたEGO-WRAPPIN'(中納良恵 / 森雅樹)を祝うべく、同じく1996年に結成し、先頃20周年を迎えたばかりの3ピースバンド、クラムボンを招いて実施する対談企画の第二弾。大阪と東京、クラブジャズとポップミュージック――まったく異なるコンテクストの中で生まれながら、結成当初からブレのない一貫した音楽を追求していること、記名性の高い女性ボーカルを擁していることなど、実は共通点も多い。

その音楽性において鍵を握るEGO-WRAPPIN'の森雅樹(Gt)とクラムボンのミト(Ba)の対談に続き、それぞれのバンドのフロントマンとして、さらにはバンドが生み出す世界観の中心に位置するボーカルとして、艶やかな歌声を響かせてきたEGO-WRAPPIN'の中納良恵(Vo)とクラムボンの原田郁子(Vo,Key)の対談をお届けする。同じ時代を並走してきた二人は、お互いに対してどんなイメージを持っているのか? そして、バンドメンバーとの独特な関係性から、さらには歌い続けることの意味まで、彼女たちならではのトークを披露してくれた。

エゴにはエゴの、クラムボンにはクラムボンの持ち場がある。でもずっと並走しているような感覚はあるんですよね。(原田)

―同じ時期に結成したほとんど同世代のバンドであるものの、実際のところ、二人のお付き合いはどんな感じなのでしょう?

中納:イベントやフェスとかで一緒になることがたまにあって。去年は結構多かったよね?

原田:うん、多かったね。

左から中納良恵、原田郁子。緊張してお酒を買ってきてもらった二人。「乾杯!」のあと対談がおこなわれた
左から中納良恵、原田郁子。緊張してお酒を買ってきてもらった二人。「乾杯!」のあと対談がおこなわれた

中納:でまあ、お互い20周年ということで、活動期間も同じくらいやし、年齢もほとんど同じやし……。郁子ちゃんが、私の一個下か。

原田:うん。あ、20周年おめでとうございます。今日は、ミト氏は森くんに、私はよっちゃん(中納良恵)に、呼び出しをくらって、「何言われるんだろう」ってビクビクしながら来ました(笑)。嘘……すごく光栄です。ありがとうございます(笑)。エゴの二人に会えると、嬉しいんですよね。イベントで出番が近いときとか、ステージの袖や裏からライブを見せてもらったりするんですけど、声もパフォーマンスも圧倒的で。それにいつも痺れています。

―嬉しいっていうのはなぜでしょう?

原田:一緒に何かをやるとか、すごく近いわけじゃなくて、エゴにはエゴの、クラムボンにはクラムボンの持ち場があって。「そっちはそっちで、こっちはこっちで、がんばろう」っていうような。新曲を聴くと「おぉ、攻めてるなー」って思ったり。照明さんやライブスタッフが同じだったりするので、「エゴは今、ツアー中なんだ」とか、動きは感じつつ。でも、たまに会えると、ものすごく濃いところでしゃべったりもします(笑)。

中納:うん。イベントで一緒になったときは、裏で一緒にお酒を飲んだりとかして。

―どんなことを話すんですか?

原田:やっぱり、お互いに歌っている身だから、どうしても身体の話とかが多いですね。「最近、体調どう?」とか「今日、めちゃめちゃ声出てたよ」とか。よっちゃんが薦めてくれたハーブのオイルを買って試してみたり。そういうやりとりができることがすごく嬉しいんですよね。今のライブを見せてもらって、少し話して、で、またそれぞれの持ち場に戻るっていう。だから、ずっとエゴとは並走しているような感覚はあるんですよね。

クラムボンは、郁子ちゃんの柔らかい感じに全体が包まれているような気がして、それが私にはすっごく強く見えるんですよね。(中納)

―中納さんは、クラムボンのことを、どんなふうに見ているのですか?

中納:私らは最初からメンバー以外のバンドを入れてやっているんですけど、クラムボンは三人だけでずっとやっているじゃないですか。その中でも、郁子ちゃんの柔らかい感じが印象的というか、その感じに全体が包まれているような気がして、それが私にはすっごく強く見えるんですよね。

原田:……これ、照れるね(笑)。すごく嬉しいです。

中納:その強さみたいなのは、ずっといいなって思っていて。パッと見、儚そうやけど、実はものすごく強いというか。そういうイメージがありますね。

左から:中納良恵、原田郁子

―どちらのバンドも、デビュー以来一貫したイメージを持っているような気がしますけど、それについてはいかがですか?

中納:私たちの場合は、昔から何も考えずにやってきたところがあるというか、それこそ10年後、20年後のことなんて、考えたことがなかったですね。こういうスタイルでいこうっていう話を、森くんとしたこともないので。マナーもなければルールもない(笑)。逆にそれが独特な感じを出しているのかもしれないですけど。

原田:やっぱり、よっちゃんの隣には森くんがいて、私の横にはミトくんがいて、大ちゃん(伊藤大助)がいて……そうじゃなかったら、きっとこうはなっていないと思うんですよね。

中納:なってないな。

原田:だから、ソロのボーカリストとは、ちょっと違うんですよね。そう、エゴのライブを見ていつも思うのは、よっちゃんが行き切るときがあるじゃないですか? もう、会場全体が、よっちゃんの声になってしまっているような、K点を超えていく瞬間を何度か目撃したことがあるんですけど。「あぁ、これはきっと森くんがいるからこそ、だよなぁ」って。「どこまでも行けーーー」っていう安心感。ぼーーーんって行き切っても、帰ってこれるっていう。たった一人では、なかなか到達できないよね。

中納:うん、一人では無理やな(笑)。

―クラムボンの場合は?

原田:私たちの場合は、ミトくんっていう膨大な音楽の幅を持った人がいて、その中で各々うごめいているものがあるんだけど、もうちょっと、わかりづらいですよね、きっと。誰がフロントっていうわけでもないというか、ドラムが一番語っている曲もあるし、ベースがメロディーみたいに歌ってる曲もあるし、三人いないと成立しないってことを徹底してやってるわけなんだけど。エゴはもっと、広い感じがするんですよね。「気持ち良い」とか「かっこいい」ってことに直結してる気がする。バンドメンバーは、ずっと一緒?

中納:うん、もう結構長い。

原田:そうやって一つのビッグバンドがいて、バンドごとよっちゃんの背中を押すんだよね。その絆も見える。で、そこにはやっぱり森くんっていう存在のデカさがあるんだろうなぁと。

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リリース情報

EGO-WRAPPIN'『ROUTE 20 HIT THE ROAD』通常盤
EGO-WRAPPIN'
オールタイムベスト&カバーアルバム
『ROUTE 20 HIT THE ROAD』通常盤(3CD)

2016年4月20日(水)発売
価格:3,996円(税込)
TOY'S FACTORY / TFCC-86547

[太陽盤]
1. love scene
2. くちばしにチェリー
3. GO ACTION
4. a love song
5. 天国と白いピエロ
6. 満ち汐のロマンス
7. Dear mama
8. human beat
9. 10万年後の君へ
10. サイコアナルシス
11. BRAND NEW DAY
12. サニーサイドメロディー
※デジタルリマスタリング
[月盤]
1. 水中の光
2. かつて..。
3. 色彩のブルース
4. Neon Sign Stomp
5. Nervous Breakdown
6. アマイ カゲ
7. 下弦の月
8. admire
9. Fall
10. 雨のdubism
11. BYRD
12. inner bell
※デジタルリマスタリング
[星盤]
1. 異邦人
2. Move on up
3. Inbetweenies
4. 曇り空
5. Fever
6. 謎の女B
7. What's Wrong With Groovin'
8. ZIGGY STARDUST
9. By This River
10. さよなら人類

イベント情報

クラムボン
『clammbon 2016 mini album 会場限定販売ツアー』

2016年5月12日(木)OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
料金:2,500円(ドリンク別)

2016年5月16日(月)OPEN 18:15 / START 19:00
会場:大阪府 心斎橋 BIG CAT

2016年5月17日(火)OPEN 18:00/ START 19:00
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
料金:2,500円(1ドリンク別)

プロフィール

中納良恵(なかの よしえ)

1974年、大阪生まれ。EGO-WRAPPIN’ボーカリスト。1996年、森雅樹(G、作曲)とともにEGO-WRAPPIN’結成。関西を中心に活動を続けたのち、現在は拠点を東京においている。2000年に発表された“色彩のブルース”は、戦前のジャズから自然に行き着いたキャバレー音楽や昭和歌謡を消化し、エゴ独自の世界観を築きあげた名曲として異例のロングヒットとなり、その名を全国区で知られるようになる。EGO-WRAPPIN’の活動と並行して2007年にはソロ1st Albumとなる『ソレイユ』を2015年には2ndアルバム『窓景』をリリースした。またYuji Ohno & Lupintic Fiveに招かれ『ルパン三世のテーマ』の歌唱や、東京スカパラダイスオーケストラ、セルジオ・メンデスなど国内外様々なアーティストの作品にボーカリストとして参加している。

原田郁子(はらだ いくこ)

1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っている。昨年で結成20周年を迎えたクラムボンは、メジャーレーベルを離れ、自身のレーベル「トロピカル」よりミニアルバム『モメントe.p.』を発表。可能な会場すべてでサイン会を行う、初の「手売りツアー」を開催した。現在、オフィシャルサイトにてCD販売店を募集中。ジャンルを問わず100店舗以上が取り扱っており、独自の広がりを見せている。5月に東京・大阪・名古屋で追加公演を行う。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)