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ぼくのりりっくのぼうよみに質問攻め。でも何度もはぐらかされる

ぼくのりりっくのぼうよみに質問攻め。でも何度もはぐらかされる

ぼくのりりっくのぼうよみ『ディストピア』
インタビュー・テキスト
武田砂鉄
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

色々な人が持ってる咎というか、原罪の象徴みたいな感覚を書いてみました。

―今回、CDに付加価値をつけるとの意味も込め、小説『Water boarding』を書かれたわけですが、小説を書いたのは初めてですか?

ぼくりり:はい。これまでも書こうと思ったことはあって、1ページくらい書いて飽きてやめる、みたいなことが2、3度ありました。

―歌詞を書くのと、小説を書くのとでは、頭の使い方が違うものですか?

ぼくりり:まったく逆でしたね。歌詞は、書きたいことの中から選んで削って書くんですけど、小説は文字数を多くして、説明していく必要がありました。よりディテールを想像させなければ、というような意識が芽生えたんだと思います。歌詞を考えるときには飛ばしていた部分を、ちゃんと描写しないといけない。

―とはいえ、頭の中に浮かんだ世界を全て説明するわけではないでしょうから、小説ならではの引き算もあったのではないですか。

ぼくりり:どうなんでしょう……僕の思う引き算というのは、特に情景描写の話です。歌詞のときは、「どんな景色を思い浮かべてもらってもいい」という感じだったので、そこには大きな違いでしたね。

―以前、歌詞の中に特定のイメージが想起される固有名詞を入れたくないと言っていましたが、これだけのボリュームのある小説の中でも、固有名詞を入れようとしないですよね。

ぼくりり:そうですね、そこは抽象的にしたかったんです。こういう人が実在する、ではなく、色々な人が持ってる咎というか、原罪の象徴みたいな感覚を書いてみました。

―ブログで今回の小説について「別にぼくがこの小説に書いてあるように思ってる!という訳ではなく、、、あくまで架空の話としてなので、、、」と、架空の物語であることがことさらに強調されていますね。なぜでしょう?

ぼくりり:たとえば、まだまだ純粋な気持ちを持つ中学生が読んで、ディストピアかぁ、人生なんて意味ないんだぁ、とかになったら嫌だなと思って。

ぼくのりりっくのぼうよみ

―なぜそんなに「これは自分が考えていること」として受け止められることを避けたがるんですか?

ぼくりり:いや、単純に、小説が思ったより暗くなっちゃったので……まぁ一応言っておこう、くらいの感覚です。この小説、東横線の中で書いていたんです。隣の人に読まれたら恥ずかしいな、と思いながらも、締切が近づいてるからそんなこと言ってる余裕ない、って(笑)。

―この小説を打ってるところを隣の人が見たら、「この人相当ヤバい」って思うでしょうね。

ぼくりり:そう思います、液晶画面の明るさを落とすことで対応しました(笑)。

知られていないよりも、誤解されている方がまだいいかなって。

―前回、自分の頭の中にあるネガティブな事象からインスパイアされて曲を書くことが多いと聞きましたが、それはライブでお客さんと接する機会が増えた後でも変わりませんか?

ぼくりり:ずっとそうですね。『文學界』(2016年3月号)に書いたエッセイ「地盤沈下」では、カテゴライズされることの安直さや怒りみたいなものを書いたんですけど、それともやや近いのかもしれません。思考を放棄するには2つの方法があって、ジャンル分けすることでその他について思考することを放棄するのか、もしくは「私は頭が悪いです」って言うことで思考を放棄するのか、その違いだけだと気付きました。

ぼくのりりっくのぼうよみ

―朝のワイドショーに出演されているのを見かけしましたが、ジャンル云々ではなく、どうしても「普段はほんわかした男の子」みたいな、そういう特性を引っ張り出されてカテゴライズされることもありますね。

ぼくりり:いや、もう、テレビって、全部そうじゃないですか。

―(笑)。

ぼくりり:こういう枠の人、こういう立ち位置の人です、っていうのありきじゃないですか。分かりやすくするためにはしょうがないんですけど、「それ、つまんないなぁ」とは思いますよね。

―メディアへの露出が増えると、あちらがあらかじめ用意してきた箱の中に自分の身体を無理やり詰め込まなきゃならない場面も増えてくるでしょうね。

ぼくりり:そのときに誤解が生じていたとして、新たに自分の意を正確に伝え直すのと、そのままにしておくの、どっちがいいのかなって思うんですよね。できるだけ誤解を生まないようにやってはいきたいんですけど、多少はしょうがない、とも思う。知られていないよりも、誤解されている方がまだいいかなって。

―創作そのものでは、誤解されることを恐れないし、全てに汎用性を持たせなきゃいけないなんて、一切思っていないですよね。

ぼくりり:そこを意識して変えるようではもう終わりだろうな、という感覚はあります。最後の砦みたいな。

―言葉の自然抽出は守りたいと。

ぼくりり:はい。枯渇するんじゃないかって感じもあるんですけども。

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リリース情報

ぼくのりりっくのぼうよみ『ディストピア』初回限定盤
ぼくのりりっくのぼうよみ
『ディストピア』初回限定盤(CD)

2016年7月20日(水)発売
価格:1,728円(税込)
VIZL-1012

1. Newspeak
2. noiseful world
3. Water boarding
4. sub/objective(remix)
※書き下ろし短編小説、次作アイデアノート封入

ぼくのりりっくのぼうよみ『ディストピア』通常盤
ぼくのりりっくのぼうよみ
『ディストピア』通常盤(CD)

2016年7月20日(水)発売
価格:1,296円(税込)
VICL-37199

1. Newspeak
2. noiseful world
3. Water boarding
4. sub/objective(remix)

プロフィール

ぼくのりりっくのぼうよみ
ぼくのりりっくのぼうよみ

この春高校を卒業したばかりの大学一年生、18歳。早くより「ぼくのりりっくのぼうよみ」、「紫外線」の名前で動画サイト等に投稿を開始。高校2年生の時、10代向けでは日本最大級のオーディションである「閃光ライオット」に応募、ファイナリストに選ばれる。提携番組であるTOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』で才能を高く評価されたことで一躍脚光を浴び、高校3年生だった2015年12月、1stアルバム『hollow world』でメジャーデビューを果たす。その卓越した言語力に裏打ちされたリリック、唯一無二の素晴らしい歌声、ラッパー/ボーカリストとしての表現力が大きな話題を集め、日本の音楽シーンに一石を投じる新たな才能の登場として、各方面から大きな注目を集めている。

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