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暴かれたネットの理想と現実。細分化された個を繋ぐfhánaの挑戦

暴かれたネットの理想と現実。細分化された個を繋ぐfhánaの挑戦

fhána『calling』
インタビュー・テキスト
金子厚武
編集:山元翔一
2016/08/08
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“calling”の<使命はきっと定めじゃなくて 痛みとともに刻まれて その手に掴んだもの>っていう歌詞は、苦労しながらもここまできたバンドの状況と重なる。(佐藤)

―Zepp DiverCityでの追加公演からわずか2か月後に、通算9枚目となるシングル『calling』が発表されます。

fhána『calling』アーティスト盤ジャケット
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佐藤:“calling”は『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』の世界に寄り添って作った曲で、「旅の途中の休息みたいな感じの曲にしてほしい」っていう話から作り始めたんですけど、普通のバラードだと面白くないと思ったので、オーダーに応えつつ音楽的に面白い要素を足していきたくて、トリップホップ(ヒップホップから影響を受け発展した音楽)っぽいアプローチにしました。

yuxuki:最近その原作を最後までプレイしたんですけど、制作サイドが「休息」を表現したエンディングテーマにしたかった理由がようやくわかったし、結果的にすごく合ってる曲ができたなって思いました。

―「旅の途中の休息」っていうのは、セカンドアルバムのツアーを終えた現在のfhánaともシンクロしていると言えるかもしれないですね。

佐藤:あんまり休息感はないんですけど(笑)、今のfhánaの状況がこの歌詞に表れているとは思います。「calling」は「使命」っていう意味で、fhánaの使命は音楽を作って届けることだから、<使命はきっと定めじゃなくて 痛みとともに刻まれて その手に掴んだもの>っていう歌詞が、苦労しながらもここまできたバンドの状況と重なるなって。

―アニメ盤のカップリングの“アネモネの花”にも「使命」という言葉が出てくるので、この曲も“calling”やアニメの世界とリンクしているわけですか?

yuxuki:お話を知っていると、リンクしていると感じる部分がとても多くて面白いのですが、本来、この曲はこの曲で別の話を想定していたので、直接的にはアニメとは関係ないんです。

佐藤:サードアルバムに向けて、またストーリーを作っていく上での序章みたいなイメージですね。サビの<幻のようなこの街で 過去も未来も 照らす現在(いま)がある それはたった一つ希望>っていうのは、セカンドアルバムの世界観を引き継ぎつつ、次を見ているって感じます。前回の対談でオザケン(小沢健二)やエヴァンゲリオンの話を散々しましたけど、この世界は虚構で、嘘っぱちの世界なんだけど、過去と未来を照らすのは今この瞬間しかなくて、それが希望なんだっていう、大きいテーマはここにもちゃんと引き継がれているんですよね。

今までfhánaは泥臭いことってあんまりしてきてないから、嫌な思いをしてでも地道にやっていくフェーズがあってもいいんじゃないかって思いましたね。(towana)

―最初の方で伺った「バラバラになっているものを繋げる」というバンドの指針から言うと、先日『LIVE FACTORY 2016』に出演して、ねごとや神聖かまってちゃんといったバンド勢と共演したのは大きな出来事だったと思います。佐藤さんも「デビュー以来初めてアニソン関係ではないライブイベントに出演します」とツイートされていましたが、そもそもどのような経緯で出演することになったんですか?

kevin:プロデューサーのきくちPさんが“虹を編めたら”を気に入ってくださっていて。それでTwitter経由で交流できたところからですね。

―実際に『LIVE FACTORY』に出てみての手応えはいかがでしたか?

yuxuki:久々にアウェイっぽいライブだったなって(笑)。僕らを観に来てくれたファンの方と後ろの方の初見の人たちのテンションの差が目に見えて大きかった。ただ、曲をやるにつれて少しずつ変わっていって、最後に“white light”をやったときは歓声が上がったので、いい形の対バンライブになったのかなって思います。

個人的に嬉しかったのは、袖で共演したバンドの人が見てくれてて、「超かっこよかった」って言ってくれたことで。アニメとかには興味がなくても、単純に曲を聴いて「よかった」って言ってくれたのは、すごく嬉しかったですね。

佐藤:きくちPさんが“虹を編めたら”でfhánaに興味を持ってくださったときの最初のイメージは「アニソンを歌うかわいい声の女の子ボーカルのユニット」だったようなのです。でも、実際にワンマンを観に来たら、ちゃんとバンドだったことに驚いたらしく、「騙された!(笑)」って仰ってました。たぶん、『LIVE FACTORY』のお客さんにも同じような経験をしてもらえたんじゃないかなと思います。

―つまり、きくちPさんとしても「アニソン枠」みたいな感じじゃなくて、「fhánaだったら普通に混ざれる」って思ったからこそ、『LIVE FACTORY』に呼んだんでしょうね。

yuxuki:きくちPさんは僕たちのことを「ロックバンド」と言ってくださるので、それも嬉しいですね。

―towanaさんは『LIVE FACTORY』に出てどんなことを感じましたか?

towana:私は他の三人よりも客席が見えているので、腕組みして後ろの方で観てる人がいたり、あくびしてる人と目があっちゃったり、結構へこむ場面もあったんです。でも最後の方はちゃんと聴いてくれてるのが伝わってきて。アニソン以外のフィールドでやっていくには、もっと経験が必要だし、もっと嫌な思いもたくさんすると思うんです。今までfhánaは泥臭いことってあんまりしてきてないから、嫌な思いをしてでも地道にやっていくフェーズがあってもいいんじゃないかって思いましたね。

佐藤:J-POPとかJ-ROCKで名のある人が、アニメのタイアップを獲得してアニソンとして認識されていくパターンはよくあるじゃないですか? でも、その逆パターンって今のところない気がするんですよ。アニソン界隈ですごく売れて、武道館とか東京ドームでやったとしても、アニソン界隈の外にはなかなか届かなかったりもしていて。

でも、fhánaはアニソン界隈からデビューして、そこから外の世界でも認められていくっていう逆のパターンができるんじゃないかって思うんです。それこそ米津玄師さんとかtofubeatsさんとか、ニコ動やネットレーベルからメジャーに行って成功したロールモデルは出てきてるわけですけど、アニソン界隈発でより一般的なJ-POPやJ-ROCKのフィールドで受け入れられるってパターンはまだないと思うので、それを実現させたいですね。

―まさに、fhánaはその可能性を持っていて、それが最初にした多様性の話にも繋がりますよね。今日話をして、『calling』から始まるfhánaの新章がまた楽しみになりました。

towana:最近やっと自由にやりたいことができるようになってきたと感じるので、私も自分を出していきたいと思ってるんです。今までは与えられたことをこなしている感じだったと思うんですけど、セカンドアルバムをきっかけにして、もっといろんなことをやっていきたいなって思っています。

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リリース情報

fhána『calling』アーティスト盤
fhána
『calling』アーティスト盤(CD)

2016年8月3日(水)発売
価格:1,296円(税込)
LACM-14509

1. calling
2. アネモネの花
3. calling -Instrumental-
4. アネモネの花 -Instrumental-

fhána『calling』アニメ盤
fhána
『calling』アニメ盤(CD)

2016年8月3日(水)発売
価格:1,296円(税込)
LACM-14510

1. calling
2. Relief (Japanese Ver.)
3. calling -Instrumental-
4. Relief (Japanese Ver.) -Instrumental-

プロフィール

fhána
fhána(ふぁな)

佐藤純一(FLEET)+yuxuki waga(s10rw)+kevin mitsunaga(Leggysalad)のインターネット3世代によるサウンドプロデューサーと、ボーカリストのtowanaによるユニット。2013年夏、TVアニメ『有頂天家族』のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。これまでに8枚のシングルをリリースしており、その表題曲のすべてがテレビアニメのタイアップを獲得している。そして9枚目となるニューシングル『calling』は、TVアニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』のEDテーマとなっており、9作品連続でのタイアップ獲得を果たし、注目を集めている。

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