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多摩センターでフェス開幕 DE DE MOUSE×FUKAIPRODUCE羽衣

多摩センターでフェス開幕 DE DE MOUSE×FUKAIPRODUCE羽衣

『パルTAMAフェス2016 in 多摩センター』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:菱沼勇夫 編集:野村由芽

一般的に「みっともない」とされるようなことで作品全部を包んであげると、じつはそういうものは、人間の営みの中にある当たり前のことなんだって感じられる。(糸井)

DE DE:DE DE MOUSEとして本格的に音楽活動を始める前、20代前半の頃から多摩センターや周辺を散策していると、だんだんと街の感じが変わってきているなあ、って思います。東京郊外も過疎化が進んで云々という話はよく聞いてましたけど、ここ数年でちょっとずつ若い人が増えてきているような気がする。 僕の推測ですけど、ニュータウンで生まれ育った人が一度外に出ていって、結婚して戻ってきて、子どもが生まれて、っていうサイクルに入っているのかな、と。新築のマンションもどんどん建って、景観もかなり変わっている。

DE DE MOUSE

―変化する街の息づかいをDE DEさんはずっと感じているんですね。

DE DE:街って生き物ですからね。僕にとって、街は一つの巨大な作品なんですよ。絵やプロダクトと同じように、どこかの誰かが作ったもので、その中でいろんなものを体験しているような気持ちが強くあります。

―糸井さんはいかがですか? 男女が出会って、別れたり、家族を作ったりする人生のサイクルは、羽衣の作品にも登場する要素だと思いますが。

糸井:実家の練馬を出て、ずっと一人暮らしをしてたんですけど、結婚後、家賃の都合で奥さんと一緒に練馬の実家に戻った時期があるんですよ。自分が思春期を過ごした場所に戻るっていうのは、落ち着く面もあるし、若い頃の感覚を細胞レベルで思い出して活性化するような、不思議な感覚はありましたね。もっとも、嫁姑問題(笑)が勃発して、半年くらいであきらめちゃったんですけど。念のためお伝えしておくと、母と奥さんの関係は現在良好ですよ。

糸井幸之介

―よかったです(笑)。「活性化」という言葉につなげると、羽衣の作品は、思春期の淡い記憶とか苦い経験の再現を通して、見る側の心身が活性化するような印象があります。

糸井:うーん、どうなんでしょう……。作品を演出するときに考えているのは、一瞬のテンションの昂まりなんです。それはドラマでも、俳優さんのパフォーマンスでも、そのときの状況でも何でもいいんですけど、一瞬の昂まりが急スピードでお客さんの心に届く瞬間が確かにあるんですよね。それを虎視眈々と狙っている気がします。

その一つの側面として、例えば中高生の童貞喪失とか、同棲するカップルの結婚するのかこのままなのか、っていうエピソードを選んだりしていると思うんですけど、それをなぜ選ばなければならないのかって問われると、自分でもよくわからない。でも一般的に「みっともない」とされるようなことで作品全部を包んであげると、じつはそういうものが普遍的なこと、人間の営みの中にある当たり前のことなんだって感じられるというのはあると思います。

―だからでしょうか。羽衣の舞台と、それを作っている糸井さんには、人間を肯定したいという大らかな包容のセンスを感じます。

糸井:でも、かといって大きなテーマにはならないんですよ。僕には「演劇を作らせてもらっている」という感覚があって、まずは目の前にいる俳優さんを素敵に見せたい、素敵にしてあげたい、というのが強いんですよね。目の前にいる人の人間性を強く肯定しなければ、本当の肯定にならないと思うので。その一方で、歴史とか時代とか、大きなテーマを演劇で扱おうとしないのはある種の僕の軟弱さなのかもしれないとも思いますが、他にやりようがないんですよね(苦笑)。

左から:DE DE MOUSE、糸井幸之介

―先ほどのDE DEさんの話もそうですが、自分の実感を信じるリアリティーというのは作品に力を与えると思いますし、それはパルテノン多摩のような公的な空間で行われるフェスにおいては大切なことですよね。

DE DE:そのことに数年かけて気づいた感じは僕もありますよ。去年までやっていた盆踊りって形式は、どうやったらこの周辺に住んでいる人が『多摩1キロフェス』に来てくれるだろう、っていう試行錯誤から選んだものでした。それは多摩ニュータウンからすればよそ者である自分を認めてもらいたかったからでもあって、その成果はほんの少しだけど感じ始めているんですね。だから今年は、直球のライブにチャレンジしようと思っているんだと思います。

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イベント情報

『パルTAMAフェス2016 in 多摩センター』

2016年9月17日(土)、9月18日(日)
会場:東京都 パルテノン多摩ほか

[きらめきの池ステージ]
パルテノン多摩×FUKAIPRODUCE羽衣
『愛いっぱいの愛を』
2016年9月17日(土)、9月18日(日)OPEN 16:45 / START 17:30
作・演出・音楽:糸井幸之介
出演:
深井順子
鯉和鮎美
澤田慎司
キムユス
新部聖子
アンサンブルキャスト
ほか
料金:パルテノン多摩友の会アテナクラブ会員2,500円 一般3,000円 学生1,500円

[大階段ステージ]
2016年9月17日(土)
出演:
原田真二
Polonets
ほか

2016年9月18日(日)
出演:
DE DE MOUSE
太田美知彦
ほか
料金:無料

プロフィール

DE DE MOUSE
DE DE MOUSE(で で まうす)

遠藤大介によるソロプロジェクト。作曲家、編曲家、プロデューサー、キーボーディスト、DJ。また、自身の曲のプログラミングやミックス、映像もこなす。織り重なり合う、計算しつくされたメロディと再構築された「歌」としてのカットアップサンプリングボイス。流麗に進む和音構成と相交わりから聞こえてくるのは煌びやかで影のある誰にも真似出来ない極上のポップソング。沁み渡るような郊外と夜の世界の美しい響きから感じる不思議な浮遊感と孤独感は、多くのクリエイターにインスピレーションを与えている。ライブスタイルの振れ幅も広く、多種多様のステージングを展開。これまでに数多くのフェスティバルにも出演、イギリスやフランス、ドイツなど海外遠征も盛んに行っている。昨年末には3年ぶり5枚目のフルアルバム「farewell holiday!」をリリース。立て続けに8/17には夏祭りをテーマにしたEP『summer twlight』を発表。

FUKAIPRODUCE羽衣(ふかいぷろでゅーすはごろも)

2004年女優の深井順子により設立。作・演出・音楽の糸井幸之介が生み出す唯一無二の「妙―ジカル」を上演するための団体。妖艶かつ混沌とした詩的作品世界、韻を踏んだ歌詩と耳に残るメロディで高い評価を得るオリジナル楽曲、圧倒的熱量を持って放射される演者のパフォーマンスが特徴。第7回公演『よるべナイター』にて2007年度サンモールスタジオ最優秀演出賞。08年には世田谷区芸術アワード”飛翔”を受賞し、10年1月シアタートラムネクスト・ジェネレーションVol.2にて「あのひとたちのリサイタル」を再演。12年「耳のトンネル」にてCoRich舞台芸術まつり!2012春グランプリを受賞。同年、クオータースターコンテスト(演劇ぶっく・エントレ共同主催の演劇動画コンテスト)にて「浴槽船」でグランプリ受賞。09年からLIVE活動を開始。本公演以外にも活動の範囲を広げている。

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