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ラバーガール飛永との対話でこぼれた、HINTO安部コウセイの本音

ラバーガール飛永との対話でこぼれた、HINTO安部コウセイの本音

HINTO『WC』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:山元翔一

HINTOのニューアルバム『WC』の発売を記念して、安部コウセイとラバーガールの飛永翼との対談をお届けする。飛永はSPARTA LOCALS時代からバンドのファンで、2013年にはHINTOのミュージックビデオ“しらないまち”に出演。その後も、飛永のトークライブに安部がゲスト参加するなどして交流を深め、今年の8月に行われたラバーガールの単独ライブ『大水が出た!』では、HINTOの“風鈴”がオープニングテーマとして使われ、安部がBGMを担当するなど、音楽とお笑いの垣根を超えた関係性を構築してきた。

……と思いきや、この二人の距離感はちょっと独特で、言ってしまえば、その距離はやや遠め。しかし、この「距離の取り方」こそが二人のハモった部分であり、それは音楽とお笑いというそれぞれの表現に対する向き合い方とも確実にリンクするものだった。最初はお互いをいじり合う二人の距離が徐々に縮まって、本音が口からこぼれるまで。この対談を、そんなドキュメントとしても楽しんでいただきたい。

飛永さんとはつかず離れずの関係だと思ってて、人との距離の取り方が似ている感じがするっていうか、あんまりベッタリしないので、そこが心地いい。(安部)

―まずは、お二人が知り合ったきっかけから教えてください。

飛永:僕はもともと奥さんと一緒にSPARTA LOCALSのライブをよく観てて、地方の公演にも行ってたんですよ。

安部:でも、奥さんがファンだっただけで、飛永さんにはそんなに響いてなかったんでしょ? ライブハウスで会ったとき感じたもん、「この人はそうでもねえんだな」って。

飛永:違います、違います。確かに、奥さんの方がディープなファンなんですけど、あのときは奥さんの熱を前にちょっと引いてしまったというか……。

安部:すげえ泣いてる人がいると泣けないみたいな?

飛永:そうそう、上手いこと言いますね。で、確かコウセイさんが『共感百景』(2012年12月開催)っていうイベントに出られたときに、東京03の豊本さんも出ていて。HINTOのマネージャーさんがお笑い好きだったらしく、そこで人力舎(飛永が所属する芸能事務所)とのつながりができたんです。それでマネージャーさんとTwitterでもやりとりしつつ、HINTOのライブに誘ってもらってお会いしたのが最初かな。

左から:安部コウセイ、飛永翼
左から:安部コウセイ、飛永翼

安部:どうでした? 雲の上の存在の人に初めて会って、オーラ違いました?

飛永:そうですね……ミュージシャンって、ちょっと神々しいところがありますよね。

安部:馬鹿にしてんの?(笑)

飛永:してないです、してないです(笑)。

―飛永さんは以前からバンドがお好きだったんですか?

飛永:そこは奥さんの影響が大きいんです。もともとはオリコン上位の曲を聴いているタイプだったんですけど、奥さんと付き合い始めて、初めて連れてってもらったライブがeastern youthで。自分の知らない音楽でみんなが我を忘れて音楽に入り込んでいる姿を見て、「何だこれは?」と思ったんですよ。最初は困惑して自分の感情がわけわからない状態になっちゃったんですけど、だんだんいろんなライブを観るようになっていく中でSPARTA LOCALSを知りましたね。

飛永翼

―なるほど。じゃあ、ライブハウスで実際に会って、そこから交流が深まっていったわけですか?

安部:いや、別に深まってはないんですよ。飛永さんとはつかず離れずの関係だと思ってて、人との距離の取り方が似てる感じがするっていうか、あんまりベッタリしないんです。

飛永:そうですね。あんまり人のテリトリーに入っていけない。

安部:そうそう、僕も人との距離は遠めにとって、必要以上に深くは入らないので、そこが心地よくて。

飛永:だから、僕が出る舞台を初めて観に来てくれたのは、最初に会ってから3年くらい経ってましたもんね(笑)。なので、そこまでベッタリではないんですけど、それでもミュージックビデオ(“しらないまち”)に出させてもらったりしていて。

―飛永さんの結婚式で堕落モーションFOLK2(安部がHINTOの伊東真一とともに活動しているフォークユニット)が歌ったという話もお伺いしました。

飛永:そうなんです。そのとき曲をリクエストさせてもらって、SPARTA LOCALSの“ウララ”を歌ってもらったんです。前のバンドの曲をやってもらうのって失礼かなとも思ったんですけど、快くやっていただいて、嬉しかったです。しかも、あのあと別のライブでもSPARTA LOCALS時代の曲をやってましたよね? あそこで歌ったことがきっかけになったのかなって思ったんですが。

安部:いや、前からやってましたよ。あの結婚式にそんな影響力ないです。

飛永:そうですか、いい話だと思ったんですけど……。

安部:この二人のエピソードでそんないい話なんてないですよ(笑)。

(ライブのときは)すげえ冷静な自分がいますよ。「嫌だなあ。このキャラ恥ずかしいなあ」とか。(飛永)

―今年のラバーガールの単独ライブ『大水が出た!』でHINTOがオープニングテーマを担当して、コウセイさんがBGMを手掛けたのはどんな経緯だったのでしょう?

飛永:うちらが4年ぶりに演出家をつけずに単独ライブをやることになって、音楽のことを考えたときに、パッと思いつく音楽関係の知り合いがコウセイさんしかいなくて……いまの言い方変ですか?

安部:いや、正直でいいと思いますよ。

飛永:……ライブをやるってなって、音楽はコウセイさんしかいないと思ったんです。

安部コウセイ

安部:そっちの方がいい(笑)。ただ、依頼された時期にちょうどアルバムを作っていたので、テーマ曲はそこに当てて書いたものではなくて。アルバムの中から“ガラスのハート”か“風鈴”が合うんじゃないかと思って、打ち合わせしたときにその2曲を聴いてもらったんです。僕の推しは“ガラスのハート”だったんですけど、“風鈴”がいいって言われて、それはちょっと意外でした。なんであっちだったんですか?

飛永:今回のライブはタイトル的にも元気なイメージだったので、すごくクセがあるけど“風鈴”の方が逆にハマるかなと思ったんですよ。“ガラスのハート”は僕の中ではちょっときれいな印象でした。

―コウセイさんはライブをご覧になって、いかがでしたか?

安部:観てよかったです。感動のレベルでびっくりしました。コントの役柄によって、飛永さんの声色が違うんですけど、不自然じゃないっていうか、必然性があってああなっている気がしたんですよね。コントをしているときって役を憑依させているんですか?

飛永:いや、してないです。すげえ冷静な自分がいますよ。「嫌だなあ。このキャラ恥ずかしいなあ」とか。

安部:そうなんだ。でも、飛永さんは基本すごく常識人の役で、その徹底ぶりがすごいんですよね。声も大きい感じがしないというか、もちろん舞台なんで、いまここで話しているような大きさではなく、でかい声なんですけど、それでも普通に話しているように聞こえる。大水さんが変な人に見えるのは、徹底して普通な飛永さんとのコントラストなんですよ。

飛永:そうやって僕のツッコミに注目する人、あんまりいないですよ。だいたいの人は「大水さん変だな」で止まるんで。

安部:あとオープニングで自分達の曲が流れたときは、鳥肌立っちゃいました。自分の曲が舞台で流れて、しかもそれを俺らのお客さんじゃない人が聴いている感じが新鮮で。一人で「うおー!」って興奮しました。“風鈴”ってちょっと変わった曲だから、最初は正直不安もあったんですけど、オープニングの映像ともすごく合っていて、ホントよかったですね。

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リリース情報

HINTO『WC』
HINTO
『WC』(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:2,500円(税込)
BXWY-014

1. なつかしい人
2. ガラスのハート
3. かるま
4. デート
5. 悪魔の実
6. star
7. 花をかう
8. 風鈴
9. ザ・ばんど

ラバーガール『ラバーガールLIVE「大水が出た!」』
ラバーガール
『ラバーガールLIVE「大水が出た!」』(DVD)

2016年10月26日発売
価格:3,240円(税込)

プロフィール

>HINTO
HINTO(ひんと)

元SPARTA LOCALSの安部コウセイと伊東真一が中心となり2010年結成。2013年に元SPARTA LOCALSで安部コウセイの実弟である安部光広が加入し現体制となる。2016年9月、2年ぶりとなる新作『WC』をリリース。

ラバーガール

飛永翼、大水洋介によるお笑いコンビ。共にスクールJCA10期生。2001年8月にデビュー。主にシュールなコントを展開する。ボケ・ツッコミ共に抑揚や緩急が少なく、淡々と進めていくのが特徴。2005年に『平成17年度NHK新人演芸大賞』で本戦に進出、2010年、2014年にはコント日本一を決定する「キングオブコント」決勝進出を果たしている。

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