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日本よりアジア諸国が先を行く、現在のファッションの楽しみ方

日本よりアジア諸国が先を行く、現在のファッションの楽しみ方

『Pinkoi -New Designers from Asia-』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:永峰拓也 編集:野村由芽

台湾発のデザイナーズマーケット「Pinkoi(ピンコイ)」は、アジアを中心としたデザイナーのプロダクトを紹介するオンラインマーケットだ。経済的にも文化的にも存在感を強めるアジアの熱をファッションや雑貨を介して伝えている同サイトは、今年の『TOKYO DESIGN WEEK 2016』というリアルな場で、アジアの新世代デザイナーの発掘・市場開拓の一環として『Pinkoi -New Designers from Asia-』を開催する。

その審査に携わるメンバーから、ファッション・デザイナーの坂部三樹郎、「CANNABIS LADIES」ディレクター / バイヤーの佐藤隆一、そしてPinkoi Japanの新田晋也の三人を招き、ファッションシーンの今について語ってもらった。アジアのデザインやファッションの盛り上がり、インターネットによるファッションの楽しみ方の変化など、多方面に広がる議論をお送りする。

「made in China=安い」っていうイメージはすっかりなくなって、中国やタイや韓国で作っていることが、ポジティブに受け取られるようになった。(坂部)

―まずは、『Pinkoi -New Designers from Asia-』の主催であるPinkoiの紹介を新田さんにお願いできますか?

新田:Pinkoiは、2011年に台湾でスタートしたグローバルECサイトです。今ではタイ、中国大陸、香港、日本、そしてアメリカなどで活動するデザイナーのプロダクトを紹介していて、アジア最大級のデザイナーズマーケットになっています。特徴の1つとして、作品の事前審査を行なっており、各地域の特徴を反映した良質な作品を取り揃えています。

『Pinkoi -New Designers from Asia-』
『Pinkoi -New Designers from Asia-』(オフィシャルサイトを見る

―ハンドメイドのものを自由に販売できるオンラインマーケットは増えていますが、Pinkoiではあえて事前審査を行なっているのですね。

新田:そうなんです。『TOKYO DESIGN WEEK』内で行なう『Pinkoi -New Designers from Asia-』は、デザイナーの作品を実際に展示し、来場者の皆さんにご覧いただく催しなのですが、今回新たに全世界アジア各国から公募を募り、72組のデザイナーの選考を行ないました。そして、その中からさらに、特別審査員の方がデザイナーを選出し『特別賞』として発表します。

新田新也
新田新也

―その審査員が、今日お越しいただいている「CANNABIS LADIES」のディレクター / バイヤーの佐藤隆一さんと、「MIKIOSAKABE0」デザイナーの坂部三樹郎さん。

佐藤坂部:はい。

中央:坂部三樹郎、右:佐藤隆一
中央:坂部三樹郎、右:佐藤隆一

新田:佐藤隆一さんには事前審査から参加していただき、坂部三樹郎さんには特別審査員として『特別賞』の選出に加わっていただくことになっています。

―ここ数年、日本国内でアジア発のブランドに触れる機会が増えましたが、応募作品を見て、佐藤さんはどのような印象を持ちましたか?

佐藤:「CANNABIS LADIES」では韓国やタイのブランドをかなり前から扱っているのですが、今回の審査でも変わらず印象的だったのはその色づかいです。タイや韓国はエッジのあるカラーリング。中国や台湾は淡い感じ。それぞれのお国柄を感じるのが楽しくて、雑貨もシューズも本当に個性的なものが多いですね。

タイのブランド「Daddy and the muscle academy」。1990年代ティーンエイジャーをモチーフにしている
タイのブランド「Daddy and the muscle academy」。1990年代ティーンエイジャーをモチーフにしている(Pinkoiで見る

淡い色合いが特長の中国のブランド「Vitatha」。ブランド名は「あなたが見ているもの、感じているものすべては、最後には消えてしまう」という意味のサンスクリット語から
淡い色合いが特長の中国のブランド「Vitatha」。ブランド名は「あなたが見ているもの、感じているものすべては、最後には消えてしまう」という意味のサンスクリット語から(Pinkoiで見る

坂部:デザイナーという視点から見たアジアの全体的な特徴は、テクスチャーを大事にしているところですね。ヨーロッパはシェイプを重視していて、立体的な造形感覚に優れている。逆にアジアは民族衣装に顕著ですが、素材重視で色やグラフィックが強い。着物がそうであるように、素材を染めたり加工することに関心が向いていて、素材そのものの持ち味を活かす感性が優れていますね。

日本の水着ブランド「GUACAMOLE」。審査員たちから「一見日本的なグラフィックじゃないけど面白い」との声
日本の水着ブランド「GUACAMOLE」。審査員たちから「一見日本的なグラフィックじゃないけど面白い」との声(Pinkoiで見る

新田:文化や歴史でも、現在のポップカルチャーの面でも、日本とアジア各地域の親和性はとても濃いですね。台湾やタイで暮らすファッションに敏感な子たちは、しょっちゅう日本に遊びに来ていて、ガイドブックに載っていないようなマニアックなところで買い物しています。Instagramで情報を得て、自分の審美眼にかなうものを手に入れていく様子を見ていると、もはや情報の格差は消えていると感じます。

佐藤:5~6年前は、アジア地域のブランドや顧客から日本に対する憧れを感じていましたが、ネットの普及で加速度的に状況は変わりましたよね。例えば、タイのブランドが東京コレクションのヘッドライナーを務めるようになっている。世界に出て行くためのアジア拠点として、日本が位置づけられるようになってきています。

坂部:もう「made in China=安い」っていうイメージは、すっかりなくなりましたね。中国やタイや韓国からファッションデザイナーが出てきていることが、ポジティブなオリジナリティーとして受け取られるようになった。

新田:僕もアジアの製品は質が低いという先入観を持っていた世代なんですけど、Pinkoiの仕事をするようになってすっかり払拭されました。特にインターネットネイティブ世代の若者たちは、音楽もアートも国境の壁を意識せず、自分の好きなもの、気になったものを自然にピックしていく。彼らの動きから、アジアのデザインの良さに僕らが気づかされることがとても多くて。

―すると、『Pinkoi -New Designers from Asia-』は、現在進行形のアジアのデザイン性、品質の高さにじかに触れる機会になりますね。

新田:そうですね。例えば北京発の「Guliang」のバッグはうちのスタッフも買って愛用しています。シンプルで縫製もしっかりしていて、値段的にもお手頃です。

北京のバッグブランド「Guliang」はシンプルで長く使えるデザイン。日本円で約6,420円。
北京のバッグブランド「Guliang」はシンプルで長く使えるデザイン。日本円で約6,420円。(Pinkoiで見る

佐藤:僕が気になったのはタイの「QOYA」。シルエットは新宿ルミネに置いてあっても自然なくらい洗練されているんだけど、色づかいやバッグに付いたポンポンなどの細かいディテールがやはりタイならではで。日本人にはなかなか発想できない組み合わせが魅力的。

夏服に特化したタイのブランド「QOYA」。趣ある民族的な装飾に活気ある雰囲気を組み合わせている
夏服に特化したタイのブランド「QOYA」。趣ある民族的な装飾に活気ある雰囲気を組み合わせている(Pinkoiで見る

新田:『TOKYO DESIGN WEEK』の会場で実際にご覧いただいて気に入った商品はネット経由でその場で注文していただけますし、「# Pinkoiこれ欲しい」と、ハッシュタグをつけてInstagramもしくはTwitterに会場の商品写真を投稿してもらえると抽選で10名に現物をプレゼントする、という特別企画もあるので、ぜひ会場に足を運んでほしいですね(笑)。

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イベント情報

『ABLE & PARTNERS TOKYO DESIGN WEEK 2016』
『Pinkoi -New Designers from Asia-』

2016年10月26日(水)~11月7日(月)
前期:2016年10月26日(水)~10月31日(月)
後期:2016年11月2日(水)~11月7日(月)
会場:東京都 外苑前 明治神宮外苑 絵画館前

サービス情報

Pinkoi

Pinkoiは、2011年に台湾でスタートし、現在は台湾・香港・日本・アメリカ・中国・タイなどアジアを中心に世界中のデザイナーと購入者を繋ぐ、デザイン商品のオンラインマーケットプレイスです。100万人を超える会員に向け5言語・12通貨で展開し、台湾・香港・アメリカ・中国・タイを含む世界88カ国で販売実績がある、審査制のデザイナーズマーケットです。

プロフィール

坂部三樹郎(さかべ みきお)

2006年アントワープ王立芸術アカデミーファッション科マスターコース首席卒業。07-‘08 A/Wコレクションをパリコレクションにプレゼンテーションという形で公式参加。’08 S/Sコレクションから東京とパリを軸にミラノ、ニューヨーク、バルセロナなど様々な都市で発表。次世代の人間像を提案していくなかで服を作るというだけではない、時代としての、そしてエモーションとしてのファッションを提案。

佐藤隆一(さとう りゅういち)

2006年、アッシュ・ペー・フランス株式会社入社。2008年、原宿・berberjin®とコラボレーションショップ「LABORATORY berberjin®/FACTORY」のディレクションを担当。2008年、CANNABIS LADIESを立ち上げ、ディレクション、バイイングを行なう。

新田晋也(にった しんや)

都内の百貨店系列セレクトショップで数年勤務したのち、ファッション雑誌系Eコマースサイトで約8年バイヤー職を経験。その後、日本の作り手の未来に深く向き合い関わっていきたいという、強い想いからiichiに入社。現在はPinkoiを中心に、デザイナーの活動をサポートする立場を担っている。

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