若い時は嫉妬しよう。石崎ひゅーいと松居大悟の「孤独」のススメ

松居大悟監督によるショートフィルム『花瓶に花』が、米国『アカデミー賞』公認・最大級の国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2016』のミュージックビデオ部門で優秀賞を受賞した。(同部門では2017年3月まで作品募集中)同作は、石崎ひゅーいの楽曲“花瓶の花”から生まれたショートフィルム。蒼井優が出演し、結婚披露宴を舞台に家族の物語が描かれる。

12月3日より全国公開される映画『アズミ・ハルコは行方不明』でも、松居大悟が監督を、蒼井優が主演をつとめ、長編映画には初出演となる石崎ひゅーいが、蒼井優の相手役として抜擢されている。松居大悟、石崎ひゅーい、蒼井優という同世代の三人は、映画監督、シンガーソングライター、俳優というそれぞれの活動のフィールドを超えて、同じ感覚を共有していたという。その感覚とは一体何なのだろうか? 松居大悟と石崎ひゅーいの二人に語り合ってもらった。

ひゅーいには、「全身で表現をしている人」というイメージがあったんです。(松居)

―まず、お二人の出会いは?

松居:共通の知り合いが尾崎(尾崎世界観 / クリープハイプ)くんで。ライブを観たり、なんとなく顔は知ってたんで、いつか会って話したいなと思っていたんです。それで、僕がホストをしていた対談番組に来てもらって。で、その日の夜に一緒に飲んだんですけど、2歳上なのにその時にはもうタメ口になっていました。

石崎:僕も、もともとクリープハイプのPVとか映画とかを見てすごく好きで。会う前に尾崎くん経由で人物像も聞いていたんです。

―石崎ひゅーいさんは、松居大悟さんの作品に関してどういう印象がありました?

石崎:「こじらせてるなあ!」って印象でした(笑)。当たり前の恋愛感情も、ものすごくドロっとした感じで描いたり、ファンタジーっぽく描いたり、捉え方が変態的だと思っていました。そうは言いつつ、本人はいたって普通の人なのかなって思っていたら、そのままのこじらせ野郎だった(笑)。

―最初はミュージシャンと監督という出会いだったわけですよね。なぜ松居監督は石崎ひゅーいさんを役者に抜擢しようと思ったんでしょうか。

松居:最初に会った時に盛り上がったのが演劇の話だったんです。ひゅーいが劇団鹿殺しの舞台に出るという話を聞いて。僕は演劇をやりながら映像もやっているんで、演技に興味があることを知って驚きました。

―石崎ひゅーいさんは、もともと演技に興味があったんですか?

石崎:ありました。子供の頃、児童劇団みたいなものにちょっとだけ参加したこともあったし。演劇もよく観にいっていたので、やりたいなとはずっと思っていました。

左から:石崎ひゅーい、松居大悟
左から:石崎ひゅーい、松居大悟

松居:そのタイミングで映画『アズミ・ハルコは行方不明』のキャスティングを考えていて。曽我という登場人物の、田舎から出る意志もなくただ生きている感じを出すには、技術を持った役者さんが演じて作るよりも、もともと持って生まれた動物のような素質がある人がいいんじゃないかと思ったんです。そうしたら、ひゅーい以外思い浮かばなくなって。

―「持って生まれた動物みたいな素質」というのは?

松居:ひゅーいには、「全身で表現をしている人」というイメージがあったんです。ライブを観る時、もちろん歌を聴くのは大前提なんですけど、それ以上に石崎ひゅーいという存在を見ることに価値があるんですよ。バラードの時はすごく優しいし、アップテンポな曲の時は食らいつくようになる。どんどん豹変していくから、目が離せない。演劇的でもあるし、絶対に芝居はできると思いましたね。

―『アズミ・ハルコは行方不明』が石崎ひゅーいさんにとって初めての映画出演だったわけですよね。慣れない現場だったと思いますが、どうでしたか?

石崎:『アズミ・ハルコ』の撮影に入る前に松居くんとはかなり仲良くなって、下北沢で飲んだりしながら「どうする? 蒼井優と共演だぞ?」みたいな話をしていたんです。「蒼井優にぶん殴られたくない、撮影に入るまでにどうにか僕を仕上げてくれ」ってお願いしました(笑)。

松居:ひゅーいが心配していたから、相当リハーサルはやりました。

石崎:忙しい時だったんだけれど、僕の家に来てくれて、読み合わせをかなりやりましたね。

松居:ひゅーいも、みんなに迷惑をかけないように、自分の中で作り込んでいたんですよ。そうしたら、役者全体の読み合わせの時に緊張しすぎてガチガチで。これはマズいなと思いました。「こういうのは呼吸だから、作り込んだものはいらないんだよ、持って生まれたものでいい」ってひたすら言いましたね。

石崎:メールでも松居くんから「呼吸だよ」って送られてきた。そこから「呼吸ってなんだろう?」って3日間くらい考えて(笑)。そこからやりやすくなりました。

石崎ひゅーい

―実際の撮影でも緊張しました?

石崎:最初は緊張していて、蒼井優ちゃんの顔も見られなかったんですよ。でも、呼吸するには顔を合わせなきゃだめだって自分に言い聞かせて、そこからだんだん恥ずかしさがなくなっていったんです。最終的にはすごく楽しくなって、最後のほうは「帰りたくない」ってずっと言っていましたね。

松居:現場に入る前は心配していたんですよ。でもクランクイン初日からは大丈夫でしたね。唯一つまずいたのは、最初のドラッグストアのレジの作業をしながら「老けたな」ってセリフを言うシーン。ひゅーいがレジの作業に慣れていなくて(笑)。

石崎:めちゃくちゃパニックになりました(笑)。

(今回PVを作った)“花瓶の花”という曲は、歌いはじめた時から人を引きつける不思議なパワーがあった(石崎)

―映画『アズミ・ハルコ』が終わってから、“花瓶の花”のPVとショートフィルムを撮ったのでしょうか?

松居:そうです。『アズミ・ハルコ』を撮ってる休憩中に、ひゅーいに「次は俺の大事な曲のPVを二人にやってほしいんだ」って言われて。数か月後に正式に話が来て、心を込めてやろうと思いました。

―石崎ひゅーいさんとしては、この映像をこのチームでやろうというのは、どういう考えからだったんですか?

石崎:まず第一に松居くんの作品が好きだというのと、映画の現場がものすごく楽しくなっちゃったんですよね。もう1回みんなで集まって、松居大悟と蒼井優にやってもらったらすごいのができるだろうって思ったんです。自分の曲のPVを自分から頼むのは初めてだったんですけど、“花瓶の花”はそのくらい大切な曲だったので。

石崎ひゅーい

―この“花瓶の花”という曲は、もともと、実際に結婚する友人に作った曲だったんですよね。なぜこれが石崎ひゅーいさんの中でも大事な曲に育っていったんでしょうか?

石崎:自分の中ではどの曲も大切で、どれが特別ということはないんですけど。この“花瓶の花”という曲は、歌いはじめた時から人を引きつける不思議なパワーがあったんです。ライブで歌った時も、まだ音源化されていない頃から「聴きたい」という反応がたくさんあった。みんなにとって大切って思えるものだったら、俺も一番大切にしないとな、という感じですね。

―松居監督はこの“花瓶の花”という曲をどう感じましたか。

松居:自分の心をもっていかれそうになる感じがありました。自分には経験ないはずの記憶のために、なぜか歌ってくれているような。不思議な引力を感じていました。

松居くんは変化球を投げるタイプだと思ってたんですけど、ど真ん中のストレートだった。(石崎)

―石崎さんにとって思い入れのある“花瓶の花”のPVを作るにあたり、松居さんはどのように作り始めていったのでしょう?

松居:やっぱり “花瓶の花”を作った経緯がすごくいいなと。そこから、ミュージシャンがカメラに向かって格好よく歌うようなPVじゃなくて、ひゅーいが誰かのために歌っている姿を描こうと思ったんです。で、結婚式のために作った曲だから、結婚式の話にしようと決めました。

左から:石崎ひゅーい、松居大悟

―PVでは石崎ひゅーいさんは実際に新郎友人役として歌いますね。何故このような演出をしたのでしょうか?

松居:曲のパワーそのものに寄り添って作ろう、という思いがありました。実は初めてそういう作り方をしたんですよね。僕はいつもキラキラした曲だったらハードな映像にしようとか、できるだけ曲を裏切るように作っていたけど、“花瓶の花”は逆だったんです。

―でも、ストーリーの描き方には、すごく松居監督らしさが出ていますよね。新郎新婦ではなく、その家族が主役になっている。蒼井優さんもあえて式場で働いている女の人の役を演じていますね。

松居:実際、新婦を蒼井優にしたほうが真っ直ぐにグッとくるんじゃないかって、何度か言われて。でも、そこは頑として守りました。そうじゃない方がドラマが描けると思ったので。

石崎:頑固でしたね。でも実際、映像として見た時に「やるじゃないか!」って(笑)。

松居:蒼井優が新婦を演じた場合、その新婦のために歌っても狭くなってしまう。主役のまわりにいる、新婦の弟を演じる村上虹郎や、式場で働く蒼井優が、その歌にグッときているところが伝わるといいなと思ったんです。

左から:石崎ひゅーい、松居大悟

―石崎ひゅーいさんは、出来上がった映像を見てどう感じました?

石崎:自分も母親を亡くしているんですけど、そういう時のわーっとくるような感情に似ていて、ものすごくよかったです。普通に松居くんを尊敬しました。松居くんは変化球を投げるタイプだと思ってたんですけど、ど真ん中のストレートだった。

松居:ひゅーいのこの曲なら、真っ直ぐに作ろう、寄り添ったほうがいいなって思えて、そうできたんです。

PVは一旦降伏してから自分なりの表現を作ります。まず「お前には負けたよ」って思って、「でもこっちにはこっちのやり方があるんだよ」と考える。(松居)

―さきほど、“花瓶の花”はこれまでになく、曲に寄り添ってPVを作ったという話がありましたが、松居監督はいつもはどのような心構えでPVを制作されているのでしょう?

松居:楽曲制作の意図は聞きますが、あまりそこは気にしないようにしています。あと、ミュージシャンが演奏しているだけのようなものにはしたくない。自分が映像をやるからには、曲だけを聴いた時とは違うニュアンスを与えないと視覚化して見せる必要はないと思っているので、ひたすら曲を聴きまくって、自分から出てきた感情から作っていきますね。

―あえて曲とは違うニュアンスを与えることが多いですか?

松居:そうですね。自分は音楽をやってこなかったし、どんなにいい舞台とか映画を作っても、最後に主題歌に持っていかれるのがすごく悔しくて。PVは真っ向勝負だと思うから、「音楽VS映像」っていう意識でいつも作っているんですね。だから今回のような作り方は珍しいんです。

松居大悟

―“花瓶の花”は個人的な思いを書いたものだけれど、結婚する人、家族を亡くした人、いろんな人にとって自分のこととして突き刺さる曲だと思うんです。それくらいのポテンシャルのある曲だからこそ、こういう作品になったのかもしれないですね。

松居:そうですね。僕自身、今年の6月に兄貴の結婚式があったんです。そういうのを準備していたから、弟の目線になったというのもあるかもしれない。

―石崎ひゅーいさんはこの曲以外でもいろんなPVを発表していますが、PVにおける曲と映像の関係はどう捉えていますか?

石崎:今はみんなYouTubeで音楽を聴くし、そこが入口になるから、昔よりPVが大切ですよね。ただ、自分のPVとして表現する方法は、いろいろ自由であっていい。凝り固まらずにいろんな挑戦をしていいんじゃないかと思います。

―“ピーナッツバター”は自ら監督を手掛けています。PVを作る側としてはどうでしょう?

石崎:作ったって言っても、ふんどし一丁になって浜辺を走って、それをワンカットで撮っただけですから(笑)。

石崎ひゅーい

―先ほど松居監督は「真っ向勝負だと思って作る」と言いましたが、その感覚はどういうところが原点になっているんでしょう?

松居:嫉妬というか、敗北というか、降伏というか。そういうところから、自分なりの表現を作ります。だから好きなアーティストとしか作れないんです。いいなって思う曲だからこそ、自分にしかできないものを作れる。まず「お前には負けたよ」って思って、「でもこっちにはこっちのやり方があるんだよ」って考える。

―松居監督のやっていることは境界線がないと思うんですね。今回の“花瓶の花”に関しても、PVというものの既成概念を壊していると思います。どこまでがPVでどこからがショートフィルム、どこからが映画なのか、その枠組みを広げていますよね。

松居:「らしいもの」が好きじゃないからですね。PVっぽいもの、ショートフィルムっぽいもの、映画らしいものが好きじゃない。そういう風にやると恥ずかしくなっちゃうんです。そこを避けながらやっていると、「PV? 映画? これはなんだろう?」というものが出来上がる。

自分自身は演劇にも映画にもPVにも、どこにも重心を置いていないんです。でも周りの人は「結局何がやりたいの?」って枠にはめたがる。そのほうが安心するからだと思うんですけど、はまらないほうが面白い。ただ、そうなるとどんどん居場所がなくなって、仲間がいなくなっていく気がする(笑)。

―石崎ひゅーいさんはそういう松居監督の作風についてどう思います?

石崎:僕は松居くんのそういうところがすごい好きなんですよね。不良だなって思います。

―共通している感覚もきっとあるんじゃないかと思うんですが、お二人はお互いのアーティスト性、作家性をどう捉えていますか?

松居:僕、ひゅーいと居るとすごくリラックスするんですよね。クリープハイプの尾崎くんとは緊張感があるというか、ピリピリするんです。なんでだろうって思うんですけど。

―尾崎世界観さんと松居監督は似たようなところがありますよね。同じように、復讐心や悔しさが表現の原動力になっているところがあるんじゃないですか。

石崎:そこは似てるなって思いますね。たしかに。

孤独なんだけど、それでいいと思っています。だから、人との「出会い」を大事にできる。(松居)

―石崎ひゅーいさんは、自分の音楽が生まれる原動力はどういうものが一番大きいと思いますか?

石崎:そうだなあ……人との出会いですかね。

松居:それって、孤独を受け入れているからじゃない?

石崎:あ、そうかもしれない。

―孤独を受け入れている?

松居:僕もそうなんですよ。孤独だからこそ出会いが大事というか、出会った人によって影響を受けて作風が変わることを良しとする。自分の表現に、いい意味でこだわらない。蒼井優もそうなんだと思います。

石崎:そういうところはありますね。

―石崎ひゅーいさんも、蒼井優さんに自分と通じるところを感じていますか?

石崎:勝手にそう思ってます。自分がやっていることについて「これは素晴らしいんだ!」みたいな表現の仕方をしないところというか。どこか孤独な感じ、寂しい感じをずっと背負っているような。たまにそう思うことがあるという話を、撮影中に二人でしていましたね。

石崎ひゅーい

―今回『花瓶に花』は『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2016』のミュージックビデオ部門で優秀賞を受賞しました。まず、応募はどういうきっかけだったんでしょうか。

松居:年末に話をもらって、1~2月に作ってたんですけれど、絶対に『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』にハマるなと思っていたんです。ひゅーいに興味がある人が初回盤のDVDを買って見るのも大事だけど、興味がない人にも見てもらえたらすごく意味があると思いました。

―応募すると聞いて石崎ひゅーいさんはどう思いました?

石崎:「いけいけ!」って感じでした(笑)。そうしたら、受賞して「よっしゃ! すげえな」って思いました。

左から:石崎ひゅーい、松居大悟

―6月の映画祭では上映後に石崎ひゅーいさんのライブもありましたね。

石崎:みんな、泣いていたんですよ。ものすごく嗚咽してる人もいた。

松居:受賞作品の発表の時、「ダイゴ・マツイ!」って自分の名前を読み上げられた時の感じは新鮮でしたね(笑)。

『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』上映会場にて。上映後には石崎ひゅーいによる生演奏も実施された
『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』上映会場にて。上映後には石崎ひゅーいによる生演奏も実施された

ミュージックビデオ部門の優秀賞が発表された『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』クロージングセレモニー
ミュージックビデオ部門の優秀賞が発表された『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』クロージングセレモニー

自分の正義みたいなものを表現する。それが自分の原動力になったりする。(石崎)

―『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』をはじめ映画祭には、作家の登竜門的な意味合いがありますよね。松居さんは、国内でもすでに何本も映画やPVを撮られているわけですが、改めて映画祭に応募するのには、どういった理由があるのでしょう?

松居:次に繋がるというのが一番大きいです。参加すると、作品に対する客観的な評価が飛び交うし、海外の人から感想をもらったりする。そうすると、自分の作品を客観視できるし、そこで悔しい思いをすれば、次へのモチベーションにつながるというのはありますね。

左から:石崎ひゅーい、松居大悟

―映画祭への応募が次の制作のモチベーションになっていくんですね。最後に今までのご自身を振り返って、映像や音楽を志す10代、20代の若い世代の人たちへ向けて、表現を続けていくためのアドバイスをお願いします。

松居:映像は一人では作れないので、映像を作りたいと思ったら、自分にとって大事な人とか、好きな表現とか、好きな人を増やしたらいいと思います。そこと関わっていくことで、どんどん広がっていく。「孤独な仲間」を見つけるのが大事だと思う。

―石崎ひゅーいさんはどうですか?

石崎:19才とか20才くらいの頃は、なりたいものを決めすぎず、適当に思うがままにやってた方がいいように思うんです。その勢いを続けたからこそ、気づけることもある。

石崎ひゅーい

松居:確かに。まずは自分が思うようにやってみて、仲間を見つけるのは、20代後半からでいいかもしれないね。

石崎:若い頃って、否定するパワーが強いと思うんです。たとえば、僕の曲を聴いて「だせえ、ムカつく!」って思って、そこから自分の正義みたいなものを表現する。それが自分の原動力になる人もいていいと思う。僕はあんまりそういうことをしなかったので、憧れがあるのかもしれない。

―「仲間を見つけるのは20代後半からでいい」という話がありましたけど、それは孤独に耐えて、自分を深める時期があったほうがいいとも言えそうですよね。

松居:僕は20代前半くらいに、すごくあがいてたんです。何者かになりたいと思って、追われるように全部の仕事を受けて、企画書をいろんなところに持ち込んだりしていました。20代中盤で、もうしんどい、こんなことするためのもの作りなら続けられない、だったら好きな人と好きなことをやろうと思った。

そうやって、共感する人の作品に関わるようになってから、すごく楽しくなってきたんです。そういう人たちって、みんな苦しい時期があって、それを乗り越えているから、一緒にいてもわかりあえる。孤独や苦しみを乗り越えたからこういう時間が過ごせるのかなって思います。

松居大悟

―だからこそ「孤独な仲間」を見つけることができたんですね。

松居:そうですね。映画『アズミ・ハルコは行方不明』の時も、最初はもっと正統派の映画を作るつもりでいたんです。でも、クランクイン前にいろいろあって、熱い奴らだけ残った。だったら尖るしかないな、と思っていろいろな表現方法に挑戦したんです。

石崎:松居くんは、人が好きでも作品が好きじゃなかったらどうするの?

松居:人が好きだったら、その人の作った作品も好きになれる。でも逆はないですね。作品は好きでも、「こいつは嫌い」ってなったら一緒にやらないです。

石崎:じゃあ、誰が嫌い?

松居:それを語ろうと思ったら飲みながら朝までかかるよ!(笑)

公募情報
『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2017』

ミュージックビデオ部門
国内外のアーティストによるオフィシャルミュージックビデオを紹介する部門

ミュージックショート部門
エントリー楽曲を使用して、クリエイターが自由にオリジナルのショートフィルムを制作する部門

応募締切:2017年3月15日(水)
賞金:30万円

『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア』

俳優の別所哲也が代表をつとめる米国アカデミー賞公認の国際短編映画祭。1999年に東京・原宿で誕生し、2017年6月で19回目の開催を迎える。これまでに延べ34万人を動員。オフィシャルコンペティションをはじめ、「音楽」「環境」「CGアニメーション」など、様々なカテゴリーのプログラムで構成されており、グランプリ作品は、次年度のアカデミー賞短編部門のノミネート選考対象になる。

作品情報
『アズミ・ハルコは行方不明』

2016年12月3日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で公開
監督:松居大悟
原作:山内マリコ『アズミ・ハルコは行方不明』(幻冬舎文庫)
主題歌:チャットモンチー“消えない星”
出演:
蒼井優
高畑充希
太賀
葉山奨之
石崎ひゅーい
菊池亜希子
山田真歩
落合モトキ
芹那
花影香音
柳憂怜
国広富之
加瀬亮
配給:ファントム・フィルム

プロフィール
松居大悟 (まつい だいご)

1985年生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。09年、NHK『ふたつのスピカ』で同局最年少のドラマ脚本家デビュー。12年2月、『アフロ田中』で長編映画初監督。以降、『自分の事ばかりで情けなくなるよ』『スイートプールサイド』など枠にとらわれない作品を発表し、『ワンダフルワールドエンド』は第65回ベルリン国際映画祭正式出品。『私たちのハァハァ』は『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015』2冠受賞。原作を手掛けた漫画『恋と罰』が連載中。

石崎ひゅーい (いしざき ひゅーい)

本名。母親がDavid Bowieのファンで、その息子がZowie(ゾーイ)という名前だったことから、もじって、Huwie(ひゅーい)と名付けた。2012年7月25日にミニアルバム「第三惑星交響曲」でデビュー。感情のままに歌うまっすぐな声と全てのエネルギーを爆発させるライブパフォーマンス。ソロアーティストとしてのスケールを無視する規格外なシンガーソングライター、石崎ひゅーいが出現した。松居大悟監督・蒼井優主演「アズミハルコは行方不明」にてスクリーンデビュー。



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