特集 PR

ジャケットはバンドの命運を握る チームおとぎ話のものづくり

ジャケットはバンドの命運を握る チームおとぎ話のものづくり

おとぎ話『ISLAY』
インタビュー・テキスト
山元翔一
撮影:豊島望

中空を漂う一対のダウジングロッドが女の子を指し示す。そしてそれを愛おしげに見上げる一人の少年。その眼差しはどこか切なげでもある――おとぎ話の8作目となるアルバム『ISLAY』のジャケットは、汚れないほどにロマンティックで、謎に満ち、もはや神秘の領域だ。

『CULTURE CLUB』から約2年ぶりのアルバムとなる『ISLAY』は、そのジャケットのインパクトもさることながら、音楽的にもこれまでのおとぎ話のイメージを刷新する作品に仕上がっている。なぜ、おとぎ話は結成から16年の月日が流れてもなお、自らの存在を塗り替えることができるのか? その理由に迫るべく、イラストレーター・神保賢志、デザイナーの木村豊、写真家・タイコウクニヨシの三人を招き、おとぎ話・有馬和樹との座談会を実施した。

インタビュー終盤、有馬がこの企画をCINRAで実現させてくれた意図と話してくれたのだが、なぜ今この四人が集まる必要があったのか? おとぎ話の命運を左右したアルバムジャケットの話をお届けしたい。

俺が撮った写真で、おとぎ話のカッコよさに気づいてくれる人がいたらそれは俺のカメラマンとしての誇りなんです。(タイコウ)

―おとぎ話に限らず、そもそも音楽を視覚で表現することはすごく難しいことだと思うんです。みなさんは、写真、イラスト、デザインでという立場からおとぎ話を手がけるにあたり、どんなことを考えていらっしゃるんでしょうか?

タイコウ:俺の場合は、おとぎ話の楽曲にあるドリーミーさとか有馬くんのキャラを全部わかったうえで、カッコよく撮ることしか考えてない。The Rolling StonesやThe Clashっていうような、自分が憧れたロックバンドの写真のようにしかおとぎ話は撮りたくないんです。彼らを撮るとき、そこは一度もぶれたことはないですね。楽曲とか音楽性に関する説明は俺の写真にはないかもしれないけど、「本物のロックバンドなんだ」っていうことだけは写真で表現しているつもりです。

おとぎ話 / 撮影:タイコウクニヨシ
おとぎ話 / 撮影:タイコウクニヨシ

有馬:でも確かにそうだね。撮影のときは楽曲の話とか一切しないし。

タイコウ:俺が撮った写真で、おとぎ話のカッコよさに気づいてくれる人がいたらそれは俺のカメラマンとしての誇りなんです。俺の写真がカッコいいって褒められれば、それはおとぎ話にとっての褒め言葉でもあると本気で思う。でもだからといって、俺は彼らの仲間だからっていう身内みたいな意識で撮ったことは一度もなくて。俺は写真でおとぎ話の音楽に勝つつもりでいつも写真を撮っているんです。

左から:タイコウクニヨシ、有馬和樹、神保賢志、木村豊
左から:タイコウクニヨシ、有馬和樹、神保賢志、木村豊

―タイコウさんが撮るおとぎ話の写真はすごく力が込められていて印象的ですけど、それはタイコウさんが「カッコよさ」を表現するという一点とシビアに向き合っているからなんでしょうね。神保さんはいかがでしょう?

神保:おとぎ話の音楽と僕の絵は、普遍的な何かが通底しているような気がしていて。だからおとぎ話のイラストを描くときは、僕の個性をあえて出す必要はないんじゃないかっていつも思っていますね。

有馬:神保くんに絵を描いてもらうときは可愛いものにするんです。可愛いところとかキュートなところに一点に集中できるのは、明らかにタイコウさんがカッコいいおとぎ話を撮っているからで。それ以外は神保くんには言ってないもんね。とにかく可愛く、笑えるもの。そういう面が俺らにはあるから。

イラスト:神保賢志

『CULTURE CLUB』以前は、俺の主観が強すぎて、音源を聴かなくてもジャケットでどういうバンドかわかっちゃうところがあった。(有馬)

―可愛いんだけど毒があるところは、神保さんのイラストと有馬さんの音楽に共通していると個人的に思うんです。有馬さんの中にある「キュートさ」ってそもそも何なんでしょうね?

有馬:可愛いんだけど毒があるというよりは、可愛く見せないとぐちゃぐちゃした内面が出てきちゃう感じが近いかな。いじめられないための処世術が、ぶりっ子するしかないみたいなタイプだと思うんですよ。

―なるほど。タイコウさんの言う「本物のロックバンド」のカッコよさと、有馬さんが言うぐちゃぐちゃした内面をポップに昇華するキュートさ、その両方がおとぎ話とっては同じくらい大切だった。

タイコウ:写真だけだと、おとぎ話のカッコよさとは別にある可愛くてドリーミーな世界観は表現できていなかったんですよね。でも、そこを神保くんが埋めてくれて。神保くんがキュートなおとぎ話を描いてくれるようになって俺はすごく嬉かった。そうやって俺と神保くんがおとぎ話の両面を表現するようになったんですけど、そこに木村さんが現れたんですよ。

―木村さんが初めて関わったのは『CULTURE CLUB』(2015年)だったんですよね。

有馬:木村さんとは、事務所に行って変なアー写を撮ったのが一番最初。フラットでノリがすごく軽かったのが印象に残っていますね。それまで、おとぎ話の衣装はだいたい黄色のスーツだったから、衣装選びも含め面白がりながら撮影できたのはすごく楽しかった。

『BIG BANG ATTACK』リリース時(2011年)のアーティスト写真 / 撮影:タイコウクニヨシ
『BIG BANG ATTACK』リリース時(2011年)のアーティスト写真 / 撮影:タイコウクニヨシ

『CULTURE CLUB』リリース時(2014年)のアーティスト写真 / 撮影:タイコウクニヨシ
『CULTURE CLUB』リリース時(2014年)のアーティスト写真 / 撮影:タイコウクニヨシ

木村:でもあのアー写、何かコンセプトがあったよね。

有馬:たしか「1980年代」とか言っていましたよね。あと、『CULTURE CLUB』を出すとき、おとぎ話がマジで変わったって思わせたかったんです。

―『CULTURE CLUB』は今の所属レーベル「felicity」からリリースした1枚目の作品でしたが、音楽面で言うと、それまでと地続きの集大成的な作品でありながら同時に変化も色濃く打ち出していましたよね。それはビジュアルやアートワークについても同様だったと。

おとぎ話『CULTURE CLUB』ジャケット / 写真:タイコウクニヨシ、デザイン:木村豊
おとぎ話『CULTURE CLUB』ジャケット / 写真:タイコウクニヨシ、デザイン:木村豊

有馬:『CULTURE CLUB』以前は、俺の主観が強すぎて、音源を聴かなくてもジャケットでどういうバンドかわかっちゃってたんですよ。『BIG BANG ATTACK』(2011年)とか『THE WORLD』(2013年)は特にそうだった。

左から:おとぎ話『BIG BANG ATTACK』ジャケット、おとぎ話『THE WORLD』ジャケット / 撮影:CINRA.NET編集部
左から:おとぎ話『BIG BANG ATTACK』ジャケット、おとぎ話『THE WORLD』ジャケット / 撮影:CINRA.NET編集部

―ジャケットで説明しすぎていたんですね。

有馬:そう。神保くんとかタイコウさんと一緒にやるときは、俺とタイコウさんの話、俺と神保くんの話になりがちだったんですよ。だからどうしても俺の中から出てくるものだった。でも、そこに木村さんが加わって客観性が出てきて、もっとやれると思ったのが『CULTURE CLUB』だったんです。

Page 1
次へ

リリース情報

おとぎ話『ISLAY』
おとぎ話
『ISLAY』(CD)

2016年10月26日(水)発売
価格:2,808円(税込)
PECF-1142 / felicity cap-259

1. JEALOUS LOVE
2. ブルーに殺された夢
3. TEENAGE KIXX
4. セレナーデ
5. 蒼い影
6. YUME
7. DREAM LIFE
8. 天国をぶっとばせ
9. 太陽の讃歌
10. めぐり逢えたら
11. 夜明けのバラード

イベント情報

おとぎ話ニューアルバム『ISLAY』リリースパーティ『New Moon,New Moon ~ドラマとドラマ~』

2016年11月15日(火)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
おとぎ話
ドレスコーズ

『ライヴ2016「Death to the O.T.G.V」』

2016年12月24日(土)
会場:大阪府 十三Fandango

2016年12月30日(金)
会場:東京都 新代田 FEVER

ニューアルバム『ISLAY』リリースツアー
『FLAVOUR OF ISLAY』

2017年4月8日(土)
会場:宮城県 仙台 FLYING SON

2017年4月14日(金)
会場:福岡県 UTERO

2017年4月15日(土)
会場:広島県 4.14

2017年4月28日(金)
会場:愛知県 名古屋 Tokuzo

2017年4月30日(日)
会場:大阪府 十三 Fandango

2017年5月14日(日)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

プロフィール

おとぎ話
おとぎ話(おとぎばなし)

2000年に同じ大学で出会った有馬と風間により結成。その後、同大学の牛尾と前越が加入し現在の編成になる。2007年にUKプロジェクトより1stアルバム「SALE!」を発表、以後2013年までにROSE RECORDSからの2枚を含め6枚のアルバムを残す。2015年、おとぎ話にとって代表曲となる「COSMOS」が収録された7thアルバム「CULTURE CLUB」をfelicityよりリリース。従来のイメージを最大限に表現しながら、それを壊し新しい扉を開いたこのアルバムにより、おとぎ話はまさに唯一無二の存在となった。また、ライヴバンドとしての評価の高さに加えて、映画や演劇など多ジャンルに渡るアーティストやクリエイターからの共演を熱望する声があとをたたない。日本人による不思議でポップなロックンロールをコンセプトに活動中。

タイコウクニヨシ

1972年4月27日、東京都三鷹市生まれ。CDショップ店員バイヤーなどの職を経て28歳の時にフリーフォトグラファーに転身。人物を中心に様々なジャンルを撮影。

神保賢志(じんぼ さとし)

イラストレーター。漫画「あしたのジョー」に感動し柔道部に入部。農業大学を卒業後イラストレーターの道へ。バンドおとぎ話アートワークをはじめ様々なイラスト、漫画、デザインなど幅広く活動中。

木村豊(きむら ゆたか)

1995年にデザイン事務所「Central67」を設立。CDジャケットを中心にミュージックビデオの監督や本の装幀、ツアーグッズ等のデザインを手がける。2002年に作品集、「脳内TRANSPOSE Central67 Works」を発表。赤い公園、UNICORN、スピッツなど様々なアーティストのデザイン関係に携わっている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

サニーデイ・サービス “Tシャツ”

6月にストリーミング配信オンリーでリリースされたアルバム『Popcorn Ballads』から“Tシャツ”のPVが公開。約1分のロックチューンに合わせた、スピード感ある清々しい映像。劇中で強制着用させられる「サニーデイサービス」TシャツはROSE RECORDSのオンラインショップで予約販売中。曽我部恵一の愛犬・コハルちゃんが送る眼差し、においを嗅ぐ姿に悶絶。(川浦)