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子どもの言葉に悔しがる前野健太、岩井秀人&森山未來と劇に挑む

子どもの言葉に悔しがる前野健太、岩井秀人&森山未來と劇に挑む

『コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」』
徳永京子
撮影:鈴木渉 編集:野村由芽、宮原朋之

酔っ払って未來さんに突っかかった記憶もあって、きっと嫌われたんだろうなと思っていたら「飲みっぷりがよかった」と呼び出されて。(前野)

―そもそも、プロジェクトの立ち上げ時には、お名前がありませんでしたよね。そこにいつ前野さんが参加されることになったのでしょうか?

岩井:わりと早いうちから僕と未來くんで「二人でやれないことはないだろうけど、他にも誰かいたらいいよね」という話をしていたんです。でも実際には見つからずにいて、ちょっと煮詰まっていたときに未來くんが「飲み屋で話しておもしろかったんだけど、ちょっと会ってみない?」と名前を出してきたのが前野さんだったんです。「出たよ、飲み屋つながり。若干やけ気味だな」と(笑)。

森山:やけになっていたわけではないよ(笑)。僕としては、誰かに入ってほしいけど、岩井さんとの相性もすごく気を揉んでいたんです。でもなんとなく、前野さんだったらいけそうだと思ったんですよね。ただ、不用意に前もってあれこれ説明すると構えてしまうだろうから、ぶっつけで出会ってもらおうと思って。

岩井:すごい。名プロデューサーだね。

前野:未來さんには、そういうプロデューサー的な感覚があるんですよね。僕はただ飲んでいただけ。酔っ払って突っかかった記憶もあって、きっと嫌われたんだろうなと思っていたら「飲みっぷりがよかった」と呼び出されて、こうして参加が決まったという。

岩井:前野さんと具体的な音楽の話は一切していないし、考えてみたら、まだ歌ってもらってもいない(笑)。でも、最初の段階で一緒にバシバシおもしろがれた記憶は、ものすごく大事なんです。もちろんそれだけじゃないですけど、やっていく中で迷ったりしたとき、序盤の気持ちは本当に大切になりますから。

森山:岩井さんと「もう一人欲しいよね」と話していたときは、僕が踊りで岩井さんが演劇だから、もう一人は演劇の人でも踊りの人でもよかったんです。ただし「それだけ」じゃない人がいいとは考えていました。

何か一つのジャンルに特化してしまうと、三者の対立構造みたいになってしまう。そうじゃなくて、お互いのテリトリーみたいなものをまったく気にせず会話できたらおもしろいだろうな、それができる人がいいなと。

森山未來
森山未來

―なるほど。

森山:前野さんに参加してもらった理由は、ミュージシャンとして素晴らしい、というのもあるし、飲むと人が変わっておもしろいのもある(笑)。でもそれと、最近はポルノ映画(みうらじゅん原作、安斎肇監督の『変態だ』)に出演したりしていて、在り方がすごく曖昧だなあと。その在り方に僕はすごく惹かれていたんです。

もしかしたら、いい具合に壊れているものができ上がるんじゃないかって期待があるんですよね。(岩井)

―そもそもの話になりますが『コドモ発射プロジェクト』という、あまり例のない企画をやりたいと思った理由は? 発端としては、野田秀樹さんが口にされた話に、岩井さんがずっと興味を持っていらしたということですが。

岩井:単純に、子どもが台本を書いて、それを大人がなんとかして演劇にするというのを観たいと思ったんですよね。でも何年経っても野田さんがやらないから「いつやるんですか?」と聞いたら「やってくれない?」と逆に言われまして。

―その「観たい」と思った理由を教えていただけますか?

岩井:子どもが書くんだから、相当無理矢理なものが出てくるだろうというのは想像がつくじゃないですか。でも普通、無理矢理なものというのは、無理矢理じゃないものと一緒に提示しないと形にならないんです。それができないときに自分がどうするのか興味があったし、もしかしたら、いい具合に壊れているものができ上がるんじゃないかって期待があるんですよね。

森山:それって具体的にどういうこと?

岩井:例えば今回子どもが書いた「毛は木を舟にした」というフレーズがある。これ、名詞がどれも短いでしょ? 「毛」「木」「舟」って。しかも主語が「毛」で一文字っていうのは、芝居の言葉としては超乱暴で、すごく聞き取りづらい。こういう場合、僕なんかだと、形容詞を付けたりしてちょっと聞き取りやすくするのね。そうやって、無理矢理の成分が100%じゃないように調整する。

森山:ああ、なるほど。

―とすると、前野さんが参加されたことで、岩井さんが最初に考えていた「無理矢理なものを無理矢理のまま成立させる」ことがやりやすくなった?

岩井:そうなんです。身に付いた癖で「無理矢理もいいけど、全体をどうする?」みたいなことをどこかで考えていたんでしょうね。もし前野さんがいなかったら、自分が最初に「観たい」と思ったものも失われていたかもしれないです。

―先ほど「稽古しながら内容を決めていく」というお話がありましたが、具体的にどう稽古されるんですか?

岩井:それを今、話しているところなんですよね。ここにいる三人以外にも、音楽監督や美術、舞台監督とかスタッフがいて、それぞれにやりたいことがあるみたいです。子どものテキストを読んで、変な絵を送ってきた人もいるし(笑)。まずはみんながやってみたいことを集めて、それを元にどうするか考える感じですかね。

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イベント情報

『コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」』

2017年2月18日(土)~3月12日(日)
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターウエスト
原案:こどもたち
つくる人:岩井秀人 森山未來 前野健太
そもそもこんな企画どうだろうと思った人:野田秀樹
料金:
前半割(2月18日~2月26日) 4,000円(当日4,500円)
一般(2月28日~3月12日)4,500円(当日5,000円)
子ども(高校生以下) 1,000円(当日同額)
25歳以下3,500円(前売のみ)
65歳以上3,800円(前売のみ)

ローソンチケットプレイガイド最速先行

受付期間:2016年12月4日(日)12:00~12月16日(日)23:59

プロフィール

岩井秀人(いわい ひでと)

1974年東京生まれ。2003年ハイバイを結成。2007年より青年団演出部に所属。東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等々についての描写を続けている注目の劇団ハイバイの主宰。作品は韓国、イギリスなどで翻訳上演やリーディング上演され、国内外から注目されている。2012年NHKBSプレミアムドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年「ヒッキー・カンクーントルネード」で処女小説を発表。代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」「て」「ある女」「おとこたち」。

森山未來(もりやま みらい)

1984年兵庫県生まれ。数々の舞台・映画・ドラマに出演する一方、近年ではダンス作品にも積極的に参加。文化庁文化交流使として13年秋より1年間イスラエルに滞在、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニーを拠点に活動。近作として、カールスルーエ・アート&メディアセンター(ZKM)にてソロパフィーマンス「Upload a New Mind to the Body」、8月に直島・ベネッセハウスミュージアムにて岡田利規×森山未來 「In a Silent Way」、名和晃平×ダミアン・ジャレ「vessel」、李相日監督映画「怒り」、串田和美演出「Metropolis」など。第10回日本ダンスフォーラム賞2015受賞。

前野健太(まえの けんた)

1979年生まれ、埼玉県出身。シンガーソングライター。2007年に自主レーベルよりアルバム『ロマンスカー』をリリースし、デビュー。2009年、ライブドキュメンタリー映画『ライブテープ』(監督:松江哲明)で主演を務める。近年はフジロックフェスティバルをはじめ大型フェスへの出演や、演劇作品への楽曲提供、文芸誌でのエッセイ連載、小説執筆など、活動の幅を広げている。2015年にはCDブック『今の時代がいちばんいいよ』を発表。今年の12月には主演映画『変態だ』(みうらじゅん原作×安齋肇監督)が公開される。

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