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子どもの言葉に悔しがる前野健太、岩井秀人&森山未來と劇に挑む

子どもの言葉に悔しがる前野健太、岩井秀人&森山未來と劇に挑む

『コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」』
徳永京子
撮影:鈴木渉 編集:野村由芽、宮原朋之

「おーい、子どもたち集まれー」というようなものにするつもりはありません。(岩井)

―子どもが書いたテキストが中心にあって、それにインスパイアされた大人たちのクリエイションがあるというイメージですね。何しろあまり例のないプロジェクトなのであえてお聞きしますが、ファミリー層など、対象にしている層はありますか?

岩井:「おーい、子どもたち集まれー」というようなものにするつもりはありません。それは早い段階で未來くんと話して決めていました。ほら、小学生のときに図工の教科書にあった渋い絵を大人になっても意外と覚えていることってあるじゃないですか。だから、大人と子どもを分けるのではなくて、感覚を共有したり一緒に想像できる作品にしていこうと話したよね。

森山:最初に岩井さんからこの話をもらったときは、イスラエル留学から帰って来たばかりだったということもあって、子どもの言葉を大人が大事にしながらクリエイションしていくということがすごく響いたんです。

イスラエルではどんなダンスカンパニーも、必ずひとつはチルドレンショーをレパートリーとして持っているんですよ。定期的に子どもに対してショーを開くんですが、それは決して子どもに合わせたものではなくて。

たとえば色彩一つをとっても、日本だと「子どもはカラフルな色に喜ぶ」という先入観がありますけど、そこも自由にダンスカンパニーの美意識の中でやっているんです。それを子どもがおもしろがるかどうかは別にして、そういうものに触れる時間を作ることが大事だと感じたんですよね。

ワークショップの様子(提供:東京芸術劇場)
ワークショップの様子(提供:東京芸術劇場)

岩井:もちろん子どもにも大人にも見てもらいたいんだけど、いわゆる「子どもらしさ」に合わせるんじゃなくて、僕らが何を選んでそれを作るのかってことが大切ですよね。

子どもたちのポエジーが三人の中を通り抜けていって、各自がそれをつかまえて、何か生まれるものがあるかもしれない。(前野)

―今回の公演は『なむはむだはむ』という謎のタイトルですが、これはどこから来たんでしょうか?

森山:子どもが書いたテキストの中にあった言葉なんですけど、もちろんそれを見つけてくれたのはマエケンです(笑)。その子は「南無阿弥陀仏」と書きたかったところを、間違えたのか、そう覚えてしまっていたのかわかりませんけど、出てきたのは『なむはむだはむ』で。

―呪文っぽい印象はありましたが、南無阿弥陀仏でしたか……。

前野:もう僕、この企画でアルバム作れますね。でも悔しいですね、やっぱり。子どもと近いところで自分は作品を作っているんじゃないかという気持ちが、ちょっとはあるんです。

“SHINJUKU AVENUE”という僕の歌があって「会社は口を開けて待ってる」とか「早起きのガードレール」とか書いていて、その辺りは遠くない気がする。でも正直、やろうとしても狂いきれないというか……。「スーツに流し込む野菜ジュース」とか書いても、どこかで何か狙いみたいなものがあるんですよね。そんな中で子どもたちが書いたものでここまでえぐられると「俺が普段やっていることはなんなの?」となりますよ。

“SHINJUKU AVENUE”が収録されている前野健太の弾き語りアルバム

岩井:ナチュラルに出してくるからね。

前野:あと変な絵も描いてあるじゃないですか。『まねきねこ』の話に「痩せる機械」が出てきますけど、あれも凄いことになっていたり。

『まねきねこ』の物語に登場する「痩せる機械」が図解されている(右上)(提供:東京芸術劇場)
『まねきねこ』の物語に登場する「痩せる機械」が図解されている(右上)(提供:東京芸術劇場)

岩井:あれは可愛かったね。変にディテールが細かいんだけど、右と左で動力が別だったり(笑)。物語の途中に絵を描いてきた子は結構いたけど、どれもこれも味がある。

森山:『なむはむだはむ』をタイトルにしていいのかをみんなで話し合ったときに問題にしたのは、この言葉はその子の書いた字ありきで惹き付けられるんじゃないか? ということだった。だから、子どもたちの絵や字をどう扱うかは、これから考えたほうがいいね。

左から:岩井秀人、森山未來、前野健太
左:岩井秀人

前野:子どものポエジーがこの三人を通り抜けていって、お互いがそのポエジーをつかまえて、何か生まれるものがあるかもしれないですよね。例えば未來さんが身体で『長い毛』を表現して、それを見て僕がまた歌を作るという作業がたぶんあるだろうし。

岩井:「毛は木を舟にした」は身体表現じゃなくて、俺に言わせてくれって未來くんが主張し出すかもしれない(笑)。

森山:そのせりふ、結構ハードル高いなあ(笑)。でも『コドモ発射プロジェクト』はいろんな可能性を探ることができる企画なので、作る側もおもしろい。楽しみにしてほしいですね。

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イベント情報

『コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」』

2017年2月18日(土)~3月12日(日)
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターウエスト
原案:こどもたち
つくる人:岩井秀人 森山未來 前野健太
そもそもこんな企画どうだろうと思った人:野田秀樹
料金:
前半割(2月18日~2月26日) 4,000円(当日4,500円)
一般(2月28日~3月12日)4,500円(当日5,000円)
子ども(高校生以下) 1,000円(当日同額)
25歳以下3,500円(前売のみ)
65歳以上3,800円(前売のみ)

ローソンチケットプレイガイド最速先行

受付期間:2016年12月4日(日)12:00~12月16日(日)23:59

プロフィール

岩井秀人(いわい ひでと)

1974年東京生まれ。2003年ハイバイを結成。2007年より青年団演出部に所属。東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等々についての描写を続けている注目の劇団ハイバイの主宰。作品は韓国、イギリスなどで翻訳上演やリーディング上演され、国内外から注目されている。2012年NHKBSプレミアムドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年「ヒッキー・カンクーントルネード」で処女小説を発表。代表作「ヒッキー・カンクーントルネード」「て」「ある女」「おとこたち」。

森山未來(もりやま みらい)

1984年兵庫県生まれ。数々の舞台・映画・ドラマに出演する一方、近年ではダンス作品にも積極的に参加。文化庁文化交流使として13年秋より1年間イスラエルに滞在、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンスカンパニーを拠点に活動。近作として、カールスルーエ・アート&メディアセンター(ZKM)にてソロパフィーマンス「Upload a New Mind to the Body」、8月に直島・ベネッセハウスミュージアムにて岡田利規×森山未來 「In a Silent Way」、名和晃平×ダミアン・ジャレ「vessel」、李相日監督映画「怒り」、串田和美演出「Metropolis」など。第10回日本ダンスフォーラム賞2015受賞。

前野健太(まえの けんた)

1979年生まれ、埼玉県出身。シンガーソングライター。2007年に自主レーベルよりアルバム『ロマンスカー』をリリースし、デビュー。2009年、ライブドキュメンタリー映画『ライブテープ』(監督:松江哲明)で主演を務める。近年はフジロックフェスティバルをはじめ大型フェスへの出演や、演劇作品への楽曲提供、文芸誌でのエッセイ連載、小説執筆など、活動の幅を広げている。2015年にはCDブック『今の時代がいちばんいいよ』を発表。今年の12月には主演映画『変態だ』(みうらじゅん原作×安齋肇監督)が公開される。

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