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arko lemmingが静かに問う「こういう奴がいた方が面白くない?」

arko lemmingが静かに問う「こういう奴がいた方が面白くない?」

arko lemming『S P A C E』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:高見知香 編集:山元翔一

志磨(遼平)さんもオタクで、一人っ子ですからね(笑)。7~8年くらい前から、何となくお互いの空気感は把握していた。

―小学生までは転勤族で、国内外のいろんなところに住まれたそうですが、その経験と今の自分の表現には、何らかのつながりがあると思いますか?

有島:転勤族だった頃に、自分の世界にこもりがちな部分が培われたのかな……「友達関係、またリセットか」みたいに思うことは当時からあって、僕の中の暗い部分はその時代の賜物な気がします。

有島コレスケ

―1stアルバムの『PLANKTON』、2ndアルバムの『S P A C E』というタイトルには「浮遊感」が共通していますよね。それは音楽的な意味合いもありつつ、それこそ転勤族だったから、「周りから浮きがち」みたいな、そういう感覚も表現の根幹にあるのかなと。

有島:どうなんでしょうね……僕の場合、一人っ子っていうのも大きいと思います。転勤族で一人っ子なんて、絶対一人遊びが得意になるじゃないですか。その集大成がarko lemmingのような気がします。

―遊び道具が楽器だったと。arko lemmingは、趣味で書きためていた曲をtoldの動きがなかったときに、作品にしてみようと思ったのがきっかけで始動したそうですね。

有島:そうです。自分で作って自分で聴くための曲だったんですけど、「いつか発表できる機会が来たらいいな」くらいの気持ちはあって。そのタイミングがたまたま来たというか。

―アコースティックや打ち込みのような、わかりやすいソロ作品ではなく、「一人バンド」を名乗ったのはなぜでしょう?

有島:根がひねくれているので、1枚目は裏切りたい気持ちがあったんです。「ソロってこういうのでしょ」みたいな想像や期待とは全然違うものを作ろうって。

有島コレスケ

―有島さんがサポートも務める近年のドレスコーズも、「一人バンド」と言っていいと思うのですが、志磨遼平さんに対してシンパシーを感じるところはありますか?

有島:シンパシーと言うと偉そうですけど……志磨さんも、作詞作曲を全部一人でやっていますもんね。もともと7~8年くらい前から知り合いで、何となくお互いの空気感は把握していて。志磨さんもオタクで、一人っ子ですからね(笑)。やっぱり一人遊び系で、オタクっぽい人はこうなっちゃうんですよ(笑)。

有島がサポートでベースを弾いていた際のライブ映像

―志磨さんはロックスターへの憧れがあって、ずっと自分を否定して、「何者かになりたい」と思い続けていたと、以前のインタビューで話されていました(ドレスコーズはロックの継承者じゃない 志磨遼平の極限の決断)。有島さんにもその感覚がありますか?

有島:「何者かになりたい」っていう感覚はすごくあります。でも、「自分ではない誰かになりたい」みたいな感じがあって、そのモヤモヤは自分の原動力になっているというか……「褒められたい」みたいな願望があるのかなあ。

有島コレスケ

―ご家族からは芸術系の道に進むことを反対されていたという話がありましたし、そこに対する反発もあるのかもしれないですね。

有島:ああ、それはあるかも。「認められたい」みたいな欲求はきっとあるんでしょうね。

陽と陰で、「ふたつを合わせてひとつの自分である」という考えがそのまま曲になってますね。

―新作『S P A C E』は、「OUTER」と「INNER」の2枚組となっています。この形態になった経緯について話していただけますか?

arko lemming『S P A C E』ジャケット
arko lemming『S P A C E』ジャケット(Amazonで見る

有島:デモを作って、曲を並べていったときに、曲の傾向が2パターンに分かれているなって感じたんです。それを1枚にまとめて出してもよかったんですけど、明確にモードの違いがあったので、2枚組にしてはっきりと分けた方がよいのではないかという思いに至って。実際、2枚に分けると、自分としてもすごくすっきりしたんです。

―楽曲単位で聴かれることが多いこのご時世に、2枚組というのもある意味ひねくれていますよね(笑)。「OUTER」と「INNER」、それぞれのコンセプトはどうなっているのでしょうか?

有島:文字通りなんですけど、「OUTER」はポップスで、ポップで弾けているイメージ。「INNER」はベッドルームミュージックみたいな、もうちょっとインディーっぽい音を志向していますね。実際、「INNER」の方が打ち込みも多いし、ボーカルのリバーブも薄くした音をイメージしました。

―アルバムを象徴するトラックは間違いなく“dual”で、“dual-O”と“dual-I”を組み合わせると“dual-TRACK”になるというアイデアが非常に面白いですね。

有島:ふたつの面を表せる曲で何か面白いことができないかと思って、挑戦してみました。この曲はアルバムのことを非常にわかりやすく説明していると思います。“dual-O”は陽、“dual-I”は陰のイメージで、「ふたつを合わせてひとつの自分である」という考えがそのまま曲になってますね。

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リリース情報

arko lemming『S P A C E』
arko lemming
『S P A C E』(2CD)

2017年1月11日(水)発売
価格:2,800円(税込)
XSCL-23/4

[CD1]
1. dual-O
2. ニューニュー
3. かなしみはそばに
4. Avéc
5. P.S.
6. Marvellous
7. 傍観者
[CD2]
1. dual-TRACK
2. NO
3. アロウ
4. 水槽の脳
5. weather report
6. at last
7. 夢の中でも
8. dual-I

イベント情報

CINRA×Eggs presents
『exPoP!!!!! volume93』

2017年1月26日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
arko lemming
馬喰町バンド
For Tracy Hyde
トレモノ
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

arko lemming
arko lemming(あるこ れみんぐ)

有島コレスケが全ての作詞作曲・演奏をこなす一人バンド「arko lemming」。2015年11月に1stアルバム『PLANKTON』をリリース。2017年1月11日には2枚組の2ndアルバム『S P A C E』のリリースを控える。自身が所属するバンド・toldのベースとして活動する一方、ドレスコーズではベースとして0.8秒と衝撃。ではドラムとしてサポート活動を行う。曾祖父は白樺派の文豪、有島武郎。祖父は黒澤明監督『羅生門』で知られる名優、森雅之。

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